ビジネスフォンとは何か
まずは言葉の定義から確認します。ビジネスフォンは単なる「オフィス用の高機能な電話機」ではなく、装置と電話機と回線が組み合わさった一つのシステムです。ここを理解すると、後の種類選びや費用の話が一気に見通しやすくなります。
少ない外線を多数の電話機で共有する仕組み
ビジネスフォンの本質は、外線の共有にあります。従業員が20人いるオフィスを例にすると、実際に同時通話が発生するのは数件程度です。そこで外線を数本だけ契約し、それを主装置が受け止めて、フロアに並ぶ20台の電話機へ振り分けます。誰の席の電話機からでも同じ代表番号で発信でき、かかってきた電話も一斉に鳴らせます。
家庭用電話機は「1回線に1台(親機)」が基本のため、この共有ができません。回線と電話機が1対1で結びついているので、電話機を増やしたければ回線も増やす必要があり、番号もバラバラになります。ビジネスフォンは回線数と電話機数を切り離せる点が決定的な違いであり、この構造がオフィスの電話コストと運用のしやすさを支えています。
「ビジネスホン」「PBX」との呼び分け
調べていると「ビジネスホン」「PBX」といった似た言葉に出会います。「ビジネスフォン」と「ビジネスホン」は表記の揺れで、意味は同じです。一方PBXは Private Branch eXchange の略で、日本語では構内交換機と呼ばれます。企業内に置いて外線と内線を交換する装置という意味では、ビジネスフォンの主装置もPBXの一種です。
実務上は、数人から数十人規模のオフィス向けで主装置と専用電話機がセットになったものを「ビジネスフォン」、数百人規模以上や複数拠点を束ねる大規模・高機能なものを「PBX」と呼び分けることが一般的です。ただし境界は明確ではなく、メーカーによって呼び方も異なります。用語の違いにこだわるより、自社の規模と必要な機能で判断するほうが実用的です。
ビジネスフォンの仕組みを分解して理解する
「主装置が振り分ける」と聞いてもイメージしにくいものです。ここでは構成要素を3つに分け、着信から取り次ぎまでの流れを追いながら、なぜ保留や転送が成立するのかを説明します。
主装置・電話機・回線という3つの構成要素
ビジネスフォンは、外線を引き込む「回線」、交換を担う「主装置」、実際に話す「電話機」の3要素で成り立ちます。主装置はキャビネット状の箱で、内部にユニット(基板)を差し込んで機能を拡張します。外線ユニットを増やせば契約できる回線数が増え、内線ユニットを増やせばつなげる電話機の台数が増える構造です。
この拡張の上限が、いわゆる「10台まで」「50台まで」といった機種ごとの収容能力です。将来の増員が見込まれるなら、現在の人数ぴったりではなく余裕を持った機種を選ぶ必要があります。上限に達すると主装置ごと入れ替えになり、費用が跳ね上がるためです。電話機は主装置と対になる専用機で、原則としてメーカーをまたいだ流用はできません。
着信・保留・転送が成り立つ理由
外線に着信すると、信号はまず主装置に届きます。主装置は設定にもとづき、全台を一斉に鳴らす、特定の部署だけ鳴らす、時間帯で鳴らし分ける、といった動作を実行します。受話器を取った時点で、その外線と自分の電話機が主装置内部で結ばれる、という考え方です。
保留ボタンを押すと、その外線と電話機の結びつきが一時的に外れ、外線は主装置が保持した状態になります。この間、通話相手には保留音が流れます。別の席の担当者が点滅している同じ外線ボタンを押すと、今度はその電話機と外線が結ばれ、取り次ぎが完了します。転送も同じ原理で、主装置が結び先を差し替えているだけです。回線を主装置が一元管理しているからこそ、こうした操作が実現できます。
ビジネスフォンでできる主な機能
ビジネスフォンの価値は、日々の電話業務をどれだけ楽にできるかで決まります。ここでは基本機能と、業務効率に直結する機能を整理します。自社に必要な機能を見極める材料にしてください。
どの機種にも備わる基本機能
まず押さえるべきは、代表番号での一斉着信、保留、内線通話、外線転送、短縮ダイヤルといった基本機能です。代表番号への着信を複数台で受けられるため「担当者が席を外していて誰も出られない」という事態を防げます。内線通話は主装置内で完結するので通話料がかかりません。
加えて、ダイヤルインを利用すれば1本の回線に複数の番号を割り当て、部署ごとに直通番号を持たせられます。営業部への電話は営業部の島だけを鳴らす、といった運用が可能です。時間外の自動音声応答や、外線の発信元番号を通知する機能も広く搭載されています。これらは特別なオプションではなく標準的な装備であるため、機種選びの決め手にはなりにくい部分です。
業務効率と働き方を変える機能
差が出るのは応用機能のほうです。通話録音はクレーム対応や言った言わないの防止に有効で、後から聞き直せる安心感があります。着信履歴の共有、電話帳の一元管理、迷惑電話の自動判別といった機能を備えた機種も増えました。パソコンの顧客管理システムと連携し、着信と同時に相手の情報を画面に表示する連携機能もあります。
近年、特に需要が高いのが、スマートフォンの内線化です。社員のスマートフォンを内線端末として扱えるようにすると、外出先や在宅勤務中でも会社の番号で発着信でき、取り次ぎも社内と同じ操作で済みます。FAXをデータで送受信する仕組みを組み合わせれば、電話まわりの業務を場所に縛られず回せるようになります。
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3つの種類と自社に合う選び方
ビジネスフォンは、主装置をどこに置き、どの回線を使うかで大きく3種類に分かれます。それぞれ費用構造も運用負荷も異なるため、ここを取り違えると導入後に苦労します。順に特徴を見ていきましょう。
レガシータイプ(アナログ・ISDN回線型)
従来型の電話回線を使い、オフィス内に主装置を設置する方式です。長年使われてきた実績があり、インターネット回線の品質に左右されないため、通話が途切れにくい安定性が強みといえます。停電時にも一部の電話機が使える機種があり、確実につながることを最優先する現場では今も選ばれています。
一方で、電話機を1台増やすだけでも配線工事が必要になり、レイアウト変更やオフィス移転のたびに費用と時間がかかります。NTT東日本・西日本の固定電話網はIP網への移行が進んでおり、ISDNのディジタル通信モードは提供が終了しています。今から新規に構築する選択肢としては、将来の切り替えコストも織り込んで判断する必要があります。
IP-PBXタイプ(社内設置・IP回線型)
インターネット回線(IP網)を使いつつ、主装置は自社内に置く方式です。音声をデータとして扱うため、LANの配線をそのまま利用でき、電話機の増設や席替えが容易になります。内線通話や拠点間通話をIP網に載せられるので、支店が複数ある企業ほど通信費の削減効果が見込めます。
装置が自社にあるぶん、細かい設定を自社の運用に合わせて作り込みやすく、外部ネットワークの障害の影響も受けにくい構成です。ただし初期費用はかかり、機器の保守や更新も自社の責任範囲となります。社内にネットワークを扱える担当者がいるか、保守を任せられる業者がいるかが導入可否の分かれ目です。
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クラウドPBXタイプ(インターネット経由型)
主装置に相当する機能を事業者のサーバー上に置き、インターネット経由で利用する方式です。オフィスに大きな装置を設置しないため初期費用を抑えやすく、工事も最小限で済みます。スマートフォンやパソコンを端末として使えるので、拠点や在宅勤務者が多い組織と相性がよい方式です。
月額の利用料が継続して発生する点と、通話品質がインターネット回線の状態に左右される点は理解しておく必要があります。回線が混雑すると音が途切れることがあるため、事前にトライアルで自社環境の品質を確かめておくと安心です。小規模オフィスや、これから人数が変動する見込みの組織では有力な候補となります。
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オフィスで本格運用するなら押さえたい費用と注意点
種類の見当がついたら、次は予算と落とし穴の確認です。ビジネスフォンは初期費用だけを見て決めると失敗しやすい買い物であり、数年単位の総額と運用面まで含めて比べる姿勢が求められます。
費用は初期と月額の合計で比べる
レガシーやIP-PBXでは、主装置本体、電話機の台数分の代金、設置と配線の工事費が初期費用として発生します。金額は規模・機種・工事の難易度で大きく変わるため、必ず自社の間取りと台数を伝えたうえで見積もりを取ってください。中古機やレンタルという選択肢もあり、初期の負担を抑えられる場合があります。
クラウドPBXは初期費用が小さい代わりに、内線数やアカウント数に応じた月額料金が続きます。導入から5年程度の総額を並べて比較すると、方式ごとの損得がはっきりします。あわせて、通話料の単価、保守サポートの料金、電話機の追加購入費といった見落としがちな費目も、見積書に含まれているか確認しましょう。
導入で失敗しないための確認事項
もっとも多い失敗は、電話番号の引き継ぎに関する認識違いです。方式や事業者によっては、現在使っている固定電話番号をそのまま使えないことがあります。代表番号は取引先や名刺に載っている重要な資産ですから、契約前に必ず確認してください。
次に確認したいのが将来の拡張性です。増員や拠点追加の予定があるなら、どこまで台数を増やせるか、その際にいくらかかるかを事前に把握しておきます。加えて、故障時の対応窓口と復旧までの時間、契約期間の縛りと解約時の条件も要点です。電話が止まると業務そのものが止まるため、サポート体制は価格と同じ重みで検討する価値があります。
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オフィスの電話環境を整える製品例
ここまでの内容を踏まえ、実際にどのような製品があるのかを見てみましょう。以下はPBX・ビジネスフォンとして提供されている製品の一例です。資料を取り寄せ、自社の規模や働き方に合うかを確かめてください。
MAHO-PBX NetDevancer
- オプション料金なしの低コストで快適な電話環境を実現
- WEB管理画面から自社でサクッと設定変更できる簡単操作
- 導入から運用までずっと安心できる万全なサポート体制
株式会社まほろば工房が提供する「MAHO-PBX NetDevancer」は、IP技術を活用したPBXシステムです。オフィスに設置するアプライアンス型の3モデルとクラウド型のモデルが用意されており、導入規模や利用環境、用途に応じて選択できます。端末の追加・削減や内線番号の変更といった日常的な設定をWeb管理画面から行えるため、運用にかかる手間や保守費用を抑えられる点が特徴です。標準的なSIPに対応する電話端末のほか、スマートフォンやソフトフォンなど、さまざまな端末を利用できます。
03plus
- 工事不要、最短10分で固定電話番号を取得
- スマホやPCで会社の代表電話にチームで対応
- 通話録音・IVR・クラウドFAXなどPBX機能を搭載
まとめ
ビジネスフォンとは、主装置を中心に少ない外線を多数の電話機で共有し、内線・保留・転送を可能にする業務用の電話システムです。回線と電話機が1対1で結びつく家庭用電話機とは、構造そのものが異なります。方式はレガシー・IP-PBX・クラウドPBXの3つに分かれ、それぞれ費用構造と運用負荷が違います。自社の人数、拠点数、働き方を整理したうえで、初期費用と月額の総額、番号の引き継ぎ可否、サポート体制まで含めて比較検討を進めてください。


