サイロ化とは?意味と主な種類
サイロとは、穀物や家畜の飼料などを貯蔵する塔状の倉庫のことです。一つひとつが独立して建ち、中身が互いに行き来しない様子になぞらえ、組織の中で部門や情報が孤立する状態をサイロ化と呼びます。ここでは、ビジネスの現場で見られる代表的な種類を整理します。
組織や業務のサイロ化
組織のサイロ化とは、部署やチームが自部門の目標だけに意識を向け、他部門との連携が弱まった状態です。業務の進め方や判断基準が部門ごとに固まり、全社で協力する場面でも調整に時間がかかり、施策の実行が遅れます。縦割りの意識が強い企業や、事業部ごとに独立して運営されている企業ほど起こりやすい傾向があります。
営業部門が受けた顧客の要望が開発部門に届かず、製品改善が遅れるケースはサイロ化の典型的な例です。個々の部門は成果を上げていても、部門の境目で情報が止まるため、会社全体としては大きな機会を逃してしまいます。部門同士が互いの業務内容を知らないまま、責任の押し付け合いが起こることもあります。組織のサイロ化は、次に述べる情報のサイロ化の土台にもなります。
情報・データとシステムのサイロ化
情報のサイロ化とは、資料やノウハウ、顧客データなどが特定の部署や個人の手元にとどまり、ほかの人が活用できない状態です。同じ社内にある情報でも、保存場所や存在自体が知られていなければ、ないのと同じ扱いになってしまいます。個人のパソコンやメールの中だけに残る情報は、とりわけ見つけにくいものです。
システムのサイロ化は、部門ごとに別々のシステムを導入した結果、データの形式や連携方法がばらばらになった状態を指します。販売管理と会計、顧客管理のデータがつながらず、手作業で転記しているケースもよく見られます。経済産業省のDXレポート(2018年)でも、事業部門ごとに構築された既存システムが、全社横断的なデータ活用を難しくしている点が課題として示されています。
情報のサイロ化が起こる主な原因
情報のサイロ化は、特定の誰かの怠慢だけで起こるものではありません。目標設定や評価の仕組み、ツールの導入経緯、仕事の進め方など、組織の構造に原因が潜んでいることが多くあります。代表的な原因を2つの観点から見ていきます。
部門単位の目標設定や評価制度
部門ごとに売上や処理件数などの目標が設定され、その達成度だけで評価される組織では、他部門への情報提供が後回しになりがちです。自部門の成果に直結しない共有作業は、忙しい現場ではどうしても優先度が下がってしまいます。部門間で成果を競わせる仕組みが強いと、情報を抱え込む動きがいっそう強まる傾向があります。
評価の場で、他部門を支援した実績が見えにくい点も原因の一つです。ノウハウを出すほど自分の強みが薄れると感じる社員もおり、共有しない方が合理的だという空気が生まれます。上司が共有の手間を業務として認めていない職場では、情報発信は個人の善意に頼るしかありません。制度が行動を方向づけている以上、意識改革を呼びかけるだけでは状況は変わりにくいといえます。
部署ごとのツール導入と暗黙知の属人化
部署ごとに必要なツールを個別に導入すると、ファイルサーバーやチャット、表計算ファイルなどに情報が分散します。どこに何があるかを把握している人が限られ、担当者に聞かなければ資料にたどり着けない状況が生まれます。ツールごとにアカウントや権限が分かれていると、他部署の情報はそもそも閲覧すらできません。
また、経験やコツのように言葉にしにくい暗黙知は、文書化されないまま個人の頭の中に残りがちです。担当者の異動や退職によって、長年培われた知見が失われるリスクもあります。人材の入れ替わりが多い職場や、ベテランに業務が集中している職場では、知見が失われたときの影響がより大きくなります。暗黙知を形式知へ変える工夫がないことも、情報のサイロ化を深める原因です。
サイロ化が企業にもたらすデメリット
サイロ化の影響は、現場の小さな非効率から経営判断まで幅広く及びます。一つひとつは目立たなくても、積み重なると生産性や顧客満足度を下げる要因となります。ここでは代表的なデメリットを確認しましょう。
業務の重複と意思決定の遅れ
情報が共有されていないと、別の部署で同じ調査や資料作成を並行して進めてしまうことがあります。過去に解決済みの問題を一から検討し直すなど、組織全体で見ると無駄な工数が発生します。こうした重複は、部署が多い企業ほど表に出にくい傾向があります。他部署の失敗事例が伝わらず、同じミスが繰り返されるのも組織にとって見逃せない損失です。
意思決定の場面でも、判断に必要なデータが複数の部署に散らばっていると、集めて突き合わせるだけで時間がかかります。部門ごとに集計方法が異なれば数字の確認作業も増え、結論を出すまでに想定以上の日数を要します。最新の情報がそろわないまま判断すると、的外れな施策につながるおそれもあります。変化の速い市場では、この遅れが競争力の低下につながります。
顧客対応の質やDX推進への悪影響
顧客とのやり取りの履歴が部門ごとに管理されていると、問い合わせのたびに同じ説明を求めることになりかねません。担当者によって回答が異なれば、企業やサービスへの信頼も揺らぎます。営業とサポートの情報がつながっていないと、顧客の不満の兆しを見逃し、解約や失注を未然に防ぐ貴重な機会を逃すこともあります。
DX(デジタル技術を活用した業務やビジネスの変革)の推進にも影響します。データが部門ごとに分断されたままでは、全社のデータを組み合わせた分析や、新しいサービスづくりが進みません。新しいシステムを導入しても、元の情報が孤立していれば投資に見合う効果は得にくいでしょう。部門ごとの部分最適が続くと、システムの維持費や運用の負担も膨らみやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でナレッジマネジメントの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
自社で起きているサイロ化の兆候を確かめる
サイロ化は日常業務に溶け込んでいるため、当事者は気づきにくいものです。対策を考える前に、社内で次のような兆候が出ていないかを確かめてみましょう。複数当てはまる場合は、早めの対応が望まれます。
資料探しや同じ質問への対応に時間を取られている
必要な資料を探すのに毎回時間がかかる職場は、情報のサイロ化が進んでいる可能性があります。誰に聞けばよいかわからないという声が目立つ場合も同様です。保存場所が人や部署によって異なり、検索しても見つからない状態が典型です。似た名前のファイルが複数あり、どれが最新版か判断できない状況も注意すべきサインの一つといえます。
同じ内容の質問が特定のベテラン社員に集中している場合も注意が必要です。回答する側の業務時間が削られるうえ、その社員が不在になると業務が止まるおそれがあります。新人が質問できる相手を見つけられず、自己流で仕事を進めて品質がばらつくこともあります。社内の問い合わせ内容や件数を一度記録してみると、共有されていない情報が見えてきます。
部門間で数字や用語の定義が食い違う
会議のたびに部門ごとに異なる数字が出てくる場合、データの管理がサイロ化しているサインです。売上の計上時期や顧客数の数え方など、定義がそろっていないと、議論の前提から確認し直す手間が生じます。各部門が独自に作った集計表を持ち寄っている状態では、どの数字が正しいのかを判断する共通の基準もありません。
同じ言葉を部署によって違う意味で使っているケースも見逃せません。「案件」「受注」などの基本用語の解釈がずれていると、報告内容を誤解したまま業務が進んでしまいます。部門をまたぐプロジェクトで手戻りが頻繁に起こっているなら、この食い違いを疑ってみましょう。用語集や数値の定義を全社でそろえるだけでも、部門間のやり取りで生じる誤解や手戻りを減らしやすくなります。
情報のサイロ化を解消する進め方
サイロ化の解消は、ツールを入れるだけでは実現しません。情報の現状を把握し、共有のルールを決めたうえで、仕組みとして定着させる流れで進めることが大切です。ここでは、ナレッジマネジメントの考え方を取り入れた進め方を紹介します。
情報資産を棚卸しして共有ルールを決める
最初に、どの部署がどのような情報をどこに保存しているかを洗い出します。マニュアルや提案書、顧客対応の記録、トラブル事例などを一覧にすると、重複している情報や共有されていない知見が明らかになってきます。各部署の担当者に聞き取りを行い、よく使う情報や探すのに苦労している情報も把握しておきましょう。
次に、共有する情報の範囲や保存場所、ファイル名の付け方、更新の担当者などのルールを決めます。機密情報は閲覧権限を分けるなど、共有と管理のバランスを取ることも欠かせません。ルールは細かくしすぎると守られなくなるため、最低限の項目から始めるのが現実的な進め方です。あわせて、ナレッジの共有を評価項目に加えると、協力する行動が報われ、社内への定着を後押しできます。
ナレッジマネジメントツールで一元化し定着させる
ルールが決まったら、情報を一か所に集めて誰でも探せる環境を整えます。ナレッジマネジメントツールを使えば、文書やFAQ、ノウハウを全社で共有でき、キーワード検索で必要な情報にすぐたどり着けます。質問と回答を蓄積していけば、ベテラン社員の知見を組織の資産として残し、新人の教育にも役立てられます。
ツールを選ぶ際は、検索のしやすさや閲覧権限の細かな設定、既存システムとの連携、外出先やスマートフォンからの利用可否などが自社の運用にあうかを確認しましょう。導入後は、特定の部署で試験運用してから全社へ広げると、現場の意見を反映しながら無理なく定着させられます。閲覧数の多い記事や投稿者を定期的に紹介するなど、使い続けたくなる工夫も利用の定着に効果的です。
部門に散らばる知見を一か所に集めるツール
ここでは、情報のサイロ化を解消する観点から、検索機能や閲覧権限の設定、外部ツールとの連携を備えた製品を紹介します。部門ごとに分散した文書やノウハウを集約し、全社で探しやすくしたい企業は比較の参考にしてください。
NotePM
- 社内のナレッジ情報を蓄積・共有するツール
- 豊富なAI機能が追加費用なしで利用可能(AIチャットボット等)
- 大手・金融機関も導入。実績と安心のセキュリティ
株式会社プロジェクト・モードが提供する「NotePM」は、社内のマニュアルやノウハウを蓄積・共有できるナレッジ共有ツールです。全文検索や同義語検索、AIチャットボットを備え、必要な情報を探しやすい点が特徴です。階層型のフォルダやテンプレート、柔軟な閲覧権限の設定、閲覧履歴の確認に対応し、部署ごとに散らばった文書を一か所で管理できます。変更履歴やコメント機能もあり、ナレッジを更新しながら全社で活用したい企業に向いています。
Confluence
- 10万社以上が活用するナレッジ管理とコラボレーションの基盤
- Jira、Slack、Googleなど業務ツールと連携し情報を一元管理
- AIアシスタントRovoで検索・要約・コンテンツ作成を効率化
アトラシアン株式会社が提供する「Confluence」は、ページやホワイトボード、データベースを使ってチームの知識を集約できるナレッジ管理・コラボレーションツールです。複数メンバーによるリアルタイムの共同編集や、テンプレートを使った文書作成に対応しています。JiraやSlack、Google ドライブ、Microsoft 365などの外部ツールと連携できるため、部署ごとに分かれたツールの情報をつなげやすい点も特徴です。ページ単位の権限管理や変更履歴の確認も行えます。
まとめ
サイロ化とは、部門やシステムごとに情報や業務が孤立し、組織として連携が取れなくなる状態です。部門単位の評価制度や個別のツール導入、暗黙知の属人化などが原因となり、業務の重複や意思決定の遅れ、顧客対応の質の低下を招きます。まずは社内の兆候を確認し、情報の棚卸しと共有ルールづくりから始めましょう。そのうえでナレッジマネジメントツールを活用すれば、部門を越えて知見を生かせる組織に近づけます。

