電子契約の市場規模、普及率はどのくらい？背景も徹底解説！

電子契約サービスの市場規模

まずは、電子契約サービスの現在のシェアと今後の動向について見ていきましょう。

2017年は前年比79.2%増の21.5億円

国内の電子契約サービスの市場規模は、ITR社の調査によると2017年時点で21億5,000万円であり、前年比79.2％の増加となっています。

紙の契約書を使用していると、製本や郵送といった手間がかかるでしょう。そこで電子契約を利用すればインターネットを介するやり取りになるため、業務の効率化が可能です。

また、契約書を交わす際に必要なさまざまなコストも削減できるでしょう。このように電子契約書を活用するメリットが多いため、近年では電子契約に取り組む企業が増加している傾向にあります。

それと同時に法律を遵守し、安全で効果的に契約を交わせる電子契約サービスの需要が高まっているのです。

2022年にかけて年間40.2%ずつ成長する見込み

同社の調査によると電子契約サービスの市場は2017年から2022年にかけて年間40.2％の高成長が見込まれています。

企業間で行う電子契約は、片方の企業だけ対応しても成立しません。契約を交わす両企業が電子契約サービスを利用する必要があります。そのため、今後電子契約の需要が高まってくれば、導入せざるを得ない企業も必然的に増えていくでしょう。

現在では、企業間の契約で使われることが多い電子契約ですが、今後は企業・個人間の契約でも利用が進むと予想されています。銀行や保険といった業界で電子契約が増えることが、電子契約サービス市場を拡大させる大きな要因となるでしょう。

参照：ITRが電子契約サービス市場規模推移および予測を発表｜ITR

電子契約の普及率

2018年に発表された一般財団法人日本情報経済社会推進協会の調査によると、現在の電子契約の普及率は43.1％です。従来までの契約フローが大幅に変わるため、導入に抵抗があり後ろ向きな企業もいます。

しかし、同調査によると電子契約の導入に前向きな企業は全体の20.6％もおり、すでに導入している企業を合わせると63.7％です。対応済み・対応予定といった電子契約に賛同している企業は全体の６割近くにも及びます。

つまり、電子契約にメリットを感じている企業が増え、導入に抵抗がある企業は減少しているといえるでしょう。特に最近では、複数の企業・組織・部署間で取引を行えるシステムの利用が増加傾向にあります。

参照：JIPDEC IT-Report2018 Spring｜一般財団法人 日本情報経済社会推進協会

電子契約が普及している理由

最後に、どのような背景で電子契約が普及しているのか見ていきましょう。

契約の効率化ができる

電子契約を導入すると契約業務を効率化できます。業務フローをさらに詳しく見ると、契約書の作成・印刷・製本・押印・郵送といった工程が必要です。それだけではなく、相手先の企業が内容を確認した上で押印し、送り返さなければなりません。

企業間の立地にもよりますが、遠方であれば契約書の郵送にある程度の時間がかかるでしょう。また、契約書に記入漏れなどのミスがあれば、さらに修正の時間がかかります。

そのため、場合によっては契約書の作成から返送されるまで、２週間から３週間ほどかかるケースも少なくありません。

電子契約を導入すれば、印刷・製本の手間がなくなり、電子メールなどを使って送るため相手先の企業も瞬時に内容を確認できます。業務の工程を削減するだけでなく、契約完了までがスピードアップします。実際にミスが発生したとしても短時間に修正を行えるでしょう。

契約書の作成から締結まで数分から数日で完了させることが可能です。

契約にかかるコストの削減ができる

通常の紙面による契約の場合は、契約金額に応じた「印紙」を貼り、税金を納めなければなりません。しかし、電子契約の場合は印紙税法（1967年５月31日）で課税の対象外とされているため、契約数が多い企業であれば印紙代を大幅に削減できるでしょう。

契約を交わす際には印紙代以外にも、契約書を印刷する紙代・インク代・封筒代・郵送料が発生します。また、担当者の人件費が発生していることも忘れてはいけません。電子契約を導入することで、このような契約にかかるコストの削減が可能です。

コンプライアンスの強化ができる

電子契約では一般的に暗号化技術を使った電子署名とタイムスタンプが使われます。この２つを利用することにより、契約書を本人が作成したことを証明しやすく、安全性も高いです。

実際に、紙の契約書の場合、第三者の手で精密に作られた印章を使われてしまうと、改ざんされたかどうかを見抜くのは困難です。

電子署名とタイムスタンプは、第三者機関である認証局が電子署名と時間の真正を証明しています。また、改ざんされれば、暗号化技術によりその内容が簡単にわかります。

ほかにも、電子データ上で契約書を保存することで紛失する危険性を減らせるでしょう。適切にバックアップを取っておくと、いざという時にデータを復旧できます。

電子契約の市場の動向を知り、最適なタイミングで導入を！

電子契約は契約書関連業務を効率化し、コストを削減する効果が見込まれるため、市場は急成長しています。実際に、契約書の電子化を採用すれば相手企業に書類を送付する時間や手間を減らし、印紙税や郵送料、人件費を抑えることも可能です。

現在では約６割もの企業が電子契約に前向きであるため、自社にとって適切なタイミングで電子契約サービスの導入を検討しましょう。