PBXの耐用年数は6年
国税庁が発表している「主な減価償却資産の耐用年数表」によると、PBX(電話交換機)は「電話設備その他の通信機器」に分類されます。さらに細分化すると「デジタル構内交換設備」に該当し、PBXの法定耐用年数は6年と定められています。
なお、PBXとあわせて使用されるビジネスフォンの法定耐用年数も6年です。PBXや電話機につなぐ電話ケーブルは、10年の法定耐用年数が定められています。
法定耐用年数とは、減価償却費を正しく計算するために定められた「固定資産として経費に計上できる期間」のことです。法定耐用年数はあくまでも固定資産の会計処理に用いられる年数であり、PBXの製品寿命とは異なります。耐用年数が過ぎてもPBXを使い続けることは可能です。実際に、法定耐用年数を超過しても、不具合なく使い続けられるケースはあるでしょう。
ただし、メーカーのサポート期間終了の目安として法定耐用年数である6年が用いられることも多く、長期利用時には注意が必要です。PBXは24時間365日、休みなく稼働します。ある日突然に故障やトラブルが生じる可能性はゼロではありません。電話が使用できなくなると業務全般に影響を及ぼし、深刻な損害につながりかねないため、法定耐用年数を目安に、買い替えやリプレイスを検討するのが安全でしょう。
参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁
以下の記事では、PBXの仕組みや種類、ビジネスフォンとの違いなどについて詳しく解説しています。PBXへの理解を深めたい方は参考にしてください。
耐用年数が超過したPBXを使用する問題点
耐用年数が過ぎてもPBXを利用し続けることは可能ですが、故障や不具合などのリスクが考えられます。ここでは、製品の寿命が近づくことで起こり得る主な3つのリスクについて解説します。
故障やトラブルの可能性が高まる
利用期間が長くなるほどPBXの経年劣化は進み、故障やトラブルが起こる可能性は高まるでしょう。PBXはホコリの侵入、CPUや配線の劣化などによって電話機よりも故障リスクが高い傾向にあります。万が一PBXが動作しなくなった場合、電話業務をはじめとするあらゆる社内業務に大きな支障が生じます。
取引先と連絡が取れないことによる機会損失や信用の失墜など、修理にかかるコスト以上の損害が発生しかねないでしょう。特にコールセンターやコンタクトセンターは注意が必要です。
サポートや保証を受けられない
メーカーの保証期間は通常1年間です。なかには有料の長期保証サービスもありますが、法定耐用年数である6年以内が一般的です。メーカー保証が受けられないと、PBXに不具合が起こった際に、修理費用を自己負担しなければなりません。
ほかにも、製造の打ち切りや交換部品の欠品により、修理交換ができないケースも考えられるでしょう。
ワークスタイル変革に対応できない
長期にわたりPBXを利用している間にも、より効率的な機能を備えた製品や、コストパフォーマンスに優れた製品などが新たに登場しています。時代の流れのなかで自社のPBXが旧式化していないか、耐用年数を踏まえたうえで考える必要があるでしょう。
特に多様な働き方が広がる現代において、スマートフォンや携帯電話の内線化、個人所有のデバイスを業務に利用するBYOD環境などを導入せずにいると、同業他社に遅れをとる一因にもなり得ます。
耐用年数を過ぎたPBXのリプレイス方法
長期利用におけるリスクを避けるためにも、適切なタイミングでPBXのリプレイスを検討することが大切です。法定耐用年数は、PBXの交換時期を見極める一つの目安となるでしょう。ここからは、古くなったPBXをリプレイスする際に、どのような方法があるのかを解説します。
IP-PBXに乗り換える
事業所や営業所を多く抱えている企業にとって、PBXの買い替えはコスト的に大きな負担です。そこで、導入コストを抑えつつ事業所や営業所も含めたPBXのリプレイス方法として、IP-PBXへの変更が考えられます。
IP-PBXとはコンピュータのIPネットワーク(LAN)を利用し、専用の電話線を配線しなくとも内線電話網を構築できるシステムです。電話線ではなくIPネットワークを利用して通話します。今まで電話回線とLAN回線があったものをLAN回線に一本化することで、回線維持費用を削減できます。
電話網の変更や回線の移設、PBXの設定など外部業者への委託が必要だった作業も、LANケーブルを差し替えるだけで済むため不要になり、大幅なコスト削減が期待できるでしょう。またスマートフォンや携帯電話の内線化も可能なため、ビジネススタイルの変革にも対応し、業務の効率化にもつながります。
耐用年数を目安にする以外にも、ビジネスフォンをIP電話にリプレイスするタイミングなどで、IP-PBXへのリプレイスを検討するのもよいでしょう。
クラウドPBXに乗り換える
PBXの購入・設置・運用などの手間や、コストをさらに削減するタイプとして近年人気なのがクラウドPBXです。自社でPBXをもたず、インターネット回線を利用するのが特徴です。ベンダーが提供するクラウド上のPBXに接続し、電話機能を利用します。
クラウドPBXはハードウェアを購入・所有せず、利用料を支払います。購入費などの初期投資が少なく済むだけでなく、設置場所や要員配置などの運用コストも削減できるでしょう。コールセンターの縮小や拡大などビジネスの状況にあわせて柔軟に対応できるほか、資産を抱えないことで経営判断をしやすくするメリットが生まれるでしょう。
製品によっては、一部の事業所や営業所では従来のPBXによる環境を残し、更改時期を迎えたPBXから順次クラウド化を進めていくことも可能です。全社一気にリプレイスするほど、コストをかけられない場合にも適しています。ただし、既存の電話番号を継続して利用できないケースもあるため、サービス選定時に確認が必要です。
新たなレガシーPBXに乗り換える
オフィスに物理的な装置を設置する従来型のPBXのことです。IP-PBXやクラウドPBXと差別化するために、従来のPBXはレガシーPBXやオンプレミス型PBXと呼ばれる場合があります。
レガシーPBXは、接続した電話線同士に電気信号を流して通信を行います。電話回線を使用するため通話品質が安定しており、インターネット回線を利用しないのでサーバダウンや停電の影響を受けないのがメリットです。
一方で、オフィスに専用装置を設置するため導入に手間や費用がかかります。ただし、もともとレガシーPBXを導入していた企業ならすでに電話回線が整備されており、設置場所も確保されています。新たに電話環境を構築する必要がないため、新しいレガシーPBXへの交換工事はスムーズに行えるでしょう。現行のPBX環境を維持したい企業や、通話品質の高さや運用の安定性を重要視したい企業に適しています。
以下の記事では、おすすめのPBX製品を紹介しています。IP-PBXやクラウド型PBXサービスなども取り上げているので、広くPBXを比較検討したい方はぜひ一読ください。
メリットが多いクラウドPBXとは
現在の主流になりつつあるクラウドPBXが支持される理由として、耐用年数や寿命を気にする必要がないことや、導入コストを抑えられる点が挙げられるでしょう。ここからは、クラウドPBXのメリットについて解説します。
最新機能が利用でき耐用年数を気にしなくてよい
クラウドPBXの場合、クラウド化されたPBXのメンテナンスはサービス提供元のベンダーが実施します。耐用年数や修理費用を心配する必要はありません。
さらにセキュリティやシステムのアップデート、機能追加なども適宜行われるため、PBXを買い替えなくとも最新機能を利用できます。
スピーディーかつ低コストで導入できる
従来のPBXと違い、クラウドPBXは電話設備工事などが不要です。なかには即日導入が可能な製品もあります。時間をかけずにPBX導入を進めることで、よりスピーディーな業務効率化が実現します。
また、クラウド型ビジネスフォンとして利用可能な点もメリットです。会社支給のほか個人が所有するスマートフォンや携帯電話も内線化できるため、固定電話機や新しい端末を購入する必要がなく導入コストを抑えられるでしょう。
クラウドPBXの選定方法
クラウド型PBXは、以下のように機能・コスト・通話品質に着目して製品を選びましょう。
- ■機能
- スマートフォン・PCの内線化や固定電話番号での発着信、社外での内線通話や転送・保留など、クラウドPBXには多くの機能があります。サービスごとに搭載機能は異なるため、自社が解決したい課題や目的達成につながる機能が搭載されているか確認しましょう。
- ■コスト
- オプション料金や通話料の設定は、提供会社によってさまざまです。各サービスの料金体系を確認し、導入後に発生するすべての料金を把握したうえでコストを比較しましょう。
- ■通話品質
- 提供サービスによって通話品質に差があります。会話を聞き取りにくい状態では、電話対応業務や社内連絡をはじめとする業務全般の効率低下を招きかねません。無料トライアルを利用して、実際の通話品質を確認してみるとよいでしょう。
クラウドPBXの選定ポイントについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。人気製品や導入時の注意点なども紹介しているので、自社に最適なクラウドPBX導入の参考にしてください。
PBXの耐用年数を考慮し買い替えやリプレイスを検討しよう
利用期間が長くなるほどPBXの経年劣化は進み、故障やトラブルが起こる可能性は高まります。長期利用におけるリスクを回避するためにも、適切なタイミングでPBXをリプレイスすることが大切です。法定耐用年数は、PBXの交換時期を見極めるための一つの目安となるでしょう。
リプレイス方法には、IP-PBX・クラウド型PBX・レガシーPBXの3種類が考えられます。それぞれにメリットやデメリットがあるものの、重要なのは自社に適したPBXを選ぶことです。資料請求などを利用して、自社にマッチする製品の比較検討からはじめてはいかがでしょうか。
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