会計監査とは
会計監査とは、企業や公益団体、行政機関等の計算書類や財務諸表などの内容が正しいか、独立した第三者が監査することです。企業が監査対象の場合、第三者機関は外部の会計監査人です。外部の会計監査人は、書類に記載されている内容が適正か、会計監査報告書として意見を表明します。書類内容が適正な場合は最終承認します。
目的
会計監査の目的は、計算書類や財務諸表などの内容が適正か、信頼性を確保することです。企業内で作成した決算書に、不正や誤りがないか投資家や銀行は調査できません。外部の公認会計士や監査法人である監査人が書類の適正性を証明することにより、銀行など関係各所は安心して取引を行えます。投資家にとっても、信頼度が高くなるといえるでしょう。
時期
会計監査を行う時期は、監査の種類により異なりますが、財務諸表を調査するため決算直後は必ず実施します。決算以外では、中間会計期間の6か月や四半期の3か月で監査を実施するなど会社により異なります。大きな会社であるほど会計監査人の訪問は多い傾向にあるでしょう。

会計監査の種類
監査には内部監査・外部監査・監査役監査の3種類があり、三様監査と呼ばれます。監査内容が業務である場合を業務監査、会計である場合を会計監査といいます。三様監査の概要は以下のとおりです。
- 内部監査
- 組織内の担当者が経営に役立てるため自主的に実施する。
- 外部監査
- 株式上場企業や一定規模以上の大会社を対象とし、独立した外部の会計監査人である、公認会計士または監査法人が実施する。債権者や投資家など利害関係者に対して、該当企業の活動が法令や規則に照らして健全であることを表明する。
- 監査役監査
- 監査役が行う監査であり、経営者の職務が誠実に遂行されているか監視する。通常、監査役には弁護士や公認会計士、経営経験者などが選任される。
会計監査において特に重要なのが外部監査です。金融商品取引法と会社法により、大手企業には会計監査人の設置が義務付けられています。会計監査人の設置が義務付けられている企業を会計監査人設置会社といいます。
会計監査の具体的な内容
会計監査で確認される内容は主に以下の9つです。
- 貸借対照表と損益計算書の内容確認
- 総勘定元帳の残高と相違がないか、形式や科目の配列が適切かなど。
- 売掛金と買掛金の残高確認
- 取引先から得る残高証明書と照合し残高が適切か。売掛金の滞留と処置状況。
- 現金・預金・借入金の残高確認
- 現金、および金融機関から得る残高証明書などと照合し残高が適切か。
- 経理処理状態と帳簿組織・システムの確認
- 経理担当者の知識の度合い。取引が正しく帳簿に記録されているか、帳簿組織間およびシステム間の連携に問題がないか。
- 伝票の確認
- 取引記録に基づき、伝票の起票や責任者によるチェック・承認が正常に行われているか。
- 勘定科目の確認
- 不明な勘定科目がないか、残高に異常がないか。
- 引当金などの確認
- 貸倒引当金や賞与引当金、退職給付引当金の計上に問題がないか。
- 固定資産の計上や除却処理の確認
- 固定資産の計上や減価償却などに問題がないか。売却・除却したものの会計処理は適切か。
- 実地棚卸しの確認
- 実地棚卸しに監査人が立ち会って、正確に行われているか。
会計監査を受けない場合や適切ではない対応をすると、企業の決算書は正しくないという「不適切意見」や意見を出さない「意見不表明」という結果が出ます。その場合は、社会的信頼の低下や株価暴落などにつながりかねません。適切な対応ができるように取り組みましょう。
行政機関監査と企業監査の違い
監査の対象は企業だけでなく行政機関も含まれ、公監査とも呼ばれています。しかし、企業を対象とした会計監査と同じではありません。国が出資あるいは援助を与えている行政機関、独立行政法人などが対象の場合は、会計検査といいます。会計検査院という国の機関によって実施され、作成された決算検査報告書は内閣の手に渡り、国会で承認手続きが行われます。
会計監査の準備
会計監査が始まる前に、会計監査人から資料の準備やヒアリングなどを要請されることがあります。実際に監査が行われるまでに資料を用意し、ヒアリングに対応する社員の手配をしておきましょう。準備する主な資料は以下のとおりです。
- ■総勘定元帳データ
- ■請求書や領収書、小口現金伝票などの書類・伝票
- ■賃貸契約書やローン契約書などの契約書類
- ■銀行ステートメント
- ■棚卸表(在庫がある場合)
- ■固定資産台帳(固定資産がある場合)
準備物に不備があれば追加の監査作業が発生し、監査報酬額が増える場合もあります。また、書類について質問された際には、スムーズな回答ができるように内容を把握しておきましょう。特に勘定科目については、前年度と比較した増減などについて説明できるとよいです。質問に答えられない場合、追加で資料の作成を命じられる可能性もあります。
会計ソフトの活用でスムーズな対応ができる
会計監査は、社内の会計業務が統一されておらず部門間の仕訳が異なる場合、確認に時間を要するおそれがあります。会計ソフトでは、部門間の仕訳処理を統一化できる製品があります。日ごろから内部統制を保つことで、会計監査の対応がスムーズになるでしょう。
また、会計ソフトの分析レポートで、科目ごとの傾向を把握しておくと、会計監査の質問にも応えられるでしょう。監査に対応した製品や社内の会計業務を統一するには、会計ソフトの導入がおすすめです。以下のボタンより最新の人気ランキングを確認できます。
社内の会計業務を整備して会計監査に備えよう
会計監査とは、財務諸表などの記載内容に問題がないか監査することです。監査には内部・外部・監査人監査の3つがあります。特に、会計監査においては外部監査に注意を払う必要があるでしょう。
会計監査では、必要な書類の準備はもちろん内容の説明が重要です。監査前の準備に加え、日ごろから会計ソフトを活用するなど社内の会計業務を整えましょう。
