テキストマイニングとはどのような技術か
変遷を追う前に、何を行う技術なのかを押さえておきましょう。
テキストマイニングが担う役割
テキストマイニングとは、自由に書かれた文章を分析し、そこに含まれる傾向や関係性を取り出す技術です。アンケートの自由記述、問い合わせの記録、口コミといった、表計算ソフトでは集計しにくい情報が対象になります。
選択式の設問であれば、集計は容易です。しかし、自由に書かれた内容は一件ずつ読むしかなく、件数が増えるほど全体像をつかみにくくなります。この作業を支え、どのような話題がどれだけ現れているかを示すことが、この技術の役割です。
日本語を扱ううえでの前提
英語のように単語が空白で区切られる言語と異なり、日本語は文章が続けて書かれます。そのため、まず文章を意味のある単位に切り分ける処理が必要になります。この処理は形態素解析と呼ばれ、日本語を扱うテキストマイニングの土台にあたります。
切り分けの精度は、辞書の内容に左右されます。業界特有の用語や製品名、略語が辞書に含まれていなければ、意図しない単位で切られる場合があります。自社で使う言葉を辞書へ追加できるかは、実務上の重要な確認点です。
技術の変遷
どのように発展してきたかを、三つの段階に分けて確認します。
単語の切り出しと集計を中心とした段階
初期の手法は、文章を単語に切り分け、出現の回数を数えることが中心でした。どの言葉が多く使われているか、どの言葉とどの言葉が同時に現れやすいかを集計し、傾向を読み取る進め方です。
結果を図として示す表現も、この段階から用いられています。出現の多い言葉を大きく表示する図や、関係の深い言葉を線で結ぶ図が代表的です。仕組みが分かりやすく、結果の根拠もたどりやすい一方、言葉の使われ方や文脈までは捉えにくいという限界がありました。
機械学習を取り入れた段階
その後、大量の文章から特徴を学習させる手法が取り入れられました。あらかじめ分類の例を与えて学ばせ、新しい文章を自動で振り分ける使い方や、肯定的か否定的かといった評価を推し量る使い方が広がりました。
単語の集計だけでは扱えなかった、似た意味を持つ表現のまとめや、文の構造を踏まえた処理も進みました。一方で、学習に使うデータの偏りが結果に影響する点や、なぜその判断になったのかを説明しにくい点は、扱ううえでの課題として残ります。
大規模な言語モデルを活用する段階
近年は、大量の文章で学習した言語モデルを活用する構成が広がっています。文脈を踏まえた要約、話題ごとの分類、質問への回答といった処理を、事前の学習作業を大きく減らして行える点が特徴です。
ただし、示された結果が常に正しいとは限りません。もとの文章にない内容が生成される可能性もあるため、根拠となる記述を確認できる仕組みとあわせて使うことが求められます。扱うデータの取り扱いについても、事業者の方針を確認しておく必要があります。
活用の広がり
技術の発展に伴い、使われる場面も広がってきました。二つに分けて確認します。
顧客の声を扱う場面
アンケートの自由記述、問い合わせの記録、Web上の口コミといった情報を分析し、製品やサービスへの評価を把握する使い方です。件数が多く、担当者が読み切れない場合に効果が見込めます。
どの話題が多く語られているか、時期によって傾向が変わっているかを確認できます。ただし、示されるのは書かれた内容の傾向であり、書かなかった人の意見は含まれません。回答した層に偏りがないかを踏まえて読む姿勢が求められます。
社内の記録を扱う場面
問い合わせ窓口の対応記録、営業の報告、従業員向けの調査の回答といった社内の文章を分析する使い方です。現場で起きている事象や、繰り返し寄せられる相談を把握する材料になります。
対応記録から多い相談を抽出し、案内の見直しやFAQの整備につなげる進め方もあります。従業員の回答を扱う場合は、個人が特定されない形で集計することが前提です。取り扱いの範囲を事前に整理し、対象者へ説明しておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でテキストマイニング製品の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
導入前に確認したい注意点
技術が進んでも、扱ううえで押さえておきたい点は残ります。二つ挙げます。
分析結果の読み取り方
示されるのは、対象とした文章に含まれる傾向です。その傾向が生じた理由までは示されません。多く現れている言葉があっても、なぜそう書かれたのかは別に確認する必要があります。
結果を鵜呑みにせず、実際の記述をいくつか読んで確かめる工程を挟むことが望まれます。集計の対象とした期間や母数も、解釈に影響します。何をもとにした結果なのかを明示したうえで、社内で共有しましょう。
準備が必要なデータと辞書
分析の対象となる文章が、まとまった形で保管されていなければ着手できません。複数の場所に分散している場合は、集める工程から始めることになります。
あわせて、辞書の整備も必要です。自社の製品名や業界用語が正しく認識されなければ、集計の結果も実態から離れます。運用しながら辞書へ追加していく前提で始め、担当と手順を決めておきましょう。この作業を続けられるかが、活用が定着するかを左右します。
テキストマイニングツールの選び方
ここまでの内容を踏まえ、ツールを選ぶ際の確認事項を整理します。
対象データと目的の整理
最初に、何を分析したいのかを具体化します。顧客の評価を把握したいのか、問い合わせの傾向を知りたいのか、報告書から課題を抽出したいのかによって、必要な機能が変わります。
あわせて、対象となる文章の件数と一件あたりの長さも整理しましょう。件数に応じた料金体系を採る製品もあり、規模の想定は費用の試算に関わります。データがどこに保管されているか、取り込める形式かも確認しておく必要があります。
分析機能と出力の形式
単語の集計、言葉どうしの関係の把握、評価の傾向の推定、話題ごとの分類といった機能のうち、必要なものを整理します。結果をどのような図や表で示せるかも確認点です。
社内で共有する資料として使う場合は、出力の形式が扱いやすいかが実務に関わります。分析の条件を保存して繰り返し実行できるか、期間を変えて比較できるかもあわせて確かめておきましょう。辞書の追加や編集をどこまで行えるかも重要です。
費用とサポート範囲の確認
料金は、利用人数に応じた月額制、分析するデータ量による課金、初期費用と月額の組み合わせなど、製品によって考え方が異なります。想定する使い方にあてはめて試算すると比べやすくなります。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。操作方法の案内にとどまるのか、辞書の整備や分析の進め方を相談できるのかは製品ごとに差があります。社内に分析の経験者がいない場合は、この部分の充実度が活用を左右します。
活用の広がりを支えるテキストマイニングツール
分析したいテキストの種類にあわせて検討できるツールを紹介します。
見える化エンジン
- SNS/アンケート/コールログなどあらゆる顧客の声 (VoC)を一元化!
- 15年連続シェアNo.1のテキスト解析×AIで不満の原因・感情を可視化
- 40種超の分析機能×1,900社の導入実績・専任コンサルの伴走支援
株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供する「見える化エンジン」は、アンケートやコールセンターの記録を分析できるテキストマイニングツールです。自由記述のコメントを自動で分類・集計する機能を備えており、大量のテキストから傾向を読み取る作業を効率化できます。
Flyle(フライル)
- 生成AIによる高精度の文脈理解、分析工数の大幅削減
- 部門別に最適化できるワークフロー機能
- 分析支援AIエージェントで誰もが手軽にインサイトを抽出
株式会社フライルが提供する「Flyle(フライル)」は、顧客からの問い合わせ内容を分析できるツールです。テキストデータをもとにした要望の傾向把握に対応しており、商品企画やカスタマーサポートの改善に活用する使い方が想定されています。
TextVoice
- リサーチ会社ならではの分析機能を搭載!
- 生成AIではないので学習リスクなし!
- 無料トライアルプランご案内中!
マイボイスコム株式会社が提供する「TextVoice」は、アンケートの自由記述回答を分析できるテキストマイニングツールです。同社が持つ調査データとの組み合わせにも対応しており、市場調査の分野での活用実績があります。
AIテキストマイニング (株式会社ユーザーローカル)
- 感情解析や自動要約などAIを駆使した高度な解析機能!
- 隙のない暗号化による強固なセキュリティ!
- 無料版で使用感を確認可能!
TRAINA (株式会社野村総合研究所)
- 20年以上の歴史・600社に導入された実績あり
- 実際の業務に即した高いユーザビリティ
- 独自に開発された意味・感情解析技術により高精度の解析を実現
テキストマイニングに関するよくある質問
導入を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: どのくらいの件数があれば分析できますか?
- 一律の目安はありません。細かく分類するほど、それぞれに一定の件数が必要になります。まず手元にある文章の件数を把握し、実現したい分類が成り立つかを確認するとよいでしょう。件数が少ない段階では、通読と併用する進め方も選べます。
- Q2: 専門的な知識がなくても扱えますか?
- あらかじめ用意された分析の型を選ぶだけで結果を確認できる製品もあります。ただし、結果の読み取りには対象となる業務の理解が必要です。試用の機会があれば、実際に使う担当者に操作してもらって確かめましょう。
- Q3: 分析の結果はどの程度信頼できますか?
- 示されるのは対象とした文章の傾向であり、理由までは示されません。実際の記述を確認する工程を挟み、集計の条件とあわせて解釈することが望まれます。判断の根拠として使う場合は、複数の材料と照らし合わせましょう。
- Q4: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 対象データの保管状況や、辞書の整備にかかる時間によって幅があります。既に整理されたデータがあれば短期間で始められる一方、複数の場所から集める作業を伴う場合は準備に時間を要します。まず一部のデータで試す進め方も選べます。
まとめ
テキストマイニングは、単語を切り出して集計する手法から始まり、機械学習の応用を経て、文脈を踏まえた処理が可能な段階へ発展してきました。日本語では文章を意味のある単位に切り分ける処理が土台となるため、辞書の整備が実務上の重要な要素になります。示されるのは傾向であり理由ではない点を踏まえ、実際の記述と照らし合わせて読むことが求められます。対象データと目的を整理したうえで、分析機能や費用を比べて選びましょう。

