業務フローを無視したアウトソーシング
経理業務のアウトソーシングは珍しいものではなくなってきており、実施している企業も多くなってきています。しかし、経理のアウトソーシングを、ただ単に単純作業の代行業者として考えていると失敗してしまいます。
本来、経理業務をアウトソースするということは、法令や現状の経理業務に対して最適な対応ができる「高い専門性を有した外部の知見を活かす」ということです。つまり、専門性では優れている場合が当然多いのですが、その業者は社外の人材であることを忘れてはなりません。
外部の人材ということは、会社の戦略を理解していないということも往々にしてあります。そうした場合、正確な業務フローを理解せずに決まりきった経理作業を行ってしまうため、異例な場合などに対応することができないのです。こうしたことで失敗を招いてしまうことはよくあります。
また、アウトソーシングする際に、現場を把握している経理担当者との連携を軽んじて導入してしまうことによる失敗もあります。基本的に、アウトソースは社内と社外の連携が必須です。内外の業務連携ができておらず、無駄な工数が多くかかってしまうということが失敗に繋がります。
アウトソーシングする際に、経理部の業務フローやプロセスをしっかりと整理して、委託先の専門家に共有し、役割と責任分担を明確にすることを心がけましょう。 特に社内の給与計算を一手に担っている場合は、作業自体がブラックボックス化していることも少なくありません。積み上げてきたノウハウを共有し、それぞれの企業固有の状況を活かせるようなアウトソーシング先との提携を目指しましょう。
スペックオーバーな提案
前述の通り、経理業務をアウトソースするということは、会社の業務の「一部」を外部に委託するということなので、基本的に発注先企業と受注先業者の協業になるということを意識すべきです。
そもそも経理業務というものは、想像以上に企業のローカルルールに依存しているものです。「うちの会社ではこれが普通だと思っていたが、実は一般的には異例だった」ということもよくあります。こうしたことを理解していないと、詳細な業務内容をアウトソーシング先に伝えず、ただ経理という業務そのものをアウトソースして失敗してしまう状況を招きます。
そうしたことをなくし、適切な提案を受けるためにも、自分の会社の経理まわりの状況を正確に把握し、アウトソーシング先の担当者と、現場の社員でコミュニケーションをとってもらう機会を設ましょう。また、アウトソーシング企業にも、適切なスペックの業務内容を引き受けてもらうことが重要です。
得意とする業務方針があるはずですが、画一的な提案を受けたときも、自分の会社の状況と照らし合わせ、柔軟に提案を変化させてくれる業者を選ぶことをお勧めします。 適切な依頼が結果として、長期的に失敗しない経理業務アウトソーシングに繋がるのです。
会社の理念や未来像を理解してもらえない
経理部は、会社のお金という大事なものをつかさどるいわば心臓部分です。経営理念に準じて適切に業務を遂行し、会社を成長させていかなければなりません。 会社の理念や経営方針、目指すべき未来像によってその業務内容は変わってくるはずですので、アウトソーシング会社にも理解してもらう必要があります。
例えば、さらに従業員を増やし会社の規模を大きくしていきたいというビジョンを持つ企業と、少数精鋭で必要な作業のみ業務委託として外部業者を利用したいという方向性の会社では、経理業務のアウトソーシングの方法に違いがあって当然です。画一的な業務を代行してもらう、という考え方ではなく、会社の「こうなりたい」というビジョンを明確に伝え、フレキシブルに作業内容を変化させてくれるアウトソーシング先を選ぶことが成功の秘訣といえるでしょう。
さらにいえば、会社の数字を理解してもらい、将来的な経営課題や業務の最適化の課題を提案してくれるようなアウトソーシング会社をパートナーとして選ぶことができれば、その判断は正解と考えることができます。
以下の記事では、経理アウトソーシングのメリットや選び方を解説しています。ぜひ参考にしてください。
経理アウトソーシングに関するFAQ
経理アウトソーシングは専門業者に任せれば安心というわけではなく、業務フローの共有や連携が欠けると失敗につながります。紹介した失敗要因をもとに、疑問に感じやすい点をまとめました。
- ■Q1:経理業務をアウトソーシングすると、なぜ異例な対応ができなくなるのですか?
- 外部の担当者は会社の戦略や業務フローを詳しく知らないまま、決まりきった経理作業のみを行う場合があるためです。正確な業務フローを共有していないと、通常と異なるケースに対応できません。委託前に業務フローやプロセスを整理し、委託先の専門家に共有することが重要です。
- ■Q2:経理業務のアウトソーシングで「スペックオーバーな提案」とはどのような状態ですか?
- 自社のローカルルールを詳細に伝えないまま、経理業務そのものを丸ごとアウトソースしてしまう状態を指します。自社では普通と思っていた業務が実は一般的でないケースもあり、状況を正確に把握して伝えないと、業者側も適切な提案ができません。
- ■Q3:社内の給与計算をアウトソーシングする際に注意すべき点はありますか?
- 給与計算を一手に担っている場合、作業自体がブラックボックス化していることが少なくありません。積み上げてきたノウハウをアウトソーシング先にきちんと共有し、自社固有の状況を活かせる提携を目指す必要があります。
- ■Q4:アウトソーシング先に会社の経営方針や将来像まで伝える必要があるのはなぜですか?
- 経理部は会社のお金を扱う心臓部分であり、経営理念にもとづいて業務を遂行する役割を担っています。従業員を増やして規模を拡大したい企業と、少数精鋭で一部業務のみ委託したい企業とでは、適した委託方法が異なるためです。
- ■Q5:長期的に失敗しないアウトソーシング先を選ぶには何を重視すべきですか?
- 画一的な業務代行ではなく、自社の状況やビジョンにあわせて提案内容を柔軟に変化させてくれる業者を選ぶことが重要です。会社の数字を理解し、将来の経営課題や業務最適化まで提案してくれるパートナーであれば、長期的な連携先として適しています。
自社に合うアウトソーシングを実施しよう
会社の長期的な成功を導くには、業務をサポートしてくれる連携先の選択が非常に重要です。本来経理部というものは、経営陣と戦略的な議論を交わし、会社経営を成功に導くコアな部署です。単純作業に追われてしまうことで、そうした本質的な業務をする時間が少なくなってしまうことほどもったいないことはありません。
アウトソーシングを実行することによってその時間をしっかりと捻出できるように、会社の企業理念を理解し、臨機応変に対応してくれるアウトソーシング先を見つけましょう。



