コールリーズンの意味とVOCとの違い
コールリーズンは、コールセンター分析の出発点となるデータです。まずは言葉の意味と記録される情報を整理し、よく混同されるVOCとの違いを確認しましょう。両者の役割を理解すると、分析の目的も明確になります。
コールリーズンとして記録される情報
コールリーズンは、1件ごとの入電について顧客が電話をかけてきた目的を記録したものです。「料金を知りたい」「解約したい」「ログインできない」などの用件を、一定のルールで分類して残します。オペレーターが通話後の後処理の時間に、分類コードを選んで入力する方法がよく用いられます。記録が蓄積されると、どの用件で電話が多いのかを数字で把握できます。
分類コードに加えて、対応時間や一次解決できたかどうか、上位者への引き継ぎの有無などもあわせて記録すると分析の幅が広がります。同じ「解約」でも、手続き方法の質問なのか、不満による解約希望なのかで打つべき対策は異なります。用件の大枠と背景を分けて残しておくことが、後の分析精度を左右します。記録のルールは運用を始める前に決めておきましょう。
VOCとの違いと組み合わせ方
VOC(Voice of Customer)は、顧客の意見や要望、不満など「顧客の声」全般を指す言葉です。電話だけでなく、メールやチャット、アンケート、SNSの投稿なども含まれます。一方でコールリーズンは問い合わせの理由を分類した件数データであり、VOCの中でも整理された情報といえます。集計や比較に向いている点が特徴です。
両者は対立するものではなく、組み合わせて使うと効果を発揮します。コールリーズンで「どの用件が多いか」という量を把握し、VOCの具体的な発言から「なぜその用件が生じたのか」という質を読み取る流れです。件数だけでは原因がつかめず、声だけでは優先順位を決めにくいため、両方を行き来しながら課題を特定しましょう。VOCの分析結果をもとに分類コードを見直す使い方もあります。
コールリーズンを分析する目的とメリット
コールリーズンを集計する狙いは、単に件数を数えることではありません。問い合わせの発生源を突き止めて業務を改善し、センター運営と顧客体験の両方を良くすることにあります。代表的なメリットを2つ紹介します。
呼量を減らして応答率を高められる
呼量とは、一定期間にコールセンターへ寄せられる入電の量のことです。コールリーズンを分析すると、Webサイトの案内不足や分かりにくい書類など、本来は電話をしなくても解決できた問い合わせが見えてきます。その原因を取り除けば、不要な入電そのものを減らせます。問い合わせを受けてから対応する姿勢から、発生を防ぐ姿勢へ変えられる点が大きな価値です。
「パスワード再設定の方法」が上位にある場合、FAQページの改善や手順動画の用意で自己解決を促せます。呼量が下がれば待ち時間が短くなり、つながりにくさによる放棄呼も抑えられます。オペレーターは複雑な相談に時間を割けるようになるため、応対品質の向上にも寄与します。自己解決できる窓口を充実させることは、顧客の手間を減らすことにもつながります。
人員配置や教育、他部署への提案に活かせる
用件ごとの件数と処理時間が分かると、曜日や時間帯別にどのスキルを持つ人員が必要かを見積もれます。請求書の発送直後に料金の問い合わせが集中するといった傾向をつかめば、事前にシフトを厚くするなどの対策が可能です。新人研修で優先して教える用件を決める際の根拠にもなります。応対マニュアルやトークスクリプトを見直す順番も判断しやすくなります。
また、問い合わせの原因は商品設計や営業、物流など、コールセンター以外の部署にあることも少なくありません。「配送状況の確認」が急増したデータを示せば、物流部門に通知メールの改善を提案できます。数値にもとづく提案は社内で受け入れられやすく、センターが顧客の声を経営に届ける役割を担えます。改善の成果を件数の変化で示せる点もメリットです。
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分析の質を決める分類コードの作り方
コールリーズン分析でつまずきやすいのは、分類の設計と入力のばらつきです。集計に使えるデータを安定して集めるために、分類コードの組み立て方と運用ルールのポイントを押さえておきましょう。
大分類から小分類へ階層で整理する
分類コードは「大分類・中分類・小分類」のように階層で設計すると整理しやすくなります。大分類には「契約」「料金」「商品の使い方」「故障・不具合」など、事業の主要なテーマを置きます。その下に「新規申込」「プラン変更」「解約」のような具体的な用件を並べる構成です。大分類の数は、画面上で一目で選べる程度に抑えると運用が安定します。
小分類を細かくしすぎると、オペレーターが選ぶのに時間がかかり、入力ミスも増えてしまいます。まずは各階層の項目数を絞って運用を始め、集計結果を見ながら必要な分類を追加するとよいでしょう。どの用件がどの部署の改善につながるかを意識して分けておくと、後の提案がスムーズに進みます。分類を変更した場合は、変更日を記録して過去データと比較できるようにしましょう。
入力のばらつきを防ぐ運用ルールを決める
同じ内容の問い合わせでも、オペレーターによって選ぶコードが異なると正確な集計ができません。各分類の定義と具体例をまとめた一覧表を用意し、判断に迷いやすいケースの選び方も明文化しておきましょう。1件の通話に複数の用件があった場合の記録方法も、あらかじめ決めておく必要があります。主な用件のみを記録するのか、複数を残すのかで集計結果が変わるためです。
「その他」の割合が大きくなると、分析に使えないデータが増えてしまいます。定期的に「その他」の中身を確認し、件数が多い内容は新しい分類として独立させるのが有効です。あわせて入力内容を抜き取りで点検し、ずれがあれば研修やフィードバックで修正を重ねると、データの信頼性を保てます。新しく加わったオペレーターにも同じ基準を伝えることが大切です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でコールセンターシステムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
コールリーズン分析の進め方
分類コードでデータが集まったら、集計から改善、効果検証までを順番に進めます。一度きりの分析で終わらせず、定期的に同じ手順を繰り返すことで、呼量の変化や新たな課題を継続的に捉えられます。
件数と処理時間を掛けあわせて優先順位を決める
最初に、一定期間のコールリーズンを集計し、用件ごとの件数を多い順に並べます。あわせて平均処理時間(AHT:通話や保留、後処理を含めた1件あたりの対応時間)も確認しましょう。件数が少なくても1件ごとの対応が長い用件は、センター全体の負荷を大きく押し上げている可能性があります。件数の多さだけで判断しないことが大切です。
件数と処理時間を掛けあわせた総対応時間で並べ替えると、改善による効果が大きい用件を見つけやすくなります。さらに前月比や前年同月比で急増した用件にも注目すると、キャンペーンや制度変更などによる一時的な変化を捉えられます。優先度の高い上位の用件から、原因の掘り下げに着手しましょう。すべての用件に同時に取り組むより、成果が出やすくなります。
原因を特定し改善策の効果を検証する
優先度の高い用件については、通話録音や応対履歴のメモ、VOCを確認して、顧客がなぜ電話をかけたのかを掘り下げます。「案内メールの文面が分かりにくい」「手続き画面でエラーが出る」など、具体的な発生源を突き止めることが重要です。原因が分かれば、担当部署とともに改善策を検討します。オペレーターへの聞き取りも、現場ならではの気付きを得る手段として有効です。
改善策を実施したら、対象の用件の件数や処理時間が実際に減ったかを一定期間後に確認します。FAQを公開したのに件数が変わらない場合は、ページが見つけにくいなど別の原因が残っているかもしれません。検証結果を関係部署と共有し、次の改善テーマを決める流れを定例化すると、分析が形骸化しにくくなります。月次や四半期ごとに振り返りの場を設けるとよいでしょう。
システムでコールリーズン分析を効率化する方法
手作業による分類入力や表計算ソフトでの集計は、件数が増えるほど負担が大きくなります。コールセンターシステムや周辺ツールを活用すると、記録から集計、原因分析までの手間を減らし、より精度の高い分析が可能です。
音声認識とテキスト分析で分類を自動化する
音声認識機能を備えたシステムでは、通話内容を自動でテキスト化できます。テキスト化した会話をキーワードやAIで解析し、コールリーズンの候補を提示したり、自動で分類したりする仕組みもあります。オペレーターの後処理の負担が軽くなり、入力のばらつきも抑えやすくなる点がメリットです。入力漏れが減ることで、集計データの網羅性も高まります。
テキストデータがあれば、分類コードだけでは見えない顧客の言い回しや、不満を示す言葉の出現傾向も分析できます。ただし、自動分類の精度は業種特有の用語や分類の設計に左右されます。導入時は一部の用件で試験運用し、分類結果を人が確認しながら調整していくと安心です。誤分類の傾向をつかみ、辞書や分類ルールを改善していく運用が求められます。
CRMやダッシュボードと連携して活用範囲を広げる
CRM(顧客関係管理)システムと連携すると、コールリーズンを顧客の属性や契約内容、購入履歴とひも付けて分析できます。「契約から間もない顧客に操作方法の問い合わせが集中している」といった傾向が分かれば、利用開始時の案内を手厚くするなど先回りの対策が可能です。顧客ごとの問い合わせ履歴を踏まえた応対にも役立ちます。
集計結果をダッシュボードで可視化できるシステムなら、用件別の件数や推移を素早く把握できます。センターの管理者だけでなく、他部署の担当者も同じ画面を見られるようにすると、改善に向けた議論を進めやすくなります。製品を比較する際は、分類項目を柔軟に変更できるかどうかも確認しておきましょう。レポートの出力形式や権限設定も比較のポイントです。
通話の記録・分析を支えるコールセンターシステム
ここでは、通話録音や音声認識、CRM連携など、コールリーズンの記録と分析に役立つ機能を備えた製品を紹介します。自社の分析体制に合うかを比較する際の参考にしてください。
BIZTELコールセンター
- インターネット回線とPCのみで導入できます
- 豊富な導入実績。業種を問わず様々なセンターで利用されています
- 柔軟な運用設計でお客様固有のニーズに対応します
株式会社リンクが提供する「BIZTELコールセンター」は、インターネット回線とPCで利用できるクラウド型のコールセンターシステムです。IVRやACD、通話録音、リアルタイムモニタリングなどの機能を備えています。統計レポートやダッシュボードで応対状況を把握できる点も特徴です。CRM連携や音声認識サービスとの連携、API連携にも対応しています。コールリーズンを顧客情報や通話内容とあわせて分析する環境づくりに役立ちます。
AIDig (エス・アンド・アイ株式会社)
- 会話をリアルタイムで音声認識・テキスト化し、応対に集中可能。
- 対話内容をAIが検索・回答候補提示し、新人の対応を支援。
- SV向けにモニタリングを提供し、品質を可視化・管理。
まとめ
コールリーズンは、顧客が問い合わせてきた理由を分類したデータであり、VOCと組み合わせることで課題の量と質の両方を把握できます。まずは階層型の分類コードと入力ルールを整え、件数と処理時間から優先度の高い用件を選びましょう。原因の特定から改善、効果検証までを定期的に繰り返せば、呼量の削減と顧客満足度の向上が期待できます。音声認識やCRM連携を備えたシステムの活用もあわせて検討してください。

