5部門の事例から見る!RPAの活用法
RPAツールを導入するとどのような業務を効率化できるのでしょうか。ここでは、マーケティングや経理、人事・総務、情報システム、開発部門での活用事例を紹介します。
マーケティング:施策レポート作成業務の自動化
マーケティング部門での活用例は、アクセス解析をするためのレポート作成が挙げられます。専用のツールから条件を指定してレポートを出力し、適切な形に加工するのは人力では手間がかかり、レポートの数が多ければ多いほど工数が増えていくことになります。でも実は、このように手順が頻繁に変わらないレポート作成業務はRPAに置き換えることができるのです。
マーケティング部門が時間をかけるべき業務はレポートの作成自体ではなく、それを元に分析し改善方法を立案・実行することでしょう。単純なレポート作成業務をRPAで自動化することで、担当者が本来割くべき施策や戦略の立案に集中することができます。
経理:入金/支払消込の自動化
経理部門での活用例は、請求や支払い業務において回収予定表や支払予定表を作成して入金/支払消込をする作業の自動化が挙げられます。経理部門は企業のお金の流れを管理、記録する部門であり、仕入れや売上金額を管理して貸借対照表(B/S)や損益計算書といった企業にとって重要な資料の作成にも携わっています。経理部門が特に多忙となる月末月初に、作業が自動化され滞りなく進められることは大きなメリットがあります。
人間が作業をすればヒューマンエラーのようなミスをゼロにすることは難しいものですが、RPAは事前に指示した作業手順があってさえいれば、人間が作業をするよりも正確に処理を進めることができるでしょう。また人間と違って24時間365日稼働し続けることができるため、締め切り前に余裕をもって処理を完了させることも可能です。
人事・総務:過重労働対象の検知・人事考課表の作成の自動化
人事・総務部門での活用例は、近年話題になっている長時間労働の抑制に関する業務が挙げられます。膨大な出退勤データの中から、人事担当者の手で長時間労働者を探そうとすると、一人ずつチェックする必要があり工数がかかります。そこでRPAを活用することで月内の労働時間の落着を予想しながら、規定以上労働しそうな従業員を検索して見つけ出す手順を自動化することができます。
その他人事評価に関する業務においては、評価表を作成したりメールで対応を促すなどのさまざまな事務作業が発生することがあります。RPAに任せる業務と、人事担当者自らが実施する業務と上手く分担しながら進めていくのが良いでしょう。
情報システム向け:システム・サーバー運用監視業務の自動化
情報システム部門での活用例は、オペレーション作業の運用や監視が挙げられます。例えば、オペレーション作業の中には定期的に行うログ確認やアプリケーションの動作確認などがあり、システム障害発生時に全社にメールでアラートをあげたり、システムを再起動することも手作業である場合がほとんどです。これらの作業は、企業毎にマニュアル化されていることも多くRPAで自動化することができるのです。
またRPAと似たRBAというシステムがあり、こちらはシステムの運用管理ツールを連携して自動化することに長けているため必要に応じてRBAを活用するのも良いでしょう。自動化によってシステム運用を確実かつスピーディーに行い、安定稼働に繋げることができます。
24時間稼働しているシステム・サーバーの運用監視には、実は人の手による定型作業が比較的多く含まれているので、自動化して効率化できるものがないか見てみるのもおすすめです。
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サービス開発向け:Webサービス/システムのテスト業務の自動化
サービス開発部門でもPRAが活用できる例を紹介します。開発業務は基本的にはエンジニアがプログラムを組んでいく人間中心の業務ですが、簡易的な動作テストであればRPAで自動化することができます。例えばWebシステムの動作テストは複数のブラウザで動作確認を行いますが、一つずつ手作業でブラウザを起動し確認することは、テストの回数が多ければ多いほど負担となります。
RPAツールを使えば、同時に複数のブラウザでテストを行い、チェックシートに結果を記入してテスト終了を担当者に通知することまで自動化することができ、工数を大幅に削減することが可能です。
そもそもRPAツールとは
RPAツールとは定型作業や単純業務を自動化できるツールのことであり、業務の効率化や人件費の削減に繋がるとして近年注目を集めています。例えば、以下のような業務をRPAで自動化することができます。
- ・定型フォーマットの文書を社内システムに入力する
- ・システムから決められた項目をもとにレポートを作成する
- ・業務交通費など申請内容を確認する
RPAによる自動化に向いている作業の例としては、単純な入力業務やデータチェックなどが挙げられます。RPAツールにはOCR連携や分岐処理、繰り返し処理などの機能が備わっており、これらを活用することで人間の手で行われていた業務を自動化できるのです。
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RPAと◯◯の違いは?
RPAを理解する上で、よく混同されがちなのがAIやbotです。また、通常のシステム開発との違いが分からないという方もいるのではないでしょうか。それぞれの違いを見ていきましょう。
AIとの違いは「ツール自身が判断できるかどうか」
AIとの大きな違いは、指示された内容を受けて「分析・判断まで行うか」どうかです。RPAは人間が指示した通りの内容しか行いませんが、自己学習機能のあるAIは自ら考え判断して行動することができます。
botとの違いは「活用場面・目的」
botとの大きな違いは「活用場面・目的」です。規定のルール通りに行動して自動化することが目的のRPAと違い、botはユーザーとの会話を目的とする点が大きな違いといえるでしょう。
システム開発との違いは「要件定義・開発運用のポイント」
「作業を自動化する仕組みなら、自社でシステム開発することもできるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかしRPAとシステム開発では、利用開始に至るまでの期間と設計方法に違いがあります。
システム開発の場合、現状の業務の洗い出し~プログラミング~開発完了まで数ヶ月単位で考える必要がありますが、RPAは処理手順を一度登録しさえすればすぐに利用を開始することができます。
また設計方法についても、一般的なシステム開発においてはプログラミングについての知識が必須ですが、RPAは専門的なスキルがない人が使用する前提のシステムであるため、簡単に設定をすることができるでしょう。
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RPA導入のメリット
RPAを導入するメリットは主に以下の3点にまとめられるでしょう。
- コスト削減
- 単純業務をRPAに任せることで残業時間短縮に繋がり、人件費削減の効果があります
- 生産性の向上
- 企画立案などの付加価値の高い業務に集中しやすくなり、企業全体での生産性向上に繋がる
- ヒューマンエラーの防止
- 設定された作業手順を機械的に実行していくため、長時間連続稼働してもミスが起きない
これらのメリットは多くの企業にとって非常に価値の高いものであり、人材の売り手市場化や長時間労働の是正が求められる中、企業がRPA導入に踏み切る理由となっています。
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RPAをうまく活用するためのポイント
RPAを有効活用するには、どのような点に留意すればよいのでしょうか。2つのポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
まずはスモールスタートで
RPAを導入して劇的な効果を狙いたいところですが、まずは小さな成功を積み重ねることが大切です。自動化したい業務の中でも、ルールやフローを定義しやすく、現場が「面倒くさい」と感じている小さな業務から自動化することをおすすめします。
対象業務の洗い出しには、各部門にヒアリングを行ったり社内アンケートを取るとよいでしょう。導入担当者が把握できていない、小さな業務が出てくるはずです。それらの業務を一つずつ効率化させていくことで現場の生産性向上も期待できます。
時間がかかる日々の単純作業から始める
では洗い出した業務の中から、どのような業務が自動化に向いているのでしょうか。以下にポイントをまとめました。
- ・日次など、高頻度で行っている
- ・多くの時間を割いている
- ・時間と工数をかけてでも、行わなければならない
- ・マニュアルやルールが存在する
これらのポイントを踏まえて業務選定を行い、実際にRPAツールを稼働させていくことで、自動化によるメリットを感じやすくなるでしょう。
部門別の事例から自社での活用イメージを持とう
部門別の活用事例を中心に紹介してきました。自社での具体的な活用イメージは湧いてきたでしょうか。活用イメージを持つことができたら、次にどんなRPA製品なら自動化しやすいか考えていきましょう。実際のRPA製品の資料をチェックして比較してみましょう。