コールセンターにおけるモニタリングとは
コールセンターにおけるモニタリングとは、オペレーターとお客さんのやり取りを一部始終記録することです。
「オペレーターのトークスキルはどのくらいかか」「トークスクリプトを基に対応できているか」「顧客のニーズにきちんと応えているか」などを録音し、後から確認・分析を行います。
この分析結果はオペレーターの人事評価やコールセンター業務の品質向上に利用します。
コールセンターにおけるモニタリングの現状
コールセンターにおいて、モニタリングはどのように実施されているのでしょうか。
時間の確保が難しい
担当者の多くが、オペレーターのスケジュール調整や成約目標の策定などの業務を兼任しており、モニタリングを行う時間を確保できていないのが現状です。
毎月全てのオペレーターのモニタリングを行えればまだよい方で、たいていは3ヵ月~6か月に1回の頻度でしか実施できていません。
モニタリングでは複数回音声を聞き直します。そして丁寧に1つひとつの項目をチェックする必要があり、膨大な時間がかかります。不当な評価をするとオペレーターのモチベーションにも影響するでしょう。
したがって気を抜くことが許されず、担当者の精神的負担も少なくありません。
このような問題があるため、オペレーターの数が多くなるほど、実施できるモニタリングも少なくなります。
評価基準が分からない
コールセンター業務の品質基準自体が曖昧で、モニタリングにおける評価基準が分かりづらくなっているケースもあります。担当者がモニタリングを正しく評価できないため、オペレーターごとの応対品質のバラつきが発生し、全体的な品質の低下につながっているのが現状です。
実際に、維持すべき応対レベルが分からず悩んでいるコールセンターは少なくありません。
コールセンターにおけるモニタリングの目的・重要性
モニタリングは、オペレーターのコミュニケーションの質を見極めるのに重要です。モニタリングを行わないと、オペレーターがどんな対応をしているのかが分からなくなり、サービスの質が低下する可能性があります。結果的に、顧客からの信用も失うでしょう。
応対数・通話時間・成約数などは、数値を用いた可視化が可能です。しかしコミュニケーションの質は、単純な数字だけでは推し量れません。
「顧客が本当に満足しているのか」「どのような経緯をたどって成約に至ったのか」「オペレーターの本質的な問題点」などは、実際の会話内容を精査してみないと分からないものです。
このように、モニタリングでは数字では出てこない感覚的なものを評価できます。
コールセンターにおけるモニタリングの方法
実際にモニタリングは、どのようにして行えばよいのでしょうか。
チェックシートの作成
あらかじめ評価項目を作成しておけば、モニタリングを適切に行いやすいです。品質向上に必要なモニタリングチェック項目を、以下のようにカテゴリ分けしましょう。
- ■丁寧な言葉遣いができているか
- ■顧客のニーズをしっかり把握しているか
- ■的確な回答ができているか
- ■会話の流れが分かりやすかったか
- ■顧客の問題点は解消されたか
- ■基本的なマナーが守られているか
モニタリングの際は、オペレーターと顧客の会話を聞きながらモニタリングチェック項目による評価を行います。「会話の流れ」に沿いつつ、質問内容ごとにまとめて整理すれば、簡単に会話の全体像が掴めるのでおすすめです。
コールセンター業務では会話の質が重要視されるので、モニタリングでも優れた言いまわしや会話の切り返しパターンを見つけましょう。抽出した会話パターンは、全オペレーターが真似すべきトークスプリクトとしてマニュアル化します。
コールセンターシステムの活用
コールセンターシステムは、コールセンター業務の応対記録や顧客への自動応答機能を有したシステムです。通話記録から会話内容を確認したり、音声ファイルとして聞き直したりできるためモニタリングに役立ちます。
応対履歴を分析すれば、マーケティングに活用することも可能です。
コールセンターにおけるモニタリングのポイント
コールセンターにおけるモニタリングでは、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。
継続的に実施する
1回のモニタリングでは、状況の把握は可能でも、本質的な問題点までは改善できません。全体の業務品質を向上させるには、継続的なモニタリングによって課題を浮き彫りにし、その改善策の提案・実施・検証を繰り返すことが大切です。
モニタリングは最低でも月1回、定期的に実施しましょう。一定期間内で「課題の抽出」「改善策の実施」「施策の効果検証」を繰り返せば、コールセンター業務の品質はおのずと改善していきます。
複数の業務を兼任しているオペレーターに対しては、3ヶ月に1回すべての業務へのモニタリングを行いましょう。オペレーターの近くで行うモニタリングと、会話音声だけのモニタリングは最低でも3ヶ月に1回実施するのがおすすめです。
モニタリングは、理想的な業務品質になったとしても継続して行います。コールセンター業務はオペレーター入れ替えやトークスクリプトの変化に影響を受けやすいので、日々記録・改善に努めましょう。
信頼性や公平性を担保する
モニタリングは信頼性や公平性を担保しなければ、正当な評価ツールとして使えません。具体的には、顧客満足度とトークスクリプトの遵守度で評価するのがおすすめです。評価を低くする場合も、きちんとした理由を示してオペレーターに具体的な改善案を提案します。
モニタリングの担当者には、デビュー基準を設けるのもおすすめです。デビュー基準を作ると、モニタリング担当者のレベルを一定に保てます。研修と検証を繰り返し、センター全体の評価基準を日々すり合わせていくことが大切です。
コールセンターのモニタリングを実施し、応対品質を向上!
コールセンターにおけるモニタリングとは、オペレーターの顧客対応を一部始終記録し評価することです。
「トークスクリプトに沿って応対しているか」「顧客が満足しているか」などが、主な評価対象です。問題点の抽出・改善を繰り返し行うことで応対品質の向上が期待できます。
これらのポイントを押さえてモニタリングを実施しましょう。