プロジェクト管理における「コミュニケーション管理」とは
プロジェクト管理におけるコミュニケーション管理の概要を見ていきましょう。
円滑なコミュニケーションを図るためのプロセス
コミュニケーション管理とは、円滑なコミュニケーションを図るために必要不可欠なプロセスです。プロジェクトメンバーの進捗状況や課題を正確に把握するだけでなく、成功するように調整しなければなりません。
コミュニケーションを行う相手はプロジェクトメンバーだけでなく、顧客や社内の経営陣なども含まれます。重要なのはプロジェクトの情報を相手に理解できるように確認することです。
プロジェクトの失敗を防ぐことが目的
コミュニケーション管理の最大の目的は、プロジェクトの失敗を防ぎ成功へ導くことです。実際に、コミュニケーション不足が原因でプロジェクトが失敗することもあります。
コミュニケーションが不足していると、抱えている課題や不安材料を正確に把握できません。例えばプロジェクトの進捗率が良くても、時間がかかるタスクが残っていれば期限に間に合わないでしょう。
コミュニケーション管理ができていれば、早い段階で失敗の原因を摘むことができ、プロジェクトの成功率を高めます。プロジェクト管理では「利用者と開発者間」「開発者同士」「自社と協力会社間」のコミュニケーションが重要です。
コミュニケーション管理の手順
続いて、プロジェクト管理におけるコミュニケーション管理の手順を紹介します。
1:コミュニケーション計画の策定
最初にコミュニケーション計画書を作成します。以下のことを明文化しましょう。
- ステークホルダーのニーズ
- ステークホルダーがどのような人物で、コミュニケーションに対して何を求めているのかを明らかにします。
- コミュニケーションツール
- チャットやメール、電話など、どのようなツールを使うのかを明確化します。
- 責任の所在
- 誰が誰とコミュニケーションをとらなければならないのかを明らかにします。
- メッセージの緊急度
- やり取りすべき情報の優先順位を決めます。
- コミュニケーションの複雑さ
- コミュニケーションをとる二者の組み合わせや、その手段などが何通りあるのかを整理します。
2:コミュニケーションマネジメントの実施
次は、プロジェクト管理者がコミュニケーション計画書に従い、ステークホルダーから情報を収集したり、流布したりする段階です。
情報収集では、会議の開催やヒアリングなどを行い、ステークホルダーとの情報のやり取りを効率化します。一方、情報配布とは必要とされる情報を適切にステークホルダーへ提供することです。基本的にはプロジェクトの内容をまとめた連絡文書や、定例会議の議事録などのプロジェクト記録を提供します。
情報の収集・流布を行う際は、メディアの選択に注意しなければなりません。電話やチャット、メール、FAXなど、それぞれのメディアがどのようなケースに適しているのかを考え、事前に決めておきましょう。特に、専用のITツールを使う場合は、その使い方についてマニュアルを作成するなど、コミュニケーションが滞りなく行われる環境を構築する必要があります。
3.コミュニケーション監視の実施
最後は、プロジェクトにおけるコミュニケーションが適切に行われているかどうかを、プロジェクト管理者が監視する段階です。実際のコミュニケーションを監視するほか、満足度調査などを実施し、コミュニケーションの状況を把握・評価します。
そして、こうして得られた知見は、ここまで紹介したステップである計画やマネジメントに反映させます。以上の流れを何度も繰り返し、常にコミュニケーションの状況を改善していきましょう。
ちなみに、コミュニケーションが行われていないと、作業の効率が低下します。逆に言えば、作業効率が悪ければコミュニケーションに問題が生じている可能性が高いということです。作業に悪い兆候が見られたら、注意深くコミュニケーションの状況を監視してみましょう。
コミュニケーション管理を行うポイント
続いて、コミュニケーション管理を行うポイントを解説します。
事実を記録する
まず重要なのは、事実があった旨を記録に残すことです。実際にプロジェクトを進めていると、メンバー間でも「言った、言わない」とトラブルになるケースが多々あります。コミュニケーション管理の目的は記録を残すことではないため、時間がかかり過ぎる点に注意しなければなりません。
議事録を作るときは、1日以内に簡潔さと明瞭さを意識することが重要でしょう。重要な書類にもなり得るため、システム化し効果的にプロジェクトの議事録や報告書などを残すことが必要です。
ツールを活用する
コミュニケーション管理において、どのようなコミュニケーションツールを用いるかは重要な要素です。アナログな方法ではリアルタイムな情報共有が難しく、認識に齟齬を来すことがあります。だからといって、高度なITツールでは使いづらく感じる人も多く、円滑なコミュニケーションが阻害されます。
そこで検討したいのが、プロジェクト管理ツールの活用です。これはプロジェクト管理を効率化するITツールで、そのための機能を多く備えています。コミュニケーション管理機能もその1つです。プロジェクトにおける利用を前提としているため、スムーズに使えます。
プロジェクト管理におけるコミュニケーションのコツ
コミュニケーションに誤解はつきものです。言語によって情報を伝達する以上、認識の齟齬をゼロにすることはできません。
しかし、誤解を最小限に抑えることは可能です。そのための方法として、5Cという考え方が提唱されています。これは、Cを頭文字とする5つの概念のことです。
- 1.Correct
- 正しい文法と正しい記述
- 2.Concise
- 簡潔な表現と過剰な言葉の排除
- 3.Clear
- 明確な目的と読み手のニーズに合った表現
- 4.Coherent
- アイデアの分かりやすく論理的な流れ
- 5.Controlling
- 言葉とアイデアの流れのコントロール
以上を意識すると文章が洗練され、認識の齟齬が生じにくくなります。
円滑なコミュニケーションを行い、プロジェクト管理を効率化
プロジェクトの成否はコミュニケーションによって大きく左右されます。プロジェクトメンバーが円滑にコミュニケーションをとれるよう、リーダーはその環境を構築しなければなりません。
具体的には以下の対策が必要です。
- ■計画書の作成
- ■マネジメントの実施
- ■監視と改善の繰り返し
また、以下のことを意識しましょう。
以上を踏まえ、プロジェクトを成功に導きましょう。