
コールセンターにおける「稼働率」とは
稼働率とは、給与支払い時間内でオペレーターが顧客対応にかける時間の割合のことです。
オペレーターが顧客対応にどの程度時間を割いているかを示します。そして、稼働率は顧客応対や後処理を行う「生産時間」とミーティングや面談などを行う「非生産時間」に分けられます。この指標でコールセンター運営の健全性を把握することが可能です。
しかし、稼働率は高ければ良いわけではありません。稼働率を高く設定しすぎるとオペレーターへ負荷がかかり、応対品質は低下します。このようなデメリットを避けるためにも、非生産時間の確保は必要です。
稼働率を適正に保ちながら応対品質を向上させるには、生産時間と非生産時間のバランスが大切です。たとえば、午前中にコール量が多いコールセンターでは、午後に非生産時間を設け、時間を有効活用すると良いでしょう。
コールセンターにおける「稼働率」と「占有率」の違い
コールセンターには稼働率以外に「占有率」と呼ばれる管理指標が存在しますが、両者の違いは何でしょうか。
稼働率:非生産時間を含めた業務の割合
稼働率は、トイレ休憩やミーティングといった非生産時間を含む給与支払い時間を基に算出されます。給与支払い時間は「通話時間+保留時間+後処理時間」「待機時間」「その他の時間」で構成され、無給休憩は稼働率に含みません。稼働率の算出方法は以下のとおりです。
- ■稼働率=(通話時間+保留時間+後処理時間+待機時間)÷給与支払い時間
多くのコールセンターでは稼働率の目標数値を80~85%に設定しています。稼働率が高すぎるとスキルを身につけるための時間が不足していて、低すぎると無駄な時間が発生している可能性があります。
なお、新人が多いコールセンターでは研修時間が多いため、稼働率は低くなりやすいです。
占有率:生産時間中に占める顧客対応の割合
占有率とはオペレーターの稼働時間(生産時間)に対し、顧客対応に従事していた割合のことです。待機時間は顧客対応には含めません。占有率の算出方法は以下のとおりです。
- ■占有率=(通話時間+保留時間+後処理時間)÷(通話時間+保留時間+後処理時間+待機時間)
占有率は、76~87%を目標として設定しているコールセンターが多いです。高すぎると業務過多な状態であり、応対品質が低下する恐れがあります。逆に低すぎると人員過多の状態だといえます。なお、着信数の少ない時間帯の占有率の数値は低くなりやすいです。
コールセンターの稼働率を適正に保つには
コールセンターの稼働率を適正に保つにはどうすれば良いのでしょうか。効果的な3つの方法を紹介します。
オペレーターの人数調整を行う
適正な稼働率を維持する方法の1つとして、コール量に応じたオペレーター数の調整が考えられます。
稼働率を適正値に保つために、1時間、1日、1か月単位で業務量を測定してください。そしてオペレーターが顧客対応にかかる時間を把握し、最適と思われる処理時間を設定します。
また、午前中や午後にコールが集中するなど、コールセンターによって忙しい時間帯は異なります。コールセンター独自の運営を行っている場合は、それを考慮した最適人数を算出すべきです。
待機時間に教育を行う
コールセンターにはコール量が多い時間帯と少ない時間帯があります。
このコール量が少ない時間を有効活用して、着席しながら学習できるツールを使用したり、オペレーターへの面談を行ったりしましょう。研修やミーティングの実施もおすすめです。非生産時間をオペレーターのスキルアップやモチベーション向上に利用しましょう。
時間の使い方を工夫するだけで、稼働率の適正化につながります。
ステータス管理を行う
ログイン中や通話中、後処理中といったステータスの管理を行いましょう。このとき、ステータスを設定できるコールセンターシステムを活用すれば、効率化を図れるためおすすめです。
ステータスを厳密に管理すれば、より正確な稼働率を算出できます。顧客応対にかかる時間をリアルタイムで把握し、適切なタイミングでの指導につなげることが可能です。
ステータス管理を適切に行うためには業務内容に応じて適宜ステータスを変更し、それをルール化する取り組みが必要です。このとき、ステータスを細分化して多く作りすぎると設定したルールを守りづらくなるため、注意が必要です。
コールセンターの稼働率を理解し、業務改善を進めよう!
コールセンターの稼働率とは、給与支払い時間内にオペレーターが顧客対応にかける時間の割合です。稼働率以外に、顧客対応にかかる割合を示す値として占有率があります。この数値は稼働率と異なり、非生産時間を含みません。
コールセンターの稼働率を適正に保つ方法は以下のとおりです。
- ■オペレーターの人数調整
- ■待機時間中の教育
- ■ステータス管理の実施
以上を踏まえ、稼働率の適正化に努めて業務改善を進めましょう。
