自治体における情報発信の重要性と変化
近年、自治体のホームページは住民への重要な情報発信ツールとしての役割が一層高まっています。行政サービスの案内をはじめ、地域イベント、子育て支援、災害対策、まちづくりの取り組みなど、多岐にわたる情報をわかりやすく届けることが求められています。また、スマートフォンやSNSの普及により、誰もが手軽にアクセスできるスピーディで使いやすい Webサイト運営が必要になっています。
自治体におけるWebサイト管理の課題
自治体では、更新頻度の高いページを手作業で管理しているケースが多く、担当者の負担が大きいことが課題です。また、HTMLなど専門知識が必要なシステムを使っている場合、情報更新が遅れたり、ミスが発生したりするリスクもあります。さらに、アクセシビリティやセキュリティ対策、運用コストなども課題として挙げられます。
自治体でCMSを導入するメリット
ここでは、自治体がCMSを活用してWebサイト構築・運営を行うメリットについて詳しく解説します。
迅速に情報発信ができる
CMSを活用すれば専門知識がなくても簡単にコンテンツを更新できます。直感的な操作でコンテンツ作成が可能なほか、テンプレートを活用することでデザインや形式を整える手間も省けます。災害時や緊急時など、住民への迅速な情報提供が求められる場面でも役立つでしょう。また、多言語対応やスマートフォン最適化により、幅広い住民にアクセスしやすい形で情報を届けられます。
ウェブアクセシビリティ対応が容易になる
自治体のWebサイトはすべての住民が利用することを想定して構築する必要があるため、アクセシビリティへの配慮も欠かせません。CMSには、高齢者や障害者が利用しやすいウェブコンテンツのガイドラインである、JIS X 8341-3に準拠したテンプレートや機能を搭載したものがあります。例えば、テキストに適切な代替テキストを自動的に追加する機能や、色覚に配慮したデザイン設定などが利用可能です。これにより、すべての利用者が情報にアクセスしやすいWebサイトの構築が容易になります。
セキュリティ対策を強化できる
自治体のWebサイトはサイバー攻撃の標的となりやすいため、高度なセキュリティ対策が必要です。CMSには、不正アクセス防止機能・SSL対応・自動バックアップ・脆弱性の迅速なアップデートといった、各種セキュリティ機能を標準搭載したものが多くあります。また、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)やアクセス制限機能を利用すれば、情報漏えいや改ざんを未然に防ぐことも可能です。これにより、住民の信頼を守り、安全な情報発信基盤を構築できます。
運用コストの削減が可能
CMSは直感的な操作でWebサイト構築・管理が可能です。そのため外部業者に依頼せずとも、職員がWebサイトの構築や管理・更新を行えるようになり、コスト削減につながります。コンテンツ作成も容易になるため、Webサイトの運用・管理に必要な人員も削減できるでしょう。さらに、クラウド型CMSを選べば、サーバー運用やメンテナンスのコストを抑えられます。一部の作業を自動化できる機能もあり、人的ミスを減らしつつ効率的な運用が可能です。
自治体向けCMSの選び方
CMSを導入する場合は、自治体のWebサイトに求められる要件や役割にあった製品を選定することが重要です。ここでは、自治体向けCMSの選び方について詳しく解説します。
必要な機能を搭載しているか
自治体がCMSを導入する際は、Webサイトの目的・役割にあった機能を搭載しているかを確認しましょう。特に災害情報の迅速な発信を可能にする緊急更新機能や多言語対応、JIS X 8341-3準拠のアクセシビリティ機能は重要です。また、イベント予約や住民アンケートといったインタラクティブなサービス機能も求められる場合があります。さらに、セキュリティ機能やアクセス解析機能も欠かせません。これらの機能が標準装備されているCMSを選ぶことで、住民サービスを効率的に提供し、運用負担を軽減できます。
操作性とサポート体制は十分か
自治体向けCMSを選ぶ際には、操作性とサポート体制が十分かどうかは重要なポイントです。多忙な職員でも簡単に更新作業が行える直感的な操作性を備えたCMSを選ぶことで、運用負担を軽減できます。また、万が一のトラブルや操作上の疑問に迅速に対応してくれるサポート体制があるかも確認が必要です。導入時のトレーニングや運用中のヘルプデスクサービスが充実していれば、安心して利用できます。これにより、スムーズな情報発信と住民サービスの向上を実現できます。
サイト規模や機能を拡張できるか
CMSを選ぶ際には、サイト規模や機能を柔軟に拡張できるかも重要です。自治体のWebサイトは、住民サービスの多様化や情報量の増加に伴い、規模が拡大することがあります。そのため、大量のページやデータを管理できる拡張性のあるCMSを選ぶ必要があります。また、新たな機能追加や外部システムとの連携に対応できるプラグインやカスタマイズ性も重要です。これにより、将来的なニーズの変化にも対応でき、長期的な運用の効率化と住民サービスの充実を図れます。
自治体におすすめのCMSを比較
ここからは自治体向けのCMSや、自治体での導入実績があるCMSを紹介します。
SHANON vibit CMS Neo
株式会社シャノンが提供する「SHANON vibit CMS Neo」は、大手企業や官公庁などでの豊富な導入実績がある国産CMSです。直感的な操作性により専門知識がなくてもWebサイトやデータベースの作成・編集が可能です。1つのライセンスで複数サイトの運用や多言語サイトの構築ができ、柔軟なカスタマイズ性と高いセキュリティ対策を備えています。また、スマートフォンやタブレットからの操作にも対応し、現場での迅速な情報更新をサポートします。
価格:初期費用600,000円~、年額400,000円~
Joruri CMS 2020
Joruri CMS 2020は、自治体向けに特化した国産のオープンソースCMSです。JIS X 8341-3:2016に準拠したアクセシビリティ対応や、複数サイトの統合運用を可能にするマルチテナント機能を備えています。直感的な管理画面でWebサイト構築や更新が容易にできるほか、静的HTMLの書き出しや多様なサーバー構成への対応など、柔軟性・拡張性が高いことも特徴です。 また、自治体ホームページ再構築サービスも提供しています。
価格:Joruriクラウド運用費 月額52,800円(税込み)
官公庁・自治体向けCMS「4Uweb/CMS」
「4Uweb/CMS」は、官公庁・自治体向けに開発された国産CMSです。専門知識がなくてもテンプレート入力方式でページ作成ができ、リンク切れチェックやアクセシビリティ支援など、運用品質を高める機能を多数搭載しています。静的HTMLでの公開によりWebサーバーへの負荷を抑え、安定したサイト運用を実現します。また、スマートフォン対応や多彩な承認フローにも対応しており、自治体サイト運営を効率化します。
価格:お問い合わせください
自治体専用CMS:ネットクルー
「ネットクルー」は、自治体向けに最適化された国産CMSで、直感的な操作性と高いアクセシビリティ対応を備えています。ワープロ感覚でページ編集ができるほか、施設情報やイベント情報などのデータベース管理にも対応。ミニサイトの作成や多言語化など柔軟なサイト構築が可能です。全国の自治体で豊富な導入実績を誇り、職員主体の情報発信を支援します。
価格:お問い合わせください
UDFace 自治体専用CMS
「UDFace」は、アクセシビリティに配慮した自治体専用CMSです。ブロック入力方式で誰でも簡単にJIS規格に準拠したページ作成ができ、Wordファイルの取り込みやプレビュー編集など効率的な運用を実現します。色覚シミュレーションや自動調整機能も搭載し、誰にでも見やすいWebサイトを構築可能です。大規模サイトにも対応できる拡張性を備え、自治体の情報発信を強力にサポートします。
価格:お問い合わせください
以下の記事では、ITトレンドがおすすめするCMSを比較して紹介しています。より多くの製品から導入を検討したい方は、ぜひ参考にしてください。
自治体でCMSを導入する手順
自治体でCMS(をスムーズに導入するためのポイントを解説します。
- 1.現状分析と課題整理
- 現在のウェブサイト運用体制を確認し、更新作業の遅延・属人化・情報の一元管理不足などの課題を洗い出します。そのうえで、導入目的(迅速な情報発信、アクセシビリティ対応、運用負荷の軽減など)を明確化し、関係部署の合意形成を図ります。
- 2.システム選定とベンダー比較
- 複数のCMS製品を比較し、自治体サイトに求められる機能(多言語対応、災害時の緊急配信、アクセシビリティ対応など)を満たしているかを評価します。費用・セキュリティ対策・サポート体制・導入実績なども考慮し、自治体向け導入経験のあるベンダーを優先候補とします。
- 3.導入準備とカスタマイズ
- 既存サイトの構成を整理し、必要なデータやコンテンツをCMSに移行します。自治体の業務に合わせて承認フローや更新権限を設定し、各部署が使いやすい環境を整えます。デザインテンプレートやカテゴリ構成も、この段階で統一しておくと効果的です。
- 4.職員向け研修と運用開始
- 担当職員向けにCMS操作研修を実施し、記事作成・公開・修正の手順を習得してもらいます。運用開始後はテスト更新を行い、配信フローや承認手順を確認。各部署が自律的に更新できるよう、運用マニュアルを整備します。
- 5.継続的な改善
- 公開後はアクセス解析や更新履歴を確認し、閲覧数・更新頻度・公開スピードを指標化します。定期的に課題を見直し、デザイン改善やコンテンツ更新ルールの最適化を実施。制度改正や住民ニーズの変化に合わせて、CMS設定や運用体制を継続的にアップデートします。
上記のように自治体のCMS導入は、現状整理から製品選定、運用定着まで段階的に進めていくことが重要です。ただし、自治体ごとにサイト規模や運用体制、重視したい機能は異なるため、「どのような製品が適しているのか」「比較の際に何を優先すべきか」で迷うこともあるでしょう。
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自治体向けCMSに関するよくある質問
自治体向けCMSの導入や運用に関して、多く寄せられる質問をまとめました。導入検討中の方は、疑問解消にお役立てください。
- Q1.セキュリティ面は安全ですか?
- 自治体向けCMSは、二要素認証やアクセス権限設定、データバックアップなどのセキュリティ対策が強化されています。また、クラウド型の場合はベンダーが定期的に脆弱性対応を行うため、自庁内運用より安全性を高められます。
- Q2. CMS導入にどれくらいの期間がかかりますか?
- 導入までの期間は、既存サイトの規模や移行データ量によって異なります。一般的には要件定義から運用開始まで3〜6か月程度が目安です。ページ数が多い場合やデザイン刷新を伴う場合は、スケジュールを長めに確保すると安心です。
- Q3. 費用はどのくらいかかりますか?
- クラウド型CMSなら、初期費用を抑えつつ月額数万円から利用できるプランもあります。オンプレミス型の場合は初期構築費が高くなる傾向がありますが、自治体の予算規模や運用体制に応じて柔軟に選択できます。
- Q4.他システムとの連携は可能ですか?
- 多くのCMSでは、住民情報システムや防災情報システム、SNSなど外部サービスとの連携が可能です。API対応やRSS配信機能を活用すれば、情報発信の自動化や多チャネル展開も容易になります。
まとめ
自治体でCMSを導入する場合は、自治体のWebサイト特有の役割を果たすために必要な機能や特徴を備えている製品を選定するのが重要です。まずは各社製品の特徴について詳しく知り、比較することからはじめてみるとよいでしょう。
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