ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■運用管理を支える機能別
- 利用者の権限や職種に応じて表示を変えられる:i-MEDIC Plus++
- 職員向けの学習教材が用意されている:HOPECloudChartⅡ
- 代行入力の承認を管理できる:モバカルクリニック
- ■停止時の備え別
- 停止時にもカルテを参照できる手段がある:MAPs for CLINIC、医師協 Zebra for Karte、ドクターソフト
- 院外へのバックアップ:医師協 Zebra for Karte、Medicom-HRf Hybrid Cloud、エムスリーデジカル、HOPE LifeMark-SX
電子カルテの運用で最初に決めておくこと
電子カルテの運用では、誰がどのように記録し、間違いをどう直すかを、職員の間で共通のルールにしておくことが出発点です。運用ルールの土台になる規程と、記載・修正に関する決めごとを整理します。
運用管理規程の役割
運用管理規程とは、電子カルテをどのような体制とルールで運用するかを定めた院内の文書です。管理の責任者、利用者の範囲、アカウントの発行と削除の手続き、データのバックアップ、システムが使えなくなった場合の対応などを記載します。
厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」では、こうした運用を規程などの文書で定めることが求められています。ベンダーが提供するひな形を参考にしつつ、自院の体制や職種構成にあわせて書き直し、実際の運用と食い違わないようにしましょう。規程は作成して終わりではなく、改定した日付と内容を記録し、職員がいつでも確認できる場所に置いておくことも大切です。
記載と代行入力のルール
電子カルテでは、記録した人がログインしたアカウントの名義で記録が残ります。そのため、他人のアカウントで記載しないことを、運用の大前提として職員に徹底する必要があります。共用のアカウントを使うと、誰が記録したかが分からなくなり、記録の信頼性を損なうおそれがあります。パスワードを付箋で端末に貼るといった運用も、同じ理由で避けるべきです。
医師の指示を医師事務作業補助者などが代わりに入力する代行入力を行う場合は、入力できる範囲と、医師が内容を確認して承認するまでの手順を決めておきます。未承認の記録を誰がどの頻度で確認するかも、あわせて定めておきましょう。
修正と追記の扱い
電子カルテの記録を修正する場合は、修正前の内容が履歴として残り、誰がいつ修正したかが分かる状態であることが重要です。記録を確定させるタイミングや、確定後に修正する場合の手順を、院内で統一しておきます。
あわせて、後から気づいた内容を追記する場合の書き方も決めておきましょう。例えば、追記である旨と追記した日時が分かる形で記載する、といったルールです。記録の扱いが職員ごとに異なると、監査や開示の際に説明が難しくなるため、具体例を添えて共有すると定着しやすくなります。
電子カルテのアカウントとアクセス権の運用
電子カルテには患者の機微な情報が集まっているため、誰がどの情報にアクセスできるかを管理することは、運用の中心となる作業です。アカウントの発行から削除まで、日々の管理の進め方を整理します。
職種と役割に応じた権限の設定
電子カルテの権限は、職種や役割に応じて、必要な範囲に絞って設定するのが基本です。医師、看護師、薬剤師、医事課など職種ごとに、閲覧できる情報と記載・承認できる操作を決め、権限の一覧表として残しておきます。
職種ごとのひな形を作っておくと、新しい職員にも同じ基準で権限を付けやすくなります。一方で、例外的に権限を広げる場合は、誰の判断で、いつまで認めるかを記録しておきましょう。後から権限を見直す際の手がかりとして役立ちます。
入職・異動・退職時の手続き
アカウントの管理で抜けが起きやすいのは、職員の入れ替わりのタイミングです。入職時の発行、異動時の権限の変更、退職時の削除や利用停止を、人事の手続きと連動させる流れを決めておきましょう。
非常勤の医師や委託業者、実習生など、短期間だけ利用する人のアカウントには、利用期限を設けることも有効です。定期的にアカウントの一覧を在籍者の名簿と照合し、使われていないアカウントが残っていないかを確認する担当者と頻度を、規程に明記しておきます。
共用端末と離席時のログアウト
外来や病棟では、1台の端末を複数の職員が使うことがあります。前の利用者がログインしたまま離席すると、別の職員がその名義で記録してしまうおそれがあるため、離席時のログアウトや画面ロックをルールにしておくことが大切です。
一定時間操作がなければ自動でロックする設定や、ICカードで素早くログインを切り替える仕組みを使うと、ルールを守る負担を減らせます。利用できる仕組みは製品や端末の構成によって異なるため、現場の動線にあう方法をベンダーと相談しましょう。ロックまでの時間が短すぎると診療の妨げになるため、部署ごとに設定を調整できるかも確認しておくと安心です。
電子カルテが止まったときに備える運用
電子カルテは、機器の故障や停電、ネットワークの障害、サイバー攻撃などで使えなくなる可能性があります。止まっても診療を続けられるよう、切り替えの手順と復旧の流れを平時に決めて訓練しておきましょう。
紙運用への切り替え手順
電子カルテが使えなくなった場合に備え、紙の記録用紙や処方せん、検査の依頼票をあらかじめ用意し、保管場所を職員に周知しておきます。誰が切り替えを判断し、どのように院内へ知らせるかも決めておきましょう。外来の受付を一時的に止めるかどうかや、入院患者の指示をどう伝えるかなど、部署ごとの動きを手順書にまとめておくと、混乱を抑えやすくなります。
また、停止中に紙で記録した内容を、復旧後に電子カルテへどう反映するかの手順も重要です。スキャンして取り込むのか、入力し直すのかを決め、反映が済んだかを確認する担当を置くと、記録の抜けを防ぎやすくなります。
バックアップと復旧の訓練
バックアップは、取得しているだけでなく、実際にデータを戻せることを確かめておくことが大切です。ネットワークから切り離した場所にも保存し、複数の時点のデータを残しておくと、ランサムウェアの被害を受けた場合にも復旧の手がかりを残せます。
年に1回など頻度を決めて、システム停止を想定した訓練を行いましょう。紙運用への切り替えから、復旧後のデータ反映までを通しで試すと、手順書の不足や連絡の行き違いに気づくことができます。
ベンダーとの連絡体制
障害が起きた際に、院内の誰がベンダーへ連絡し、どのような情報を伝えるかを決めておきます。連絡先や受付時間、夜間・休日の連絡方法を一覧にし、複数の職員が確認できる場所に置いておくことが大切です。
電子カルテのベンダーとネットワーク機器の保守業者が別の場合は、原因が切り分けられないときの連絡先も決めておきます。障害の経過や対応の内容を記録に残すと、再発防止策を検討する際の材料として役立ちます。保守契約で定められた対応時間や作業の範囲も、連絡先の一覧とあわせて確認できるようにしておきましょう。
電子カルテの運用を定着させて見直す方法
運用ルールは、決めただけでは現場に定着しません。職員が理解して守れるように教育を続け、ログや点検の結果をもとに、ルールそのものも定期的に見直していくことが大切です。
職員教育とマニュアルの整備
新しく入職した職員には、電子カルテの操作方法とあわせて、記載や権限、情報管理に関する運用ルールを説明します。操作の研修と運用ルールの説明を分けずに行うと、なぜそのルールがあるのかを理解してもらいやすくなります。
マニュアルは、職種ごとによく使う操作と、迷いやすい場面の対応をまとめると活用されやすくなります。全職員を対象に、情報セキュリティに関する研修を定期的に行うことも、運用を定着させるうえで有効です。厚生労働省は医療機関向けのセキュリティ研修の教材も公開しているため、院内研修の題材として活用する方法もあります。
操作ログの点検と定期的な監査
電子カルテの操作ログを定期的に確認し、業務と関係のない閲覧や、通常と異なる時間帯の操作がないかを点検します。点検の担当者と頻度、問題が見つかった場合の対応を規程に定めておくことが大切です。
あわせて、運用管理規程どおりに運用されているかを、年に1回などの頻度で確認しましょう。厚生労働省が公表しているサイバーセキュリティ対策チェックリストを使うと、確認すべき項目を整理しやすくなります。
改定やシステム更新にあわせた見直し
診療報酬の改定や、厚生労働省のガイドラインの改定、電子カルテのバージョンアップなどがあった際は、運用ルールも見直す機会です。例えば、安全管理のガイドラインは2026年6月に第7.0版が公表されています。
見直しの結果は規程とマニュアルに反映し、変更点を職員に周知します。現場から寄せられた困りごとも見直しの材料として集め、運用の負担と安全性の両方に目を配りながら改善を続けましょう。
運用ルールづくりに役立つ電子カルテ一覧
権限の設定や代行入力の承認、停止時の参照手段、バックアップの保存先などを比べやすいよう、この記事で紹介する電子カルテを一覧にまとめました。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| i-MEDIC Plus++ | 多職種のマルチエントリーに対応し、利用者の権限や職種に応じて表示機能を最適化 |
| モバカルクリニック | 医師以外のスタッフによる代行入力が可能で、医師の承認によりカルテへ自動転記 |
| MAPs for CLINIC | 通信障害時は予備回線に自動で切り替え、ローカルでも過去カルテの参照や処方が可能 |
| 医師協 Zebra for Karte | 災害時の対策としてカルテダウンロード機能とクラウドバックアップ機能を搭載 |
| Medicom-HRf Hybrid Cloud | 診療データをクラウド上にバックアップ。個人情報の漏えい防止などの仕組みも搭載 |
| エムスリーデジカル | クラウド型でデータを自動バックアップ。システムの更新作業が不要 |
| ドクターソフト | 最大1,000患者分のカルテ情報をスマートフォンに保存し、オフラインでも閲覧できる |
| HOPE LifeMark-SX | システムの更新内容を自動で定期的にクラウドセンターへバックアップ |
| HOPECloudChartⅡ | スタートガイドや学習CDなどの学習プログラムと、教育動画の定期配信を用意 |
院内ルールを運用しやすい電子カルテ
アクセス権や代行入力の管理、停止時の備えなど、運用管理規程で決めた内容を日々の運用に落とし込みやすい製品を紹介します。自院のルールと照らし合わせながら比較してみてください。
i-MEDIC Plus++
- 医療と介護を、ひとつのシステムで一元管理
- 「治療」「ケア」から「看取り」まで生涯にわたって管理
- 法人内サービスの稼働管理で病床・施設を効率的にマネジメント
株式会社コアが提供する「i-MEDIC Plus++」は、職種ごとに表示を整理しつつ、医療と介護の記録を共有したい病院に向く電子カルテシステムです。法人内の多職種によるマルチエントリーに対応し、利用者の権限や職種に応じて表示する機能を最適化できます。シングルサインオンで医療・介護の両システムを利用でき、ポータル画面ではその日の予約情報やToDoリストを確認できます。回復期・地域包括ケア・療養型などを担うケアミックス病院を対象としています。
モバカルクリニック
- レセコンと連携し、カルテ操作のみで受付・診察会計業務が完結
- 高性能なオーダリング機能によりチーム診療を強力にサポート
- 在宅医療特化の電子カルテ『モバカルネット』との連携も可能
NTTプレシジョンメディシン株式会社が提供する「モバカルクリニック」は、代行入力のルールをシステム上で運用したいクリニックに向くクラウド型電子カルテです。カルテに記録してほしい内容を医師以外のスタッフが代行入力でき、医師の承認によって自動で転記されるため、申し送りの手間や転記のリスクを軽減できます。文書オーダーや指導オーダーの実施状況をステータス画面で確認できる点も、記録の抜け漏れの点検に役立ちます。3省2ガイドラインに準拠したセキュリティ体制を整えています。
MAPs for CLINIC
- 初期ライセンス0円!Web予約問診(LINE連携)も追加費用0円!
- 柔軟な入力セット・画面表示カスタマイズで4倍速の高速入力
- ネットワーク障害時は別回線に自動切換。オフラインでも入力可能
株式会社EMシステムズが提供する「MAPs for CLINIC」は、回線のトラブル時にも診療を止めにくい設計のクリニック向けクラウド型電子カルテです。通信障害時には予備回線へ自動で切り替わり、ネットワークが切れた場合もローカルで過去カルテの参照や一部のカルテ入力、処方箋の発行ができます。停止時の手順を決めるうえで、どこまで電子カルテで対応できるかを確認しやすい製品です。土日祝も含むオンラインサポートと訪問サポートの体制を備えています。
医師協 Zebra for Karte
- シンプルな画面構成と直感的な操作で誰でも使いやすい電子カルテ
- ORCAと連動!レセプト請求や各帳票類の作成も素早く正確で安心
- 診療報酬改定によるプログラムの更新や新機能の更新も無償で対応
一般社団法人全国医師厚生会が提供する「医師協 Zebra for Karte」は、災害やシステム停止への備えを運用に組み込みやすい、ORCA連動型の診療所向け電子カルテです。災害時の対策としてカルテダウンロード機能を搭載し、院内サーバーのデータはクラウドバックアップ機能で院外にも保管できます。専用コールセンターやリモートサポートがあるため、障害時のベンダーへの連絡体制も整理しやすいでしょう。診療報酬改定によるプログラムの更新は無償で提供されます。
Medicom-HRf Hybrid Cloud
- オンライン順番受付・モバイル型決済・オンライン問診と連携可能
- はじめてでも直観的に理解しすぐに使いこなせるUX/UIデザイン
- クラウド活用によるデバイス&ロケーションフリーを実現
ウィーメックス株式会社が提供する「Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、データの保全と情報漏えい対策をあわせて考えたい診療所向けの医事一体型電子カルテです。診療データをクラウド上にバックアップでき、災害時や障害時にも医療サービスを継続しやすくなります。個人情報保護サポート機能やファイアウォール・URLフィルター、ウイルス対策ソフトといった仕組みを搭載している点も特徴です。法令改正の際は、説明会や改正レポートの送付にも対応しています。
エムスリーデジカル
- 初期0円、AIによる自動学習で入力時間80%削減!
- 15年利用で約1,000万円のコスト削減が可能!
- 金融機関・政府機関も利用する安全技術
エムスリーデジカル株式会社が提供する「エムスリーデジカル」は、院内でのバックアップ作業や更新作業の負担を減らしたいクリニックに向くクラウド型電子カルテです。データは自動でバックアップされるため災害対策にもつながり、システムの更新作業も不要です。AIによる自動学習機能が処置行為の入力を支援し、iPadアプリでは手書きでの記載や写真の取り込みもできます。WindowsでもMacでも、端末を追加料金なしで増やせます。
ドクターソフト (株式会社油井コンサルティング)
- 医療行為を入力すればレセプトや処方箋を一挙に発行できる!
- カルテに直接手書き可能、画像・ビデオ挿入で紙以上の利便性!
- 同一患者のカルテを同時に複数の担当者で入力可能!
HOPE LifeMark-SX (富士通株式会社)
- 「メディカルシート」で定型診療の入力を大幅省略!
- カルテ入力時点で会計額チェック!患者の満足度向上!
- 「WEB診療予約」サービスで待合室の混雑を大幅緩和!
HOPECloudChartⅡ (富士通株式会社)
- すぐに使えるように専門の学習プログラムやサポートが揃っている
- ユニバーサルデザインの優しい画面で直感的に操作できる
- 病院形態に合わせて柔軟に選べる豊富なオプション機能
まとめ
電子カルテの運用では、記載や修正、代行入力のルールを運用管理規程として文書にし、職種に応じたアカウントとアクセス権を管理することが基本です。停止時の紙運用への切り替えや復旧の訓練、職員教育とログの点検も、日々の運用として続けていきましょう。権限設定や操作ログの扱い、停止時の備えは製品によって異なります。運用を支える機能を比べながら、自院にあう電子カルテを検討してください。

