プロジェクト管理をエクセルで行う方法
実際にエクセルで作成作業に取り掛かる前に、WBSを用意しましょう。WBSは「Work Breakdown Structure」の略で、日本語に訳すと「作業分割構成図」となります。WBSを作成すると、タスクの洗い出しや細分化ができ、タスクの順番や必要なリソース、コストも把握が可能です。
WBSを準備したら、それをガントチャートに落とし込んでいきます。ガントチャートとは、縦軸に課題、横軸に予定や進行状況を記入する表です。プロジェクト管理の形式としてよく用いられます。ガントチャートがあれば、どのタスクにどのくらいの時間がかかるのか、いつまでに終わらせればいいのかがひと目でわかります。
なお、ゼロからガントチャートを作成する必要はありません。インターネット上には無料で配布されているテンプレートがあるため、それらを活用すると良いでしょう。
プロジェクト管理をエクセルで行うメリット
エクセルによるプロジェクト管理には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
コストをかけずに利用できる
エクセルがインストールされたパソコンを使っていれば、ソフトウェアの導入費はかかりません。エクセルテンプレートはインターネット上で無料ダウンロードできるのものが多く、コストをかけずにガントチャートを作成できます。
また、パソコンにエクセルが入っていない場合でも、Web上で無料で使えるMicrosoft Officeや、サブスクリプションでの利用も可能なので比較的導入しやすいでしょう。なお、長期的な利用であれば、買取型の永続ライセンスだとコスパが良いです。
柔軟にカスタマイズができる
エクセルのテンプレートは柔軟にカスタマイズできます。たとえば、以下のようなカスタマイズが可能です。
- ■担当者やステータスの色分け
- ■関数の追加
- ■フォーマットの変更
これらを利用して、見やすくなるように工夫しましょう。そのほか、関数の紐づけやリンク機能による一元化、Googleスプレッドシートへの変換による他者との共有なども可能です。
学習の手間なく利用できる
エクセルは以下のような特徴があるため、学習の手間がかかりません。
- ■直感的な操作が可能
- ■使い慣れている人が多い
- ■無料テンプレートがネット上で公開されており、1から作る必要がない
多くの企業でエクセルの業務利用が当たり前となっているため、新たにプロジェクト管理ツールを導入するよりも学習の手間が少なく済み、扱いやすいツールといえます。
プロジェクト管理をエクセルで行うデメリット
エクセルによるプロジェクト管理にはデメリットもあります。代表的なものを3つ見てみましょう。
計画の変更に対応しにくい
プロジェクトには途中で変更が加わることが珍しくありません。そして、変更が生じた際にはそれをエクセルのデータに反映しなければなりません。その場合、複数人のメンバーがファイルを編集する可能性があります。
ところが、エクセルはあくまで表計算ソフトのため、複数人での管理に向いていません。自由に内容を編集できるのはエクセルの長所ですが、その分明確なルールを決めておかなければ、データが分かりづらくなります。
また、どのファイルが最新版なのか分からなくなる恐れもあります。いつ誰がどの部分を編集したのかを、別途管理する必要があるでしょう。
ガントチャートの質が低い
エクセルでのガントチャートは簡単に作成できますが、作成後に変動する状況をリアルタイムで反映するのは難しいです。専門家の中には、エクセルのガントチャートを「お絵描きレベル」と評する人もいます。
エクセルは手軽ではありますが、本格的なガントチャートの作成には向いていません。その場合は専用のプロジェクト管理ツールの導入を検討しましょう。
メンバー間で共有しにくい
メンバーで共有しづらいという欠点もあります。具体的には、以下のような点が共有を困難にしています。
- ■ほかのメンバーの利用状況が見えない
- ■メンバーごとの負荷状況が見えない
- ■複数のプロジェクト管理を1画面で完結できない
- ■共有には外部ツール(メール、チャットツールなど)が必要
メンバーの状況が見えにくい点は、特にチームリーダーにとって大きな弱点となります。全体の状況が把握できなければ、適切なタスクの配分が難しくなるためです。その結果、メンバー間で負担が偏り、チーム内の不和を生む可能性があります。
また、プロジェクトが複数ある場合はその数だけエクセルを起動しなければいけません。一目で把握するのに不向きです。
さらに、エクセル自体にはメンバー間で情報を共有する仕組みがありません。そのため、ファイルの共有には外部ツールを使う必要があります。その結果、作業の工数が増えて効率が低下します。
効率的に管理できる「プロジェクト管理ツール」とは
ここまで解説してきたように、エクセルによるプロジェクト管理には限界があります。プロジェクトの数や規模が大きくなるほど、不便さが際立つようになるでしょう。そこで検討したいのが、プロジェクト管理ツールの導入です。その名のとおりプロジェクト管理に特化したツールで、エクセルが抱えるようなデメリットはありません。
たとえば、プロジェクト管理ツールで作成できるガントチャートは高機能です。急な計画の変更にも少ない手間で対応できます。また、修正したあとはメンバー間でリアルタイムに共有できます。一目で全体の状況が分かるため、負担が偏っている場合のフォローも簡単です。
プロジェクト管理を担うマネージャーだけでなく、メンバーの負担をも軽減できるツールといえるでしょう。
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エクセルだけでなく、ほかの手段も検討してみましょう
プロジェクト管理はエクセルでも可能です。安価で柔軟にカスタマイズできるうえ、多くの人が学習の負担なく利用できます。WBSを用意し、ガントチャートのテンプレートに落とし込みましょう。
しかし、急な計画変更への対応やメンバー間での情報共有には適していません。本格的にプロジェクト管理を行いたいのなら、プロジェクト管理ツールを活用しましょう。この機会に導入を検討してはいかがでしょうか。