ホテル業における電話業務の課題とPBX導入の必要性
ホテル業界では、電話業務が顧客サービスの要であり、顧客満足度や業務効率に大きな影響を与える重要な要素です。しかし近年では、人手不足や多言語対応、24時間体制の難しさなど、従来の電話対応では限界を感じるホテルも増えています。
ホテル業の直面する電話業務の主な課題は以下のとおりです。
- ■正確かつ迅速な対応が求められる
- ゴールデンウィークや夏休みシーズンなどの繁忙期には予約や問い合わせの電話が殺到し、回線がパンク状態になることがあります。また、多忙な時間帯こそ正確かつ迅速な対応が求められます。
- ■電話応対のスキルの習得・向上が必要になる
- スタッフ間の電話業務における応対品質の平準化も課題の一つです。スタッフ間のスキル差が大きいほど、トラブルやクレームのもとになりかねません。
- ■多言語対応のニーズが高まっている
- 海外からの顧客の増加に伴い、多言語対応のニーズが高まっています。しかし、言語に堪能なスタッフの確保や研修にかかるコストと時間の負担が大きいのも現状の課題です。
- ■24時間体制での人員確保が難しい
- 慢性的な人手不足により、夜間や早朝の電話対応を担う人材の確保が難しい企業も多いでしょう。
- ■応対履歴を顧客管理に活かしきれていない
- 宿泊時の顧客の要望や過去の問い合わせを記録し活用することで顧客満足度の向上が期待されます。しかし電話での情報をその場で適切に記録し、すぐに活用できる仕組みがなくてはせっかくの顧客情報が活かせません。
- ■電話業務にかかるコストが経営を圧迫している
- 電話システムの保守や更新にかかるコストや電話応対のための人件費など、電話業務に関連するコストは多岐にわたります。サービス品質とコストのバランスも、ホテル経営者が抱える課題の一つです。
こうした課題を解決し、宿泊業の業務負担を軽減する手段として、PBXの導入が注目されています。特にクラウド型PBXは、配線工事不要で導入しやすく、館内連携やフロント業務の効率化に寄与するなど、従来の電話設備では難しかった対応が可能になります。
ホテル業でPBXを導入するメリット
次に、クラウド型PBXを導入することで、実際にホテルの電話業務にどのような利点があるのかを具体的に見ていきましょう。業務効率化やコスト削減など、多くの導入効果が期待できます。
初期費用に加えて、保守や交換のコスト・工数も抑えられる
クラウド型PBXは、従来のオンプレミス型システムと比べて、初期費用を大きく抑えられます。高額な機器の購入や複雑な配線工事が不要となるため、導入時のコストが低くなります。さらに、保守や交換のための費用も削減可能です。
システムの更新やアップグレードもクラウド上で自動的に行われるため、長期的な維持コストも抑えられます。これにより、限られた予算でも最新の電話システムを導入し、維持できるようになります。
客室のレイアウト変更にも柔軟に対応できる
クラウド型PBXは配線が不要なため、客室のレイアウト変更や増室をした場合でも、電話機の移動や増設といった柔軟な対応が可能です。繁忙期には回線数を一時的に増やし、閑散期には減らすといった使い方もできるようになります。季節変動の大きいホテル業界のニーズに最適に対応するため、常に効率的な運用が実現するでしょう。
ホテル外からも代表電話で発着信できる
クラウド型PBXを導入することで、ホテル外にいても代表電話での発着信が可能になります。さらに、スタッフのスマホを内線化すれば、館内のどこにいても迅速に対応でき、急な問い合わせや緊急時の対応もスムーズに。加えて、管理者は外出先からシステムへアクセスし、状況の確認・管理が行えるため、ホテル全体の運営も一層効率的になります。
系列グループとも内線で通話でき、通話料を抑えられる
内線通話は基本的に無料のため、系列グループ内のホテル同士で内線通話が可能になれば、通話料を大幅に減らせます。また、グループ全体でシステムを統一することで、スタッフが異動した際の教育コストや運用ルールの差異も最小限に抑えられます。複数の施設を運営するホテルチェーンにとっては、コストと運用の両面で大きなメリットとなるでしょう。
顧客データと連携し、電話対応の質や顧客満足度の向上につなげられる
PBXシステムを顧客管理システム(CRM)と連携させることで、電話がかかってきた際に即座に顧客情報を画面に表示できます。これにより、過去の宿泊履歴や特別なリクエストなどを踏まえた、よりパーソナライズされた対応が可能です。その結果、顧客満足度の向上とリピーター獲得につながります。
多言語対応と自動応答機能を活用できる
最新のPBXシステムには、多言語対応の自動応答機能が搭載されているものもあります。これにより、24時間体制で基本的な問い合わせに対応できるようになり、言語に堪能なスタッフが不在の時間帯でも適切な対応が実現するでしょう。
また、よくある質問に対する自動応答を設定することで、スタッフの負担を軽減し、より複雑な問い合わせに集中できるようになるでしょう。
これらのメリットは、ホテルの規模や形態にかかわらず、多くのホテルで享受できます。下のボタンから最新のPBXの資料請求が可能です。複数の製品資料を手元に取り寄せ、さっそく比較してみましょう。
ホテル業でPBXを導入する際の注意点
クラウドPBXはインターネットを介した仕組みのため、使用しているインターネット環境の悪化により、音質の低下や接続不良などに見舞われるリスクがあります。導入前に施設のネットワーク環境を整備しておくとよいでしょう。
また、新たにシステムを導入することで使い方のルールや操作方法などの周知が必要となります。可能な限り、無料トライアルやデモ体験を通じて、音質や操作方法などを確認することをおすすめします。そのほか、クラウドPBXの場合は月額料金が発生するため、ランニングコストがかかることも念頭に入れておきましょう。
クラウドPBXのメリット・デメリットについては、以下の記事も参考にしてください。
ホテル向けクラウドPBXの選び方
ホテルに適したPBXを選ぶ際は、次のポイントに注目して製品を比較しましょう。
- ●繁忙期に応じた回線数の増減が可能か
- ●既存の電話機器を利用するか、タブレットに移行するか
- ●規模や客層、業務形態にあった機能を搭載しているか
- ●自社のセキュリティポリシーを満たしているか
- ●必要なサポートを受けられるか
PBXの選定基準をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。ホテルを含むさまざまな業界で利用されているPBXの機能や価格を比較表で確認できます。
ホテル向けPBXのおすすめ製品を比較
ホテル業界での導入事例をもつPBXや、業界に特化した製品を紹介します。
MAHO-PBX NetDevancer
- オプション料金なしの低コストで快適な電話環境を実現
- WEB管理画面から自社でサクッと設定変更できる簡単操作
- 導入から運用までずっと安心できる万全なサポート体制
株式会社まほろば工房が提供する「MAHO-PBX NetDevancer」は、IP技術を活用した次世代型IP-PBXです。ホテル業務に必要な柔軟性とコスト削減を両立。クラウドモデルでは、スマホを活用した内線・外線通話、全通話録音、着信振り分け、電話会議など、フロントと客室間のスムーズな連携を支える機能を標準搭載しています。
IZUMO-PBX
- 全ての拠点を内線化でき、会社電話でどこでも発着信可能
- 高い音声品質と強固なセキュリティをもつプライベートクラウド
- 専用アプリを使えば、スマホをビジネスフォンとして利用可能
株式会社フィールトラストが提供する「IZUMO-PBX」は、ホテル内外を問わずどこからでも代表番号での通話を可能にするクラウドPBXです。スマホやPCの活用により、フロントスタッフの移動中でも対応が可能。セキュリティも高く、安心してゲスト対応に活用できます。
Arcstar Smart PBX
- ビジネスフォンの機能はそのまま、コスト削減に貢献できる!
- PBXの導入の手間や時間が抑えられる!
- 音声やメッセージでリアルタイムに会話できるオプションも充実!
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社が提供する「Arcstar Smart PBX」は、高いセキュリティ性能が特徴のクラウドPBXです。海外拠点をもつホテルグループにも適応。050番号の取得も可能で、グローバルゲストとの連携や法人利用にも適しています。
ひかりクラウドPBX
- スマホ1台で内線番号・代表番号・携帯番号の3つを使い分け可能
- 業務効率化!社員のスマホで会社宛の電話番号を着信できる
- PBX機能クラウド化!工事手配不要、保守・運用コストも軽減
東日本電信電話株式会社が提供する「ひかりクラウドPBX」は、館内・客室スタッフのスマホで代表番号や内線番号を活用できるため、清掃・サービススタッフとの連携もスムーズに。既存PBXとの併用も可能で、段階的なシステム移行に最適です。専用アプリをインストールするだけの簡単導入も魅力です。
クラコールPBX
- 低コストで新規の固定番号をかんたん取得!
- スマホから会社の固定電話番号で発着信!無料で内線が使える
- 工事不要でシンプルに電話を使いたい企業様に最適
株式会社三通テレコムサービスが提供する「クラコールPBX」は、一台から導入でき、繁忙期の予約窓口や問い合わせ対応体制の強化にもすぐに対応可能です。自動音声アナウンスや着信グループ分けなど、宿泊者対応に便利な機能も豊富。30日間の無料トライアルを利用できます。
VoiceConnect
- クラウド型のサービスで拠点数が多くても容易に導入が可能!
- 専門知識がなくてもお客様自身で社内で設定変更等ができる!
- ネッツワイヤレスとの連携機能!設備投資なしでも利用が可能
NECネッツエスアイ株式会社が提供する「VoiceConnect」は、無線LANの整備が難しいリゾートホテルや郊外の宿泊施設でも利用可能なモバイル型クラウドPBXです。館内のどこにいても通話が可能で、現場の即時対応力を強化します。通話の録音機能や内線CTI連携などの豊富なオプションも備えています。
Dialpad
- ファイルを共有して、誰とでも通話をすることが可能!
- 任意の端末で無料、無制限でのビデオ通話もスムーズにできる!
- GoogleWorkspaceなどのツールとの接続、連携、統合が可能!
Dialpad Japan株式会社が提供するビジネス電話システム「Dialpad」は、フロント業務とバックオフィスの両方に適した統合型コミュニケーションツールです。電話・チャット・会議・ファイル共有を一つにまとめ、ホテルスタッフ間の連携を一層スムーズにします。
HOT/TEL
株式会社バルテックが提供する「HOT/TEL」は、ホテル専用設計のクラウドPBXです。PMS連携や客室用タブレット、清掃管理との連携も可能。フロント業務だけでなく客室業務全体の効率化を実現できます。
3CX
3CXが提供するホテルPBX「3CX」は、モーニングコールやチェックイン・チェックアウト、ドアサイン、発信者IDによる宿泊客特定など、ホテル業務に直結した機能が豊富です。PMSとの統合によって、宿泊管理とのシームレスな連携も実現できます。
PBX UNIVERGE
日本電気株式会社提供のホテルソリューションの一つである「PBX UNIVERGE」は、館内サービス案内や地域観光情報の提供にも対応した多機能型PBXです。スマホとの連携で客室からのリクエスト対応もスピーディに行え、顧客満足度向上につながります。
ホテル向けDXに関連する記事をまとめて以下からご覧いただけます。ホテル業界に適した各種システムの比較記事や導入事例など、ぜひご確認ください。
ホテル向けPBX導入でよくある質問(FAQ)
PBXを導入する前に、多くのホテル関係者が疑問に感じるポイントをQ&A形式でまとめました。導入検討の参考にしてください。
- Q1:小規模なホテルでもPBXは導入できますか?
- A:はい。最近は1台から利用できるクラウドPBXも多く、数十室規模のホテルや旅館にも最適です。
- Q2:導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
- A:クラウド型であれば1週間〜数週間程度で導入可能です。機器工事の有無によって異なります。
- Q3:既存の電話機器をそのまま使えますか?
- A:一部のPBX製品では、既存のビジネスフォンや客室電話機の活用が可能です。メーカーによって異なるため事前確認が重要です。
- Q4:館内のどこでも通話できますか?
- A:スマホやタブレットを内線化できる製品なら、館内のどこにいても代表電話で発着信が行えます。
- Q5:セキュリティ面が不安です。大丈夫でしょうか?
- A:PBX製品の多くはVPN接続や暗号化、クラウド側のファイアウォールで通信を保護しています。特にホテル業界向けに設計された製品は安心して利用できます。
- Q6:PBXの導入に社内IT担当者は必要ですか?
- A:必須ではありません。ベンダーによっては初期設定から運用サポートまで対応してくれるため、専任のIT担当者がいない中小規模ホテルでも導入しやすくなっています。
まとめ
一口にホテル向けPBXといっても、その特徴は製品によってさまざまです。
コスト削減を重視したものもあれば、お客様向けの新しいサービスを提供するものもあり、客室電話機の概念自体を見直す時代になりました。PBXの導入を契機に、どのようなホテルを目指すのかを明確にし、適切な製品を選定することが重要です。
製品情報を効率的に比較したい方には、一括資料請求(無料)がおすすめです。自社のホテルに最適なPBXを見つけ、業務の効率化とサービス品質の向上を実現しましょう。