契約書の電子化とは
「契約書の電子化」とは、従来の紙の契約書にかわり、電子データで契約を締結することです。電子データで契約を交わすには、電子署名や電子サイン、電子印鑑を施します。ビジネスシーンにおけるDX化やテレワークの拡大に伴い、コスト削減や業務効率化を目的として導入する企業が増えています。
書面と電子契約書の違い
書面の契約書と電子契約書の大きな違いは、送付方法です。書面の場合は郵送・手渡しでやりとりしますが、電子契約書であればメール上でやりとりできます。また、データか紙かで締結方法や保管方法も異なるでしょう。電子契約書のほうが検索性に優れるほか、契約締結までの期間短縮が期待されます。
なお、以下の記事で電子契約について詳しく解説しているためぜひご覧ください。
電子化できる書類・できない書類
2001年に電子署名法が施行されて以来、さまざまな電子文書が書面での契約と同等に通用するようになりました。ここでは、電子化が可能な書類と電子化に対応しない書類を紹介します。
電子化できる書類
電子署名やタイムスタンプの付与があれば、企業が取り交わす主な契約書のほか、さまざまな書類を電子化できます。
電子化できる書類の一例は以下のとおりです。
- ●取引基本契約書
- ●業務委託契約書
- ●秘密保持契約書
- ●代理店契約書
- ●下請法第3条書面
- ●業務請負契約書
- ●注文書・注文請書
- ●委任契約書
- ●保証契約書
- ●雇用契約書
- ●建設工事の請負契約書
- ●準委任契約書
- ●賃貸借契約書
- ●定期借地契約書
- ●売買契約書
電子化できない書類
以下の書類は「書面」での交付が法律で義務付けられています。
以前は書面での契約が必要だった不動産や工事借地に関する契約書類の多くも、2022年に電子化が可能になりました。今後も「デジタル改革関連法」や「e-文書法」などの法律改正により、電子化できる契約書類は増えるでしょう。
契約書電子化のメリット
契約書の電子化により得られるメリットは、以下のとおりです。
管理業務を効率化できる
契約書は種類ごとに保存期間が定められており、事業内容によっては膨大な量の文書を保管するため、社内など相応のスペースを確保する必要があります。過去取り交わした書面が必要になったときも、保管場所に行かなければならず探すのに手間がかかります。探しやすくする工夫として、保管やインデックスのルールを細かく取り決めていて労力を使っている場合もあるでしょう。
電子契約であれば、システム上でデータを保管するため、保管場所の確保や管理の煩わしさから解放されます。さらに、検索したい書類はシステムですぐに見つかり、タブレットなどの端末があれば外出先からも確認できるため業務効率が向上するでしょう。
コスト削減とスピーディーな契約の締結が可能になる
書面での契約書の場合、書類の印刷代や郵送費のほか、契約内容によっては印紙代が必要となります。対して電子契約はメールやシステムでの送付になるため、印刷代や切手代はもちろん、印紙税もかかりません。
また、電子契約はシステムやメールからすぐに送付・返送が可能なため、契約締結までの時間を短縮できるでしょう。押印のために出社するなどの無駄もなくなります。
セキュリティ体制・コンプライアンスの強化につながる
電子契約はタイムスタンプや電子署名を用いるため、データの改ざんリスクを低減できます。また、システム上で契約状況を一元管理できるため、データごとに閲覧権限の設定を行えばコンプライアンス強化にも役立つでしょう。
既存システムとの連携ができる
電子契約システムは、以下のさまざまなシステムと連携ができるものもあります。
- ●ワークフローシステム
- ●電子帳簿システム
- ●オンラインストレージサービス
- ●請求・決済システム
自社ですでに使用しているシステムとの連携で、契約業務にかかわる承認・決裁フローがスムーズになるなど、より高い導入メリットを得られるでしょう。
契約書電子化の課題点
電子契約システムによる契約書の電子化を進めるためには、以下の3つの課題をクリアする必要があります。解決策とあわせて解説します。
- ●電子契約を取引先に許諾してもらう必要がある
- ●電子化できない契約書を別で管理する必要がある
- ●社内で契約まわりのフローを再構築する必要がある
それぞれの課題について解説します。
電子契約を取引先に許諾してもらう必要がある
電子契約をするためには、契約を交わす取引先から理解してもらうことが必要です。具体的には、電子契約に移行する場合のメリットや変更点を説明し、電子契約での取引を承認してもらいます。企業によっては、この電子契約システムであれば対応可能という場合もあるため、主要取引先がある場合事前にリサーチをすることも有効です。
なお電子契約システムのなかには、取引先がシステムを導入していなくてもクラウド上で契約締結できるものがあります。取引先に負担を与えないようなシステムを導入すると、相手も納得しやすいでしょう。
取引先への同意を得ることに課題を感じている方は以下の記事も参考にしてください。
電子化できない契約書を別で管理する必要がある
契約書類のなかには書面での契約書が法律で義務付けられているものがあります。自社で取り扱う書類のうち、電子契約に対応しない契約書の取引が多い場合は、二重管理が煩雑化する可能性もあるため注意しましょう。
社内で契約まわりのフローを再構築する必要がある
電子契約システムの導入を進めるには、今までの作業フローを変えなければなりません。再構築にはそれなりのパワーを要しますが、関係各所の既存フローを洗い出し整理することで、無駄を発見できるなど利点も多いといえます。
新しいフローが整ったら、従業員へ導入の背景やメリット、操作イメージを持ってもらえるよう、マニュアルを作成し説明会を開催するなど工夫をすることで、スムーズに運用開始ができるでしょう。
なお、電子契約システムの人気製品が知りたい方は、以下の最新ランキングも参考にしてください。
契約書の電子化に向けてのフロー
実際に電子契約システムを導入する前には、以下の4つについて確認しましょう。
- ●契約書締結業務における自社の課題を把握する
- ●導入する電子契約システムの比較・検討
- ●電子署名・決裁フローの再確認
- ●取引先企業と社員への詳細説明の実施
それぞれの確認事項について解説します。
契約書締結業務における自社の課題を把握する
電子契約システムを検討する段階で、現在の契約書の内容や管理体制を把握しておきましょう。現在の状況を整理するポイントは、以下のとおりです。
- ●契約書の種類・内容について
- ●発生する契約件数は月にどのくらいか
- ●契約書の管理部門はどこか
- ●契約書の保管期間について
- ●契約書の閲覧頻度や人数について
自社の状況を洗い出し、必要な機能が搭載されている電子契約システムの候補を選定しましょう。状況把握をするときに、現場の声をヒアリングすることもおすすめします。
導入する電子契約システムの比較・検討
自社の状況が把握できたら、実際に導入する電子契約システムの比較・検討をしましょう。製品のなかには無料トライアルが利用できるものもあります。社内で試用してもらい、アンケート調査結果で判断するもよいでしょう。
電子署名・決裁フローの再確認
自社ですでに導入されているワークフローシステムがある場合、導入予定の電子契約システムと連携できるか確認しておくことも重要です。また、多くの企業では契約締結までにメンバーが押印して回覧をします。電子契約システムと同時に押印申請フローの見直しも進め、社内整備を進めましょう。
取引先企業と社員への詳細説明の実施
電子契約システムを提供しているベンダーによっては、社内説明会や資料の配布を実施してくれます。よくある質問や電子契約を社内導入するための手順など、導入前に従業員が知っておきたい情報を集めておくとよいでしょう。導入前後の不安が大きいという場合には、サポートの手厚さを重視して選定すれば安心です。
なお、以下の記事で電子契約システムの選び方について詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
契約書電子化の導入に向け電子契約システムを比較・検討しよう
契約書の電子化により契約業務効率化やコスト削減など、さまざまなメリットが得られます。記事で紹介した選定ポイントも参考にしたうえで、自社にとって必要な機能を洗い出し最適な製品を選びましょう。
以下のボタンより電子契約システムの一括資料請求が可能なため、製品の導入を検討したい方はぜひご利用ください。