AI(人工知能)とは
AIとは「Artificial Intelligence」の略で、日本語では「人工知能」と訳されます。一般的に、人間の知的な活動を人工的に再現したシステムを指し、汎用型と特化型に分類されます。
- 汎用型AI
- プログラミングされた作業以外の事柄にも対処できる。まだ実現しておらず、課題も多い。
- 特化型AI
- 事前にプログラミングされた特定の作業について、理解・処理が可能。翻訳や画像診断、自動運転などに活用されている。
AIが注目されている背景
21世紀に入るとAIに深層学習(ディープラーニング)が加わり、精度向上に貢献しました。複雑な情報でもデータを多層的に捉え、自身で判断基準を見つけて分析可能になったためです。
昨今の日本では、生産年齢人口の減少や高齢化による人手不足が懸念されています。さらに近年では、感染症の流行によるニューノーマルな働き方が浸透し、社会の在り方が変化しつつあります。AIはそのような変革を支える存在だといっても過言ではないでしょう。政府が提唱する「Society 5.0」の中核をなす存在にも位置づけられ、今後ますますAIの技術は進んでいくと考えられます。
参考:Society 5.0|内閣府
AIの台頭でコールセンターがなくなる?
将来なくなる職業に、コールセンターのオペレーターがあげられています。AI技術の発展により自動応答の精度があがっていることや、若者の通話離れが要因です。また、コストの安い海外にコールセンターを設置する事例が増えており、国内でのコールセンターの将来性が危ぶまれています。
しかし、AIによる問い合わせの自動化には限界があります。複雑な内容の問い合わせや、蓄積されたデータにない問い合わせにはまだまだ人の手が必要です。チャットボットツールや音声認識システムなどでコールセンター業務の効率化は進んでいますが、完全自動化の実現は短期的な視点で見れば難しいでしょう。
コールセンターに今求められているのは、問い合わせ対応スキルの向上や、対応品質の標準化です。そのためには、AIによりコールセンターの単純作業を効率化する流れは必須といえます。
コールセンターでのAI活用事例
コールセンターでAIを導入すると、オペレーターが担当していた既存業務をAIが代行するため、オペレーターの負担が軽減します。人件費削減や応対品質の向上にもつながるでしょう。具体的な活用事例は以下のとおりです。
コールセンターでのAI活用事例
- ■音声認識システム
- ●通話を録音し、オペレーターの応対内容を分析・評価する
- ●通話内容をリアルタイムで文字に書き起こし、過去の問い合わせ内容から回答を検索する
- ●お客様の声(VoC)を収集・分析する
- ■AIチャットボットシステム
- ●簡単な問い合わせ内容をオペレーターに代わって適切に応答する
- ●LINEやFacebookメッセンジャーなど、問い合わせ窓口を多様化する
- ●営業時間外の問い合わせに受付・対応する
- ●カレンダーアプリと連携して、アポイントの受付を代行する
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コールセンターにおける課題
顧客からの問い合わせや要望に対応するコールセンターでは、それぞれの顧客に応じたきめ細やかな対応が求められます。そのため、オペレーターの業務をAIで代替することは困難だといわれてきました。
またオペレーターは、日々のクレーム対応などで高ストレスになりやすい職種の一つです。離職率が極めて高く、人員の補充や新人教育にも手間がかかるでしょう。人材の入れ替わりが激しければ、コールセンターの応対品質も維持できません。
商品の使い方や不具合の相談、サービスの詠唱・受注など、問い合わせ内容は非常に多様化しています。知識や経験にとらわれず、一定のクオリティで問い合わせに対応するには、AIの導入が欠かせないでしょう。
コールセンターでAIを活用するメリット
コールセンターでAI技術を活用した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
顧客とオペレーターの負担を軽減できる
Webページを閲覧中、画面端に「なにかお困りですか?」のようなテキストが出現するのを目にしたことがあるでしょう。これをチャットボット(Chatbot、自動会話プログラム)といいます。質問したい内容をテキストや音声で伝えれば、事前に登録されている膨大なデータの中から最も近いと判断した回答をチャットボットが提示する仕組みです。機械学習型のチャットボットは、自然な会話ができるのも特長です。
チャットボットで問題を自己解決できれば、顧客はわざわざコールセンターへ問い合わせる必要がありません。コールセンターではチャットボットで解決できない問題のみ対応すればよいので、オペレーターの負担軽減にもつながるでしょう。
またIVR(自動音声応答装置、Interactive Voice Response)を利用すれば、「~の場合は1を」といった音声案内で電話の一次受付も自動化できます。さらに顧客が問い合わせ内容を話すと、AIが自動で担当オペレーターに振り分ける技術もコールセンターシステムに取り入れられています。
BCP(事業継続計画)対策が行える
先述したAIによる自動化は、BCP(事業継続計画)対策にも有効です。コールセンターは自然災害などに備え、複数拠点に設置していることが多いでしょう。一拠点が災害やトラブルなどで稼働できなくなった場合、他の拠点でカバーする仕組みです。この場合もAIによる自動応答があれば、問い合わせの集中によるキャパオーバーを回避できるでしょう。
最近ではリモート体制のコールセンターもあります。AIが対応内容のテキスト化やメール送信などを代行するため、社外でもコールセンターにいる感覚で勤務できます。出社せずに業務を行えることから、公共交通機関が停止した際や感染症の拡大防止にも有効でしょう。
業務の属人化を防ぎ、応対品質を維持できる
コールセンターは人材の入れ替わりが激しく、属人化が起きやすい職種といわれています。しかしオペレーターの対応にばらつきがあれば、顧客の問題は解決しないばかりか、新たなクレームにつながる可能性もあります。
また、オペレーターの応対品質の標準化にもAIは効果的です。音声認識機能により、顧客の問い合わせ内容をリアルタイムで文字に起こします。さらに自然言語処理を駆使して、回答と判断した資料をすぐさま画面に表示します。オペレーターに代わってAIが資料を探し出すため、経験値や作業スキルにより対応時間に差が出ることはありません。
また、電話対応後にはAIが音声認識とテキストマイニング機能により、通話内容を要約します。要約作業などの後処理も自動化できるため、コールセンター全体の対応キャパシティを維持できるでしょう。
数値化による分析と顧客満足度の向上が可能になる
顧客の感情を数値化・分析できるAIシステムも登場しています。音声の感情分析であれば、声の大きさや抑揚などをもとに不安・怒り・喜び・悲しみのような感情を測定して数値化します。これにより感情に沿った対応をとる、別のオペレーターや管理者につないでフォローするといった対応が迅速に行えるため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
コールセンターは配置人数の多さから、人的コストのかかる部署と思われがちです。しかしAIの活用により問い合わせの対応のみならず、商品やサービスを購入・選定する際に重要となる、CX(カスタマー・エクスペリエンス)の向上も可能になれば、さらなる可能性が生まれるでしょう。コールセンターに集約された膨大なデータを分析すれば、顧客戦略や販売戦略にも活かせます。新たなビジネスが生まれる可能性も大いにあるでしょう。
AIを搭載したコールセンターシステム導入時の注意点
コールセンターへのシステム導入を検討する際は、以下の点に注意しましょう。
自社の要件に合致する製品か
導入前にまず行うべきことは、「自社の課題」と「AIで解決したい業務」の整理です。システムはAIの精度が高いほど、また搭載機能が豊富なほどコストがかかります。もし自社の課題がAI以外の手段で解決できるならば、高性能な製品を導入したとしても、無駄なコストとなるでしょう。AI導入により、コールセンターのステークホルダー(顧客・オペレーター・管理者・関連部署など)の何を解決できるのか、慎重に検討することが重要です。
製品の選定時には、利用する現場の規模や製品の提供形態にも着目しましょう。コールセンターシステムの中には500名以上などの大規模利用、50名以上の中規模利用など、利用に適した規模を明示している製品があります。提供形態もオンプレミスやクラウド、アウトソーシングサービスなど、製品によってさまざまです。どのような製品が自社に最適かをよく検討しましょう。
ベンダーのサポート体制があるか
システムを導入すると、AIへのデータ登録作業やデータをもとにAIを学習させる作業、試験的な運用、定期的なチューニング・メンテナンスなどが発生し、専門的な技術を要します。社内に専門人材がいる場合は問題ありませんが、そうでない場合はベンダーのサポート体制も重視しましょう。どの程度のサポートがあるかはベンダーにより異なるため、担当者へ問い合わせることをおすすめします。
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AIの活用でコールセンター業務を効率化しよう
AIは今後の社会を支える存在で、コールセンター業務への導入も進んでいます。音声認識や自然言語処理・マイニングなどの技術で、さまざまなメリットを生み出します。ただし、AI導入には相当のコストが必要です。システムの導入時には自社の要件に合致する製品か、ベンダーのサポート体制があるかをよく確認しましょう。