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【図解】SECIモデルとは?4つのプロセス・具体例・企業事例をわかりやすく解説

【図解】SECIモデルとは?4つのプロセス・具体例・企業事例をわかりやすく解説

暗黙知を形式知に変換し、組織で活用していくSECIモデルは、単なる知識共有にとどまらず、業務プロセスや組織文化に変革をもたらすフレームワークです。特に変化の激しい現代においては、暗黙知の放置が企業の成長を妨げる要因となるため、積極的な知識変革の取り組みが求められます。

この記事では、SECIモデルを図や事例を交えながらわかりやすく解説します。「ナレッジマネジメントの取り入れ方がわからない」「そもそもSECIモデルとは何なのかわからない」という方は参考にしてください。

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目次

    SECI(セキ)モデルとは?(3分で要点と活用イメージ)

    SECI(セキ)モデルとは

    SECIモデルとは、個人がもつ「暗黙知」と、言語化された「形式知」を相互に変換しながら、組織的に知識を創造・共有するための理論です。経営学者の野中郁次郎氏らによって提唱されました。このプロセスを通じて、個人の知識が「組織知」として蓄積され、全体の生産性や創造性を高められます。

    現場では、個人の経験や勘に頼っていたノウハウを共有しやすい形に整え、組織全体で再利用する際にSECIモデルが役立ちます。例えば、営業の成功事例をナレッジとして蓄積して横展開したり、製造現場の技能をマニュアル化して教育に組み込んだりする運用が考えられます。

    こうした知識の共有・蓄積を続けるには、運用ルールとあわせて整理・検索しやすい仕組みを整える必要があります。まずは前提となる「暗黙知」「形式知」を確認しましょう。

    ■暗黙知とは
    言語化できず、人に伝授するのが難しい知識。熟練の職人が持つ「手の感覚」や「判断基準」、営業担当者の「顧客との信頼関係の築き方」などがこれに当たる。暗黙知は組織の競争力の源泉であり、組織的な管理や活用が求められる。
    ■形式知とは
    言語化され、マニュアルや社内FAQなどによって他者に共有できる状態になった知識。 業務マニュアルや手順書、社内FAQ、ナレッジベースなどが該当する。形式知化することで、個々の知識を組織全体に広げ、従業員の早期戦力化や業務効率の向上に寄与する。
    ▼暗黙知と形式知の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
    関連記事 【図解】暗黙知と形式知とは?意味や違い、変換法をわかりやすく解説

    SECIモデルを活用すると、ノウハウが特定の人に偏りにくくなり、担当変更や退職があっても知識が引き継がれやすい組織づくりに役立ちます。
    こうした運用を現場で進めるなら、関連ツールの機能や活用例もあわせて確認しておくとスムーズです。

    関連記事 クラウド型ナレッジマネジメントツール33選!比較ポイントも解説

    SECIモデルの土台となるナレッジマネジメントの考え方は、以下で整理しています。

    関連記事 【図解】ナレッジマネジメントとは?手法や手順をわかりやすく解説

    SECIモデルが注目されている背景

    近年、SECIモデルが注目されている背景には、企業を取り巻く環境の変化があります。人材の流動化やベテラン社員の退職により、これまで個人に蓄積されてきたノウハウや経験が失われやすくなっているためです。

    特に製造業や営業、IT部門などでは、現場で培われた判断基準や対応ノウハウが属人化しやすく、引き継ぎがうまくいかないことが課題となっています。こうした暗黙知を放置すると、生産性の低下や品質のばらつき、教育コストの増加につながりかねません。

    また、DXの推進やリモートワークの普及により、対面でのOJTや口頭伝承だけに頼らない知識共有の仕組みづくりが求められています。SECIモデルは、暗黙知と形式知を循環させながら組織知として蓄積できる点で、こうした課題への有効なアプローチとして評価されています。

    【図解】SECIモデル4プロセス|回し方と現場での具体例

    下図のように、SECIモデルは共同化(Socialization)・表出化(Externalization)・結合化(Combination)・内面化(Internalization)の4つのプロセスを繰り返し行い、新たな知識や技術を生み出します。なおSECIモデルとは、この4つのプロセスの頭文字を組み合わせた言葉です。

    それぞれのプロセスをどのように社内で回すかを考えると、共有方法やツール選定の判断軸も整理しやすくなります。

    ナレッジマネジメントのSECIモデルのプロセス図解

    共同化プロセス

    共同化は、経験を通して暗黙知を他者に移転させるプロセスです。共同化の段階ではまだ形式知化が実施されていないため、言葉やマニュアルを通じたコツやノウハウの伝授ができません。そのため、体を動かしたり五感を活かしたりして知識を共有します。

    【例】
    ・実務を通して、先輩職人の持つ技能や知識を身につける
    ・営業同行を行う
    ・OJTを実施する

    表出化プロセス

    表出化は個人が所有している暗黙知を言葉に出し、参加メンバーと共有するプロセスです。個人が蓄積してきた知識や経験を言語化したり、図や文章で示したりすることで、知識を形式知化します。主観的な知識を共有する共同化に比べ、表出化は客観的かつ論理的に他者に伝えられます。

    【例】
    ・朝礼やミーティングで、上司や同僚へ業務の細かな報告を行う
    ・業務マニュアルを作成する
    ・グループ演習で知識をアウトプットする

    結合化(連結化)プロセス

    結合化(連結化)は、表出された形式知に異なる形式知を組み合わせることで、新たな知を創造するプロセスです。共有された知識やノウハウを業務に応じてアレンジしたり、新たなシステムを導入したりすることで、新しいアイデアや知識が生まれます。

    【例】
    ・他部署での成功事例を参考に、業務効率化を図る
    ・複数の社内データを統合して、業務に活用する
    ・成功した企画をもとに、新しいアイデアを生み出す

    内面化プロセス

    内面化は、新たに得た形式知を反復練習して体に染み込ませるプロセスです。結合化プロセスで見出された新たなアイデアを実践して自身の糧とする段階であり、ここで形式知を暗黙知に変化させます。

    【例】
    ・新たに導入したソフトウェアを、マニュアルなしに操作できるようになった
    ・上司や同僚の仕事のコツを参考に実践した結果、自身の業務の質が向上した

    4プロセスを循環させるためには、情報共有の場づくりとあわせて、知識を蓄積・検索・再利用できる仕組みを整えることが欠かせません。
    SECIの循環を現場に落とし込む際は、ツールの活用イメージを押さえておくと設計しやすくなります。

    関連記事 ナレッジマネジメントツールで業務はどう変わる?具体的な活用例を解説

    SECIモデルの具体例|営業チームで4つのプロセスを回す場合

    SECIモデルは、それぞれのプロセスを個別に行うのではなく、共同化・表出化・結合化・内面化を循環させることが重要です。ここでは、営業担当者のノウハウをチーム全体へ共有するケースを例に、4つのプロセスの流れを紹介します。

    プロセス営業チームでの具体例
    共同化成績のよい営業担当者の商談に同行し、質問の仕方や説明のタイミング、顧客への対応方法などを体感する
    表出化商談後の振り返りで「なぜその質問をしたのか」「どのような反応を見て提案を変えたのか」などを言語化する
    結合化複数の営業担当者から集めたノウハウや既存の営業資料を整理し、営業マニュアルやFAQ、提案テンプレートなどにまとめる
    内面化作成したマニュアルや提案テンプレートを実際の商談やロールプレイで活用し、自分自身の営業スキルとして身につける

    例えば、トップ営業担当者の商談に同行しただけでは、そのノウハウを組織全体で活用することは困難です。そこで、商談で行っていた工夫を言語化し、ほかの担当者の知識と組み合わせてマニュアルなどに整理します。

    さらに、ほかの営業担当者がその知識を実際の商談で活用することで、新たな経験やノウハウが生まれます。それを再びチームで共有すれば、次の共同化につながります。

    このように、4つのプロセスを繰り返すことで、個人のノウハウを組織の知識へ発展させていくのがSECIモデルの基本的な考え方です。

    SECIモデルを導入するメリット

    SECIモデルを導入すると、個人が持つ暗黙知を組織全体で共有・活用できるようになります。これにより、ノウハウの属人化を防ぎながら、組織の知識資産を蓄積できる点が大きなメリットです。また、知識が循環することで人材育成や新しいアイデアの創出にもつながります。

    ノウハウの属人化を防げる

    SECIモデルでは、個人の経験や勘といった暗黙知を形式知として共有するため、特定の担当者だけがノウハウを抱え込む状態を防げます。業務手順や成功事例を組織のナレッジとして蓄積できるため、担当変更や退職があっても知識が失われにくくなります。

    人材育成を効率化できる

    暗黙知が形式知として整理されることで、業務マニュアルやナレッジベースとして活用できるようになります。新人や異動者が必要な情報をすぐに参照できるため、教育の効率化や早期戦力化につながります。

    組織の知識資産を増やせる

    SECIモデルでは、共同化・表出化・結合化・内面化のプロセスを繰り返すことで、新しい知識が生まれ続けます。この循環によって、企業の経験やノウハウが知識資産として蓄積され、組織全体の競争力を高められます。

    イノベーションを生みやすくなる

    共有された知識やノウハウを組み合わせることで、新しい発想や改善アイデアが生まれやすくなります。異なる部署や職種の知識を組み合わせることで、これまでにない商品やサービスの開発につながる可能性も高まります。

    SECIモデルに必要な4つの場と具体例

    SECIモデルでは、4つのプロセスを行うのに適した「場」があると述べています。それぞれ具体例とあわせて、詳しくみていきましょう。

    SECIモデルに必要な4つの場

    創発場

    創発場は共同化プロセスで必要です。共同化では、一緒に作業するだけでなく、ランチ会や休憩室での会話などを通じて気軽に情報共有や知識交換が行われることもあります。

    【例】
    ・ランチ会や飲み会など食事の場
    ・社内での立ち話や休憩中の会話
    ・オープンなコミュニケーションを図るために、トップが社内を歩き回る
    ・社内SNSでの情報交換

    対話場

    表出化プロセスで重要とされる場です。会議を開いたり業務マニュアルを作成したりする過程で、暗黙知を形式知化します。対話の目的を明確化したうえで、計画的に対話する場を設けることで、雑談だけで終わらずにすむでしょう。

    【例】
    ・定期ミーティングや全社会議
    ・従業員合宿
    ・1on1

    システム場

    システム場は、結合化(連結化)プロセスの際に用いられます。形式知同士を組み合わせて新たなアイデアを生み出す段階であるため、従業員同士がテキストや図を共有しながら話し合える場にしましょう。リアルタイムで更新できる資料をもち寄って、会議を行うのがおすすめです。また、対面の場よりオンラインミーティングのほうがURLや資料の共有がしやすいケースもあります。

    【例】
    ・社内SNSやチャットツール上でのディスカッション
    ・Googleドキュメントやスプレッドシートの共有
    ・オンラインミーティング
    ・ナレッジマネジメントツールの活用

    実践場

    実践場は、新たなアイデアを自分のものにする内面化プロセスで必要とされます。従業員一人ひとりが形式知を繰り返し実践して知識を習得するため、特定の場は必要ありません。実際に試してみるほか、シミュレーションを繰り返すのもよいでしょう。

    【例】
    ・自身のデスクや作業スペース

    SECIモデルの課題と解決方法

    SECIモデルは、企業における暗黙知の変革と組織的活用を実現する強力なフレームワークですが、効果を最大化するにはいくつかの課題に対応する必要があります。以下では、導入時の注意点と解決のヒントを解説します。

    継続的に循環できる仕組みを作る

    SECIモデルは、4つのプロセスをこなしただけでは完結しません。共同化から内面化までのプロセスを、何度も繰り返す必要があります。プロセスを循環し続けることにより企業の知識資産を増大させ、経営活動に活かすことが目的であるためです。

    しかし継続化が求められるフレームワークであるため、最終的なゴールをはっきりと定義できません。そのため、成果が評価しづらく途中で運用が滞る恐れもあります。導入前後の成果が可視化できるようなシステムや、プロジェクトチームに対する評価方法の構築が求められるでしょう。

    暗黙知が表出化しやすい体制を整える

    個々人が持つ知識を表出化して共有するのがSECIモデル、ひいてはナレッジマネジメントの手法です。ただし、ベテラン従業員など高度な技術をもつ一部の従業員だけが、自身の知識を他者へ共有しても、十分な効果は得られません。中には自身の経験から得たノウハウを同僚に知られたくないと考える従業員もいるでしょう。

    SECIモデルを導入する際には広報的に知識を募るだけでなく、知識が集まりやすい体制の構築も重要です。表出化する場を定期的に作ること、そして表出化することへのインセンティブを用意しましょう。

    知識資産を最大限活用するためにツールを導入する

    せっかく集めた知識を形式知化しても、誰もが気軽に引き出せるようにしなくては意味がありません。例えばマニュアルは存在しているが点在し見つけにくかったり、ナレッジベースの検索性が悪かったりすると、結合化による新たなアイデアの創出を阻害しかねません。

    個人に依存したノウハウを共有し、組織の知識として管理することは、継続的な企業活動に欠かせません。ナレッジマネジメントは、こうした「組織の知識」を活かすための土台となります。

    以下のツールの導入や体制の構築を実施することで、結合化の懸念を回避できます。さらに、従業員同士の情報共有やナレッジ共有が円滑になり、業務効率化や生産性向上につながるでしょう。

    • ●社内FAQシステム
    • ●チャットボット
    • ●eラーニングシステム
    • ●ナレッジマネジメントツール
    • ●グループウェアで社内ポータルを構築

    FAQシステムやチャットボットなどは、ナレッジマネジメントツールの一機能として含まれていることも多くあります。以下の記事では用途別のおすすめナレッジマネジメントツールを紹介しています。

    関連記事 【ランキング】ナレッジマネジメントツール24選!価格や口コミも紹介

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    SECIモデルを導入した企業の事例

    ここでは、SECIモデルに基づく知識創造を実践しているエーザイ株式会社の事例を紹介します。SECIモデルを企業活動にどのように取り入れているのかを見ていきましょう。

    エーザイ株式会社では、企業理念である「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を実現するため、SECIモデルに基づく知識創造を実践しています。患者や生活者の想いを理解するため、全社員にビジネス時間の1%を患者や生活者とともに過ごすことを推奨。そこで得た気づきや経験を社内に持ち帰り、チームで議論して課題を言語化したうえで、解決に向けた戦略の策定・実行につなげています。

    この一連のサイクルをエーザイでは「憂慮のモデル」と呼び、SECIモデルに基づくプロセスとして実践しています。また、患者や生活者との共同化を起点に具体的な行動へつなげる「hhc Driven Innovation活動」は、年間500テーマを超える規模でグローバルに展開されています。

    参考:ヒューマン・へルスケア(hhc)とは|エーザイ株式会社

     

    SECIモデルに関するよくある質問

    SECIモデルについて、よくある疑問をQ&A形式で解説します。4つのプロセスや具体例、提唱者、運用時のポイントなどを確認していきましょう。

    ■SECIモデルとは簡単にいうと何ですか?
    SECIモデルとは、個人が持つ経験や勘などの「暗黙知」と、文章や図で共有できる「形式知」を相互に変換し、組織全体の知識として蓄積・活用するためのフレームワークです。共同化・表出化・結合化・内面化の4つのプロセスを循環させることで、新たな知識を生み出します。
    ■SECIモデルの4つのプロセスとは何ですか?
    共同化・表出化・結合化・内面化の4つです。共同化では経験を通じて暗黙知を共有し、表出化では暗黙知を言葉や図で形式知にします。結合化では複数の形式知を組み合わせ、内面化では得られた形式知を実践して自分自身の暗黙知として身につけます。
    ■SECIモデルは誰が提唱したのですか?
    SECIモデルの基礎となる組織的知識創造理論は、経営学者の野中郁次郎氏によって提唱されました。野中氏は1994年の論文で、暗黙知と形式知の相互作用によって組織の知識が創造される仕組みを示し、共同化・表出化・結合化・内面化にあたる4つの知識変換パターンを提示しています。
    ■SECIモデルの具体例は?
    営業担当者の成功ノウハウをチーム全体へ共有する取り組みが身近な例です。成果を上げている担当者の商談に同行してノウハウを体感し、そのコツを言語化します。さらに、複数の担当者の知識を営業マニュアルやFAQとして整理し、ほかの担当者が実際の商談で活用します。この一連の流れを共同化・表出化・結合化・内面化として捉えられます。
    ■SECIモデルの運用にツールは必要ですか?
    必須ではありませんが、継続的に運用するにはツールの活用が効果的です。ナレッジマネジメントツールや社内FAQ、グループウェアなどを利用すると、形式知を一元管理し、検索・共有・更新しやすくなります。

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    まとめ

    SECIモデルを意識しながらナレッジマネジメントを行うことで、個人のもつ知識や技能を暗黙知から形式知へと変換し、組織の知識として活用できます。結果として企業全体の知識資産が増大し、自社ビジネスの推進力となるでしょう。社内のナレッジ共有が活性化することで、業務効率化や生産性向上にもつながります。

    SECIモデルを効率的にまわしていくには、ナレッジマネジメントツールの導入がおすすめです。SECIモデルの運用に課題を感じている方、これからSECIモデルを取り入れようとお考えの方は、ぜひナレッジマネジメントツールの導入も検討してみてください。

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