法人で利用する「試算表」とは
試算表の概要を見ていきましょう。
決算書類を作成するために作られる集計表のこと
試算表とは、総勘定元帳を集計した一覧のことです。決算書類を作成するために作られます。
試算表を作成する目的の１つは、仕訳ミスや転記ミスを見つけることです。仕訳帳と総勘定元帳のいずれかに誤りが含まれている場合、試算表の数値が合わなくなります。
また、試算表を見れば貸借対照表・損益計算書のデータを確認できるのもメリットです。貸借対照表と損益計算書は試算表を基に作られる資料であるため、試算表を見ればその２つを確認したことになります。
資金調達時にも活用される
決算書は試算表を基に作成されるため、決算書さえあれば試算表はなくても良いように思われるかもしれません。しかし、試算表は月次で作られ、決算書よりもリアルタイムに企業の状態を反映できる点で優れています。
したがって、資金調達時には決算書ではなく試算表が活用されます。金融機関は試算表を確認することで、融資を望む企業の状態を適切に把握可能です。融資を受ける側としても、自社の状態を金融機関に伝えるうえで試算表は有力な資料となります。
法人で利用する試算表の種類・作り方
法人で利用される試算表は３種類に分けられます。それぞれの概要と作り方を見ていきましょう。
- 【合計試算表】
- 合計試算表は総勘定元帳における各勘定科目の借方・貸方それぞれの合計を記載して作る試算表です。以下のような形式になっています。
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借方 勘定科目 貸方 1,000 現金 500 商品 買掛金 200 売掛金 ・ ・ 3,000 3,000 - 一番下の数値は借方・貸方それぞれの合計値で、ミスがなければ両者は常に一致します。
- 【残高試算表】
- 書類の形式は基本的に合計試算表と同じですが、残高試算表では借方・貸方それぞれの残高を記入して作成します。具体的には、総勘定元帳における各勘定科目の借方・貸方それぞれの合計値を算出し、両者の差額を記入していきます。
- 【合計残高試算表】
- 上述した２種類の試算表を１つにまとめて作成する資料です。
法人で利用する試算表の見方
作成した試算表はどのような点に着眼して見れば良いのでしょうか。
残高科目：金額が大きい勘定科目はないか
試算表の中央には勘定科目が列挙してありますが、これらは残高科目と損益科目の２種類に分類できます。一般的に、勘定科目を試算表で上から順に見ていった際、「現金」から「資本金」までが残高科目、それより下にあるのが損益科目です。
残高科目は貸借対照表を作成する際に参照する科目です。残高試算表において借方に記入されている数値が企業の資産、借方に記入されている数値が企業の負債を意味します。
残高科目を確認する際には、数値が大きい科目に注目しましょう。その科目は企業の経営に大きな影響を与えていることになります。
また、残高科目において借方より貸方の数値のほうが大きいと、企業の経営状態が危ういことを意味します。キャッシュフローを見直したほうが良いでしょう。
損益科目：目標達成率はどれくらいか
損益科目は損益計算書を作成する際に参照する科目で、期間中に企業がどれほどの儲けを得たかを示します。借方残高が企業のコスト、貸方残高が企業の収益です。たとえば、仕入に要した代金や社員への給料などは借方残高、売上や受取利息は貸方残高に記載されます。
損益科目を確認する際には、売上総利益や営業利益、経常利益といった各種利益が目標値に達しているかどうかに着眼しましょう。売上総利益は売上や売上原価、営業利益は人件費や設備費、経常利益は受取利息や支払利息などから読み取れます。
また、損益科目では残高科目とは逆に、借方残高が上回っていると経営状態が危ういことになる点にも注意しましょう。
法人における試算表を効率よく作成する方法
試算表を作成することで企業のリアルタイムな状態を把握できるため、迅速な経営判断が可能になります。しかし、試算表の作成そのものに過剰な時間がかかっていたのでは意味がありません。そこで、試算表作成を効率化する方法として会計システムの導入がおすすめです。
会計システムがあればお金の動きをすべてシステム上で管理できます。さらに、それらのデータから試算表を始めとした各種書類を自動で作成可能です。多くの場合、会計システムを扱うのに簿記の専門知識はほとんど必要ありません。また、転記などに伴う人為的ミスは発生せず、所要時間も大幅に削減できます。
法人で試算表を作成・活用し、経営状態を把握しよう！
法人で利用される試算表とは、決算書類を作成するための前データとなる書類です。金融機関から融資を受ける際にも活用されます。
試算表を見る際には以下の点に留意しましょう。
- 残高科目
- 金額が大きい勘定科目はどれか
- 損益科目
- 各種利益の達成率はどうか
また、試算表作成を効率化する方法としては会計システムの導入がおすすめです。システムの導入も視野に入れて試算表を適切に作成し、経営に活かしましょう。
