ナレッジベースとは
ナレッジベースとは「知識ベース」とも呼ばれ、業務の経験やノウハウを一か所にまとめて検索・活用しやすい状態にしたデータベースのことです。企業によってはナレッジデータベースと呼ぶ場合もあります。
企業にとって有益な知識や技術、経験などがまとめられているため、ナレッジベースは企業の知的財産ともいえます。個人で蓄積していたナレッジを管理し、社内で共有できる仕組みを作ることで、企業の生産性や競争力が向上するでしょう。
ナレッジベースの活用事例は以下のとおりです。
- ●顧客問い合わせ窓口の自動音声応答装置
- 過去の問い合わせや交信内容をナレッジとして蓄積することで、目的に応じたオペレーターへの振り分けなど一連の流れ構築に役立てられる。
- ●FAQシステム・社内wiki
- 問い合わせが多い質問や回答をナレッジとしてまとめておくことで、自己解決を促し、問い合わせ件数削減に効果的。
なお、ナレッジベースはナレッジマネジメントと混同されることもあります。違いは以下のとおりです。
- ■ナレッジマネジメント
- 個人がもつ知的資産を可視化し企業で管理・共有する経営手法
- ■ナレッジベース
- ナレッジマネジメントに必要な知識を蓄積・管理するシステム
ナレッジベースは、ナレッジマネジメントツールやその他システムに主な機能として搭載されます。
ナレッジベースはなぜ必要か
ここでは、ナレッジベースが必要とされる背景について解説しましょう。
人材の流動化でナレッジマネジメントの重要性が高まる
終身雇用制度は崩れ、人材の流動化が進んでいます。人材の入れ替えが激しいため、従業員のもつ知識やノウハウは企業に蓄積されにくい傾向にあるでしょう。即戦力となる従業員を短期間で育成するのも容易ではありません。また、従来の「先輩の背中を見てノウハウを盗む」という教育方法では、業務の属人化が起こって急な退職や休職に対応できません。そのためナレッジマネジメントの重要性が高まるとともに、ナレッジを効率的に管理するナレッジベースのニーズが高まりました。
働き方の多様化に対応
近年テレワークの普及に伴い、オフィス外で勤務する従業員への適切な教育法や、不明点をすぐに解消できる環境づくりが求められています。
さらにIT技術の発展により、データの共有は高速・大容量化しています。クラウドが一般化し、場所やデバイスを問わず必要な情報にアクセスできる環境が整いました。ナレッジベースの活用が容易になったことも、利用の後押しにつながっていると考えられます。
ナレッジベースを構築するメリット
ナレッジベースの構築で得られるメリットについて解説します。
迅速にナレッジを共有可能
ナレッジベースの最大のメリットは知識の共有がスムーズに行える点です。例えば基本的な業務知識や進め方をナレッジベースに蓄積しておけば、業務において疑問が生じた際もナレッジベースへのアクセスで迅速に解決できます。部署異動時の引き継ぎや、新入社員の教育も効率化するでしょう。
さらに業務のコツやノウハウを共有すれば、従業員全体の業務の質を向上させ、企業競争力を高められます。
他部署間での情報共有が容易
一つのナレッジベースに知識を集約することで、部署や支店の垣根を超えてノウハウや技術を蓄積・共有できるのもメリットです。
社内外の人が多く関わるプロジェクトなど、メンバーが流動的な場合においてもナレッジは活用できます。ナレッジベースを通じて得られた他部署の知識や知見をもとにすれば、新しいアイディアも生まれやすくなるでしょう。
顧客対応の品質向上
ナレッジベースのデータを活用して「よくある質問」などのFAQシステムを構築すると、顧客対応の満足度向上や業務効率化につながります。
カスタマーサポートの分野においては、問い合わせ内容に応じた適切な対応法がナレッジとして蓄積されていると便利です。対応履歴や顧客アンケートをもとに、より顧客満足度の高い案内手順がブラッシュアップされていくでしょう。
なおナレッジマネジメントツールの中には、FAQや社内Wikiの作成や、ヘルプデスクのサポートに強みをもった製品もあります。ナレッジベースの構築や活用に興味がある場合、人気製品をチェックし、まずは特徴や機能などを把握するのもよいでしょう。
ナレッジベースを構築する方法
ナレッジベースを構築したい方に向けて、ナレッジベースの作り方を紹介します。
ナレッジマネジメントツールの導入
既存システムと連携し、散在するナレッジを集約・管理できるツールです。データの検索性が高くナレッジを活用しやすいでしょう。得意とする分野は製品によっても異なります。以下、分類例です。
- ・ナレッジの蓄積や共有に特化
- ・FAQや社内Wikiを作成できる
- ・ヘルプデスクをサポートする
- ・情報検索の効率を上げる
ナレッジマネジメントツールについて深く知りたい方、製品を比較検討したい方は、以下の記事も確認しましょう。基本的な知識に加え、製品の価格・機能・口コミなどもチェックできます。
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既存システムの活用
ナレッジベースとして活用できるツールやシステムは以下のとおりです。
- データベース
- 社内に蓄積した情報を必要に応じて検索し活用できるシステム。
- グループウェア
- ファイル共有やスケジュール管理のほか、メッセージやチャットによるコミュニケーションツールとして活用できるシステム。
- ヘルプデスク
- ナレッジや文書などをデータベースとして管理できるシステム。顧客の問い合わせやクレーム内容を自動で記録します。
- データマイニングツール
- 蓄積したデータを分析するツール。自社のさまざまな事例や他社事例を蓄積し、共有も可能です。
- 文書管理システム
- 社内の文書を効率よく管理するシステム。同時に業務に必要なナレッジを共有できます。
- 社内SNS
- 社内のコミュニケーションを効率化するシステム。社員同士の書き込みにより、知識やノウハウを共有します。
ナレッジベースを構築する際の注意点
ナレッジベースは更新されなければ意味がありません。継続して運用するために、以下のポイントに気をつけて使用するシステムを選びましょう。
- ●ナレッジの入力・更新の簡便性
- ●ナレッジの検索性
例えばチャットツールのように従業員が気軽に投稿できる場でナレッジを募ります。集約・管理はナレッジマネジメントツールで自動化すれば、従業員は負担なくナレッジを提供できます。
また、蓄積されたナレッジを適切に整理分類できているか、検索性が悪くないかも確認しましょう。情報を引き出したいときに必要なナレッジが見つけられないなど、使い勝手が悪いとナレッジベースの活用頻度は落ちます。ナレッジマネジメントツールには、業務に対応したナレッジを自動的にリコメンドする機能を搭載したものもあります。ツール選定時には搭載機能や特徴についても比較しましょう。
ナレッジベースを構築し、自社の知識をフル活用しよう!
ナレッジベースは、企業にとって有益な知識や経験・ノウハウをまとめたデータベースです。個人で習得したナレッジも、ナレッジベースで効率よく共有できます。その結果、企業全体の業務効率や応対品質が向上するでしょう。
ナレッジベースの構築には、既存システムやナレッジマネジメントツールの利用がおすすめです。ナレッジベースを構築し、自社の知識をフル活用しましょう。