
トレンド1:クラウド会計ソフト
次に、機能面からみた会計ソフトのトレンドについてみていきましょう。当初から完成度が高く、基本機能に大きな変化はなかった会計ソフトですが、最近大きな変革の可能性を秘める製品が登場しています。それがクラウド会計ソフトです。
「クラウド会計」には異なる2つのタイプがあります。
従来のクラウド会計ソフト
ひとつは、大企業を中心に導入されているASP、SaaS型ソフトです。支社・支店を多く持つ企業が、クラウド上にソフトを置くことにより、どこからでも会計業務を行うことができ、またソフトウェアや経理データの管理に安全性が高いため、広く活用されています。
近年のクラウド会計ソフト
そして、最近のトレンドとして話題になることが多いのが、2013年ころに登場し、小規模事業者を中心に導入が進んでいるクラウド会計ソフトです。最も大きな特徴が、今までの会計ソフトで必要だった手入力による仕訳まで自動化していることです。
その技術の核となるのが、ネットバンキングやクレジットカード、交通用ICカード等の情報と、クラウド上の会計データの同期です。たとえば、ネットバンキングから取引先に出金を行うと、自動的にその金額と入金先がソフトウェアの帳簿に入力。勘定科目を入力すれば仕訳が完成します。
また、よく行われる取引については、勘定科目を保存しておくことで、次回からは記入を行わなくても仕訳が完成します。
クラウド型とインストール型の違い
では、クラウド型とよく比較されるインストール型とはどう違うのか見ていきましょう。
種類 | インストール型 | クラウド型 |
---|---|---|
料金 | 買い切り(パッケージorインストール購入) | 継続課金制 |
環境依存度 | ネットワーク環境に左右されない | ネットワークに常につなげておく必要がある |
バージョンアップ | 手動 | 自動 |
利用デバイスの制限 | 基本PCのみ | PC・タブレット・スマホなど様々な形態に対応 |
利用台数の制限 | あり(基本1台1ソフト) | なし(アカウント単位の管理) |
ハードディスク容量 | PCにインストールするため、多大な容量を使う | 必要なデータだけだから容量がすくない |
対応OS | 各ソフトに対応したOSのみ | Mac・Windows両方に対応 |
トレンド2:最新の税制改正に対応する会計ソフト
会計・経理業務と密接に結びついている仕事として「税務」があります。会計ソフトで税務申告書を作成する場合、毎年度の税制改正に合わせ、申告書書式等をアップデートした最新バージョンのソフトを使う必要があります。
消費税増税が大きなトピック
税制における大きなトピックは、やはり消費税増税です。2014年4月に行われた5%から8%への増税で、一つ一つの取引に含まれる消費税額が変わったことをきっかけとして最新版のソフトを導入する企業が増えました。そして一度延期はされましたが、2019年10月に10%への増税が予定されており、再び対応を迫られることになります。
消費税再増税に対応できる会計ソフトの導入
システム担当者が、消費税再増税で注目しておかなくてはならないことは、10%増税時に一部の商品で軽減税率が導入される可能性があること。軽減税率が導入されると、商品ごとに税率が異なることとなり、経理処理が複雑化するため、最新の会計ソフト導入がさらに大きなメリットを持つことになります。
消費税の経理には、税込経理と税抜経理があります。比較的簡易な税込経理を行っていた会社が、軽減税率の導入を境に、商品ごとの消費税額を別に記載する税抜経理に移行するケースが増えてくるでしょう。システム担当者は、税務の変化、煩雑化による人件費等のコストを削減するため、法改正に合わせた会計ソフトを選ぶ必要があるのです。
クラウド化で経理作業をしなくても決算ができる!
すべての取引を1つの口座による取引で行っている会社は、極端に言えば、1年間経理作業をしなくても決算書が作れるだけの帳簿データができあがることになります。多くのクラウド会計ソフトは、保守契約を結ぶことで税務申告書にも毎年度対応しており、確定申告にも対応可能です。
クラウド会計への注目の高まりを受けて、老舗のパッケージソフトを発売するベンダーからも、仕訳自動入力に対応したクラウド会計ソフトにも導入されるようになっています。
法律を遵守した会計ソフトを使おう
会計ソフトを運用するうえで最も注意しなくてはいけない項目が「法律」です。税率の変動や残業時間の管理義務付けなど、管理会計部門に求められる役割はこれまで以上に大きくなってきています。
機能や操作性も重要ですが、法律にのっとった運営がされていることが前提です。その上で、自社に合ったソフトを選んで導入しましょう。
