英語契約書と日本語契約書の違い
最初に、英語での契約書システムに興味のある方に向けて、英語契約書と日本語契約書の主な違いについて解説します。
適用される法律や裁判所の違い
日本国内で日本企業と契約を締結する場合、通常、日本の法律が準拠法となり、日本の裁判所が管轄裁判所として指定されます。しかし、海外企業との取引では、どちらか一方の国の法律を準拠法とし、トラブル発生時にどちらの裁判所で解決するかを決めておく必要があります。
こうした場合、準拠法や管轄裁判所は、取引上の優位性や交渉力によって決定されるのが一般的です。自社に有利な条件を引き出すため、自国の法律や裁判所を指定することもあれば、中立的な第三国の法律や仲裁機関を選ぶ場合もあります。海外の法律を採用する場合、その内容を正確に理解しないと後のトラブルに発展する可能性があるため、慎重に検討することが重要です。
契約書の構成や形式の違い
英語契約書と日本語契約書では、構成や形式に明確な違いがあります。英語契約書は、簡潔で論理的な構成が特徴で、冒頭に契約の目的や定義を明記し、その後に具体的な条項を列挙します。また、繰り返しを避けるために定義条項や略語を多用し、「Section(セクション)」や「Clause(クローズ)」といった明確な区分で整理されています。
一方、日本語契約書は、前文で契約の背景や趣旨を記述し、条文は柔軟な順序で記載されることが一般的です。「甲」「乙」などの用語を使い、当事者間の関係性を明確にする形式が特徴的で、丁寧で冗長な表現が用いられる傾向があります。これらの違いにより、契約書の作成や解釈において文化的な影響を受けるため、翻訳や交渉時に注意が必要です。
締結方法の違い
英語契約書では、署名(サイン)が中心で、署名をもって契約が成立するという明確なルールが一般的です。特に、署名者の名前や肩書きが明記され、契約の正当性を証明するための証人や公証人の関与が求められる場合もあります。また、電子署名も広く普及しており、法的な効力が認められています。
一方、日本語契約書では、署名の代わりに押印(印鑑)がよく使われます。実印、銀行印、認印など、使用する印鑑によって契約の効力や正式性が異なるのが特徴です。電子契約が普及してきた現在でも、押印文化が根強く残っています。
契約文化の違い
英語契約書を用いる文化圏では、「契約内容を細部まで明確化する」ことが重視されます。想定されるリスクや義務、権利を細かく記載し、トラブル発生時に契約書を基準として厳密に判断する考え方が一般的です。そのため、契約交渉も時間をかけて行われ、書面での合意が非常に重要視されます。
一方、日本では「信頼関係を重視する」文化が根付いており、契約書はあくまで形式的な確認として扱われる場合もあります。そのため、曖昧な表現を用いて柔軟性を持たせ、詳細な取り決めを行わずに契約することも少なくありません。また、契約後の変更や追加交渉にも柔軟に対応する姿勢があります。このような文化的違いは、取引先との交渉スタイルや契約内容に影響を与えるため、理解して対応することが重要です。
英語対応の電子契約システムを導入するメリット
契約書における違いを理解したところで、英語に対応した電子契約システムを導入するメリットを解説します。
リードタイムの短縮
従来の紙ベースの契約プロセスでは、契約書の作成や郵送、署名、返送に多くの時間を要していました。特に、海外企業との契約では、国際郵便を利用するため3日から1週間以上かかることも珍しくありません。しかし、英語対応の電子契約システムを導入すれば、これらの手続きがオンライン上で迅速に完結します。
契約当事者は場所に関係なく、インターネットを通じてリアルタイムで文書の作成や承認が可能です。これにより、契約締結までの時間が大幅に短縮され、早ければ即日で契約が完了します。時差のある海外取引先との契約にも効果的で、国際ビジネスのスピードアップを実現。リードタイムの短縮は、取引の効率化と競争力向上に直結する大きなメリットといえます。
郵送費の削減
海外取引では、国際郵便の利用により郵送費が高額になる場合があります。さらに、郵送中に書類が紛失したり遅延したりするリスクが伴い、追加の手間やコストが発生する可能性も。
英語対応の電子契約システムでは、契約書のやり取りはすべてオンライン上で行えるため、郵送にかかる費用を削減できます。さらに、電子契約では即座に書類の送受信が可能なため、郵送に伴う時間的なロスも解消されます。
多言語契約書の一元管理
従来、異なる言語の契約書を国やプロジェクトごとに分散管理している場合、確認や検索に手間がかかり、誤解や見落としが発生するリスクがありました。
電子契約システムでは、契約書をデジタルで保存し、言語ごとに整理や検索を簡単に行えるため、業務効率と透明性の向上が期待できます。また、システムによっては翻訳や比較機能を備えているものもあり、言語の違いによるトラブルの防止が可能です。
英語対応の電子契約システムを選ぶポイント
ここでは、英語対応の製品のなかから、自社に最適な電子契約システムを選ぶためのポイントを解説します。
多言語に対応しているか
海外取引では英語以外の言語を使用する場合もあるため、複数の言語で契約書の作成や確認ができる機能があると便利です。また、同じ契約書を異なる言語で出力する機能があれば、グローバルな取引でより柔軟な対応が可能です。
国際規格に準拠しているか
国際規格に準拠したセキュリティを備えた電子契約システムであれば、契約データの保護と法的信頼性が保証されます。ISO 27001やSOC 2認証を取得しているシステムでは、情報セキュリティ管理が厳格に行われ、不正アクセスやデータ改ざんを防止。
さらに、国際基準にもとづく電子署名やタイムスタンプにより、法的効力が担保されます。これにより、取引先や顧客からの信頼を高めつつ、グローバルなビジネス環境で安心して利用できる契約業務が実現します。
サポートはグローバル対応か
導入後のサポートがグローバル対応であることも、システム選定の重要なポイントです。異なるタイムゾーンや言語でサポートが受けられる体制が整っていると、トラブル発生時にも迅速に対応できます。また、英語以外の言語でのサポートが必要な場合もあるため、提供されるサポート内容や体制を事前に確認しておくことがおすすめです。
【比較表】英語や多言語対応のおすすめ電子契約システム
ここからは、英語や多言語に対応しているおすすめの電子契約システムを紹介します。まずは特徴や機能、口コミ評価などを比較してみましょう。
ITトレンドでは、英語を中心に、外国語対応の電子契約システムを多数取り扱っています。以下のボタンから一括資料請求(無料)できるので、ぜひご利用ください。
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英語や多言語対応のおすすめ電子契約システムを比較
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「クラウドサイン」は、弁護士ドットコム株式会社が提供する電子契約システムです。法律の専門家が全面的に監修することで、法令遵守の安心感を提供します。契約書の管理だけでなく、顧客情報管理やクラウド決済といった多彩な外部サービスとの連携を可能にし、業務フローの効率化を実現。また、取引先がクラウドサインを使用していなくても登録不要で契約手続きが進められるため、相手先企業にも負担をかけない設計となっています。
【対応外国語】英語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)
株式会社マルジュが「FAST SIGN」は、雇用契約書の大量発行や契約更新をスムーズに処理できる柔軟性を備えています。また、固定料金制を採用しており、月額10,000円から利用可能です。さらに、契約書の送付時ではなく、締結時にカウントされるため、無駄なコストが発生しません。これらの特徴により、人材派遣業や飲食チェーンなど、大量の雇用契約を必要とする企業での導入実績が豊富です。
【対応外国語】英語・ポルトガル語(ブラジル)・スペイン語
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド契約」は、電子契約に関連する業務を一元的に管理するサービスです。社内の申請・承認プロセスから契約の締結、保管、管理までをクラウド上で完結。また、紙の契約書と電子契約書を一元管理できるため、契約情報の共有や承認・締結状況の可視化が実現します。
【対応外国語】英語
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する「電子印鑑GMOサイン」は、導入No.1を誇る電子契約サービスです。契約の種類にあわせて「立会人型」と「当事者型」の署名タイプを選べるため、用途やニーズに応じた柔軟な運用が可能です。さらに、契約書の作成から署名、保管まで一貫して対応できる機能を備えています。
【対応外国語】英語・中国語・スペイン語・ポルトガル語・タイ語・ベトナム語・ミャンマー語
株式会社NXワンビシアーカイブズが提供する「WAN-Sign - ワンサイン -」は、高セキュリティの電子契約サービスです。厳格な内部統制機能を標準装備しており、セキュリティと業務効率の両立を実現します。また、当事者型とメール認証による立会人型、さらに両方を組み合わせたハイブリッド型署名に対応しており、契約内容や相手先に応じて柔軟に選択できます。
【対応外国語】英語
《freeeサイン》のPOINT
- タイムスタンプで契約書類の信頼性を担保!
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フリー株式会社が提供する「freeeサイン」は、弁護士監修のテンプレートを活用して契約書を迅速に作成できる電子契約システムです。電子帳簿保存法にも対応しており、紙の契約書や他の電子契約サービスで受領した文書も一元管理が可能です。また、Google CloudやAmazon Web Servicesの堅牢なサーバー環境を利用しているため、高いセキュリティと安定性を求める企業にも適しています。
【対応外国語】英語・ベトナム語
サインタイム株式会社が提供する「サインタイム」は、紙の契約書の電子化に対応した電子契約サービスです。電子契約プラン、スキャナ保存プラン、そして両方の機能を備えたプライムプランを提供しています。大量の契約書をCSVで一括アップロードして迅速に送信できるほか、書類検索を効率化するタグ付け機能など、日々の業務負担を軽減するための機能が充実しています。
【対応外国語】英語
株式会社TeraDoxが提供する「契約大臣」は、月額2,00円台から利用でき、契約数の増減に応じてプランの柔軟な変更が可能です。署名方式は、認定タイムスタンプを付与する「電子サイン」と、電子署名と認定タイムスタンプを組み合わせた「電子署名」の2種類から選択可能です。これにより、契約の重要度や相手先の要件に応じて適切な署名タイプを選べます。
【対応外国語】英語
jinjer株式会社が提供する「ジンジャーサイン」は、直感的で使いやすいユーザーインターフェースが特徴の電子契約システムです。ITリテラシーが高くない方でも簡単に操作が行えます。また、社内の承認フローを柔軟に設定でき、従来の紙ベースのプロセスをそのまま電子化することが可能です。さらに、フォルダの階層管理機能により、既存のファイリングルールを維持しながら契約書を整理できます。
【対応外国語】英語
株式会社ハイホーが提供する「イースタンプ」は、認印タイプと実印タイプの2種類の電子署名に対応しており、契約の重要度や相手先の要件に応じて使い分けることが可能です。また、手書きサイン機能やスキャン保存機能を備えており、紙の契約書の電子化にも対応。さらに、導入企業へのサポート体制も充実しており、スムーズな運用開始を支援します。
【対応外国語】英語
Dropbox Japan株式会社が提供する「Dropbox Sign」は、法的拘束力のある電子署名を簡単に依頼、収集、管理できるクラウドベースの電子契約サービスです。署名済みのドキュメントは自動的に指定のDropboxフォルダに保存され、進捗状況の追跡やリマインダーの自動送信など、業務効率を高める機能が充実しています。さらに、世界各国の法規制に準拠したセキュリティ対策が施されており、安心して利用できます。
【対応外国語】英語・デンマーク語・ドイツ語・スペイン語・フランス語・インドネシア語・イタリア語・韓国語・中国語など22言語
なお、以下の記事ではおすすめの電子契約システムを多数紹介しています。総合的に人気の製品もチェックしておきたい方はぜひご覧ください。
まとめ
グローバル化が進む現代のビジネス環境において、英語をはじめとした複数の言語に対応した電子契約システムの選択は重要な要素です。海外取引が多い企業や多国籍チームを有する企業にとって、言語の壁を超えたスムーズな契約締結を可能にします。
英語や外国語に対応した電子契約システムの導入を検討されている場合は、この記事で紹介したおすすめのシステムを参考に、まずは資料請求からはじめてはいかがでしょうか。