取引先が電子契約の導入に同意しない理由
取引先は、なぜ電子契約を導入しないのでしょうか。考えられる理由を見ていきましょう。
導入に手間やコストがかかる
電子契約は利用料金がかかり、従来の紙での契約とは異なるフローで行われます。
そのため電子契約に慣れていない企業は、業務フローの複雑化やコストの増加を嫌って、電子契約を締結してくれない場合があります。電子契約システムの中には、無料版やトライアル版などで運用できるものもありますが、ほとんどの製品は有料だと考えましょう。
また相手先企業の取引相手は、自社だけではありません。自社と電子契約を結んでいても、他者との契約が紙媒体であれば、電子契約と紙契約が混在し、業務負担も大きくなるでしょう。自社だけが電子契約を望んでいる状況であれば、なおさら同意を得るのは困難です。
法律面での不安がある
電子契約は現段階において、一般化している契約手法とは言えません。そのため、万が一の際に、法的書類として認められない可能性があります。民事訴訟法(平成8年6月26日)上の準文書としての効力は持つとされていますが、判例がない以上、絶対安全とは言い切れません。
このような背景から、電子契約の導入に踏み切れない企業もいます。

取引先に電子契約導入を求める際の効果的な方法
取引先に電子契約を導入してもらうには、どのようなアプローチをすればよいのでしょうか。取引先企業との交渉のポイントを押さえて、電子契約の締結に活かしましょう。
電子契約導入を検討中の企業が相手のとき
電子契約を検討している企業は、すでに導入への意欲がある場合が多いです。そのため、積極的に電子契約のメリットを伝えるのがおすすめです。
例えば、注文請書などの発行にかかる印紙税の額は、発注量が多くなるほど増えていきます。電子契約書を締結した場合、この税金の支払いは不要です。紙媒体での契約書に必要なプリント代・郵送料・事務作業費なども節約できます。
また紙媒体での契約は、契約書の発行ごとに以下の作業をしなくてはいけません。
- ■注文内容の入力
- ■注文書作成
- ■押印
- ■印紙の貼り付け
- ■複製
- ■法的保管義務の遂行
電子契約書であればこのような作業にかかる手間が省けます。人的ミスも防げるため、業務効率が大幅に向上します。
電子契約の法的効力を証明することも重要です。電子帳簿保存法(平成10年7月1日)を遵守した運用をしていれば税法に、電子署名をしていれば民事訴訟法に適用できることをアピールしましょう。
電子契約導入に否定的な企業が相手のとき
電子契約に否定的な企業の場合は、より説得力のある説明が必要になります。このような相手はメリットだけでは納得しません。デメリットも伝えて、リスクへの対処法を解説することが大切です。なぜこのような効果が得られるのかを、論理立てて説明するようにしましょう。
それでも同意が得られなかった時の対策
説明を尽くしても電子契約に同意を示さない企業もいます。そのような場合は、どのように契約を結べばよいのでしょうか。ここでは電子契約できなかった場合の、具体的な対策法を紹介します。
取引先の負担額を調整する
相手先企業が電子契約に同意しない原因の1つに、導入コストの大きさが挙げられます。そのためどうしても同意が得られない場合は、相手先企業のコストを自社が負担しましょう。
電子契約サービスの中には、電子契約を行いたい企業が、取引先のコスト負担額を調整できる機能があります。このような機能を利用すれば、同意してくれる企業も増えるでしょう。
紙契約をし、自社では電子ファイルで保存する
電子契約に同意しない企業とは、紙媒体で契約を締結しましょう。執拗に電子契約を迫るのは、今後の取引関係に支障をきたす可能性があるのでおすすめできません。
契約の際には、電子契約書と紙の契約書を1通ずつ作成しましょう。電子契約書は自社が、紙の契約書は相手先企業が保管します。こうすることで、取引先企業のニーズを満たしつつ、契約書を電子保存できます。
電子帳簿保存法は、電子取引において、国税関係書類を紙や電子媒体などで混在して保存することは認めていません。そのため電子媒体と紙媒体を混在して保存するには、直接の交渉による手続きが必要です。
双方の契約書に「本契約の成立の証明として、本書の書面および電磁的記録を作成し、各自電子署名および記名・押印を施す。作成した契約書は、甲(取引先企業)が書面を、乙(当社)が電磁的記録を保管するものとする。」などと記入しておけば、法的に問題となることはないでしょう。
取引先の理解をしっかりと得て電子契約をスムーズに進めよう
取引先が電子契約に同意しないのは、導入コストや法律面での不安があるからです。
そのため電子契約を締結したい時は、取引先企業の懸念を丁寧に取り除いてあげましょう。導入に前向きな企業にはメリットを、導入に否定的な企業にはデメリットも伝えてあげます。電子契約サービスや紙媒体での契約も考慮して、双方納得できる取引をしてください。
相手先との交渉を適切に行って、電子契約をスムーズに締結しましょう。
