現金出納帳とは
現金出納帳とは、どんなものを指すのでしょうか。
企業の収支を管理する帳簿のこと
現金出納帳(げんきんすいとうちょう)とは、日々のお金の流れを記録する帳簿のことです。いつ・誰が・何のためにお金を使ったのか(もらったのか)を、表記ルールに従って正確に記録します。貸借対照表や損益計算書などと違い、法的な作成義務はありません。
現金出納帳は、仕訳帳や総勘定元帳などと同じ「補助簿」に分類されます。補助簿はさらに補助記入帳と補助元帳に分けられ、現金出納帳は「補助記入帳」という扱いです。
また出納帳には、現金出納帳のほかに預金出納帳もあります。
キャッシュフローの可視化と不正防止のため必要
現金出納帳は、お金の流れを正確に記録するため、キャッシュフローの可視化に役立ちます。キャッシュフローが可視化されると、社内不正の防止にも効果的です。現金残高と帳簿上の残高が異なる場合、現金の使い込みや領収書の改ざんなどが疑われます。現金出納帳がないと、領収書の改ざんや不正計上に気づくことができません。

現金出納帳の書き方
現金出納帳は、どのように書けばよいのでしょうか。
日付
日付は、領収書の発行日ではなく、実際に入出金した日を記載します。記入の際は、日付順になるようにして、エクセルなどでもお金の流れを把握できるようにしましょう。同日が連続する場合、2回目以降は省略可能です。「領収書の発行日」と「実際の入出金日」が異なる場合は、摘要欄に領収書の日付を記入します。
勘定科目
勘定科目は、お金の使用用途を分かりやすくするラベルです。出張に必要な電車代なら「交通費」、コピー用紙なら「消耗品」、食器なら「雑費」などと設定します。どのような用途でお金を使用した(入ってきた)のかが分かれば、名前は何でも構いません。多くの企業が「この費用は、この勘定科目」と、ルール決めしています。同じ勘定科目が続いても省略はできないため、その都度記載しましょう。
摘要
摘要は、入出金の取引先や内容を記載する箇所です。「6/23 〇〇銀行 事業投資 引き出し」などのように、誰がみても分かるように記入します。上記の摘要欄は、「6/23に〇〇銀行から事業投資のために引き出したお金」という意味になります。摘要欄の文字数には限りがあるので、スペースで区切って項目だけを記入しています。
同じ内容が続く場合は、「〃」で省略することも可能です。
収支金額と差引残高
収支金額は、収入と支出があったときに記録します。消費税がある場合は、税込金額を記入しましょう。
差引残高は、収支金額を計算した後の残高です。1日単位で記入するため、同日内に複数の収支金額があっても、その都度計算する必要はありません。1日の終わりに、前日の差引残高と当日の収支金額を集計し、最後の1行に残高を記入します
差引残高は、以下の式によって算出可能です。
- ■前日の差引残高+当日の収入金額-当日の支出金額
また、月次や年次の場合は、以下のようになります。
- ■前月(前年度)の繰越金+当月(当年度)の収入合計-当月(当年度)の支出合計
なお、繰越金は前月(前年度)の差引残高と同額です。
現金出納帳を作成する際のポイント
現金出納帳を作成する際は、「現金出納帳の残高」と「実際の現金残高」が合わない場合の対処法に注意しましょう。過不足がでた場合は、問題の原因を明確にし解決することを第一にします。ミスを隠そうとして、自分のポケットマネーで補填することだけは避けてください。その場しのぎで問題を放置すると、根本的な解決になりません。必ず問題の原因を特定し、同じ間違いが起きないようにしてください。
原因が分からない場合は、実際の現金残高を優先し、帳簿上は「現金過不足」という勘定科目で処理しましょう。決算期までに問題を解決できない場合は、「雑損失」または「雑収入」として処理します。
過不足が起きる原因は、金額の記入ミス、出納帳への転記・計算ミス、記入漏れなどが考えられます。
簡単に現金出納帳を作成する方法
簡単に現金出納帳を作成するには、会計ソフトがおすすめです。
会計ソフトなら、勘定科目の入力工程を削減できます。スキャン機能を使えば、金額を手入力する必要もありません。会計の知識がなくても現金出納帳を作成できるため、初心者にも安心です。入力データはソフト内で集計され、仕訳帳や総勘定元帳など、各種帳簿に自動転記されます。共有機能があるため、決算時に帳簿のやり取りを郵送で行う必要もありません。
会計ソフトは、ミスを減らし、業務負担を軽減できる優秀なツールと言えるでしょう。
会計ソフトを使って現金出納帳をラクに作成しよう
現金出納帳は、キャッシュフローの可視化や不正防止のために必要です。企業の収支を管理し、日付・勘定科目・摘要・収支金額と差引残高を正確に記載しましょう。現金出納帳の金額と実際の金額が合わない場合は、原因を特定し問題を解決することを第一にしてください。
作成の際は、会計ソフトを使用するのがおすすめです。会計ソフトなら、入力業務やミスを限りなく減らせます。
会計ソフトを使って、現金出納帳をラクに作成しましょう。
