電子契約システムのレビューシェア率(2025年版)
2025年7月までにITトレンドで収集した【電子契約システム】のユーザーレビュー(全1624件)を集計した結果、最も多くのレビューを獲得したのはクラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)で1065件(全体の66%)でした。2位は電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)の165件(10%)、3位はSMBCクラウドサイン(SMBCクラウドサイン株式会社)の97件(6%)、4位はAdobe Acrobat Sign(Adobe Inc.)の77件(5%)、5位はDocusign eSignature(ドキュサイン・ジャパン株式会社)の39件(2%)となりました。
クラウドサインの66%という圧倒的なレビューシェアが目立つ一方で、署名方式を使い分けられる製品やグローバルに利用されている製品も着実にレビュー数を伸ばしていることがわかります。レビュー件数の多さは、導入実績や利用者からの支持の高さを示す指標の一つです。自社の課題や目的に合った製品を選ぶ際は、こうしたシェアの傾向も参考にするとよいでしょう。
[シェア分析] レビューからわかる電子契約システムの3つの傾向
レビューシェアTOP5の顔ぶれからは、電子契約システムがどのような観点で選ばれているのかが見えてきます。ここでは、レビュー動向から読み取れる3つの傾向を整理します。
1.立会人型が主流のまま、ハイブリッド型のニーズが上昇
TOP5のうち、クラウドサイン・SMBCクラウドサイン・Docusign eSignatureは立会人型署名に対応した製品です。取引先側の電子証明書発行が不要で、URLクリックのみで署名を完了できる手軽さから、引き続き立会人型が主流となっていることがわかります。
一方で、電子印鑑GMOサインやAdobe Acrobat Signのように、立会人型と当事者型の両方に対応できる“ハイブリッド型”もTOP5にランクインしています。高額取引・長期契約など証拠力を重視したい契約では当事者型、取引先負担を抑えたい契約では立会人型、といった使い分けニーズが、レビューシェアにも反映されていると考えられます。
2.「締結だけ」ではなく、管理・運用まで一気通貫で見られている
レビュー内容をみると、「テンプレート機能で契約書作成が早くなった」「稟議〜締結〜保管までを一元管理できる」「紙の契約書もまとめて管理できて便利」といった声が多く寄せられています。
これは、電子契約システムに対して、単なる「押印の置き換え」だけでなく、契約書作成・社内承認・締結・保管・更新管理までを一気通貫で効率化したいというニーズが強いことを示しています。特に契約書の件数が多い企業ほど、更新漏れ防止や検索性、台帳管理といった周辺業務への評価が高い傾向にあります。
3.「取引先が使いやすいか」が選定の重要ポイントに
レビューでは、「取引先がアカウント登録なしで使えた」「スマホだけで署名してもらえた」「海外の取引先にも説明しやすかった」といった、“自社ではなく取引先の使いやすさ”を評価するコメントも目立ちます。
新しいフローを受け入れてもらううえで、取引先の負担が大きいと導入が進まないケースも少なくありません。レビューシェア上位の製品は、UIのわかりやすさに加えて、取引先側の費用負担やアカウント登録の有無、対応言語・デバイスなどを含めた「使いやすさ」が重視されているといえるでしょう。
タイプ別に見る、シェア上位製品の選び方のポイント
レビューシェア動向を踏まえると、電子契約システムは大きく「実績重視」「証拠力・署名方式重視」「グローバル・多言語対応重視」の3つの視点で選ぶと整理しやすくなります。
1.「実績豊富な定番製品」から選びたい場合
はじめて電子契約システムを導入する企業や、社内外の抵抗感をできるだけ減らしたい場合は、レビューシェア上位の定番製品から検討するのがスムーズです。
- ●クラウドサイン:国内での知名度・導入実績が豊富。立会人型署名で取引先の負担が少なく、外部サービス連携も充実。
- ●SMBCクラウドサイン:メガバンクグループならではのセキュリティやサポートを評価する声が多く、金融・大企業での利用にも適する。
「まずは王道から検討したい」「社内説得や上申をしやすい製品を選びたい」といった企業に向いた選び方です。
2.法的証拠力や署名方式の使い分けを重視したい場合
高額な取引や長期にわたる契約、法的リスクを特に意識したい企業では、立会人型と当事者型の使い分けが重要になります。
- ●電子印鑑GMOサイン:立会人型・当事者型の両方に対応し、契約の重要度に応じた署名方式の選択が可能。
- ●Adobe Acrobat Sign:グローバルでの利用実績があり、多言語かつ高度な証跡管理に対応。
「すべてを一律に同じ方式で締結する」のではなく、契約の重要度やリスクに応じて署名方式を切り替えたい場合に、これらの製品が候補になりやすいといえるでしょう。
3.多言語対応・海外拠点での利用を見据えたい場合
海外拠点や海外取引先が多い企業では、日本国内だけでなく、現地のメンバーや取引先も使いやすい電子契約システムが求められます。
- ●Docusign eSignature:世界180カ国以上で利用され、多数の言語に対応。海外メンバーも含めた標準ツールとして採用しやすい。
- ●Adobe Acrobat Sign:PDF編集・署名との親和性が高く、グローバル企業での導入事例が多い。
「今は国内中心だが、将来的に海外拠点やグローバル展開を見据えている」という企業では、早い段階から多言語対応製品を候補に入れておくと、将来の切り替えコストを抑えられます。
シェア動向を参考にしつつ、自社に最適な電子契約システムを選ぼう
1624件のレビューをもとに電子契約システムのシェア動向を見てみると、クラウドサインの圧倒的なシェアに加え、ハイブリッド署名や多言語対応といったニーズに応える製品が着実に存在感を高めていることがわかりました。
電子契約システムを選ぶ際は、次のポイントを意識してレビューを読み解くのがおすすめです。
- ●レビュー件数(=利用実績・認知度)がどの程度あるか
- ●どの業種・規模の企業からの声が多いか(自社と近いか)
- ●評価されているのが「署名まわり」なのか、「管理・運用」「取引先の使いやすさ」なのか
- ●自社の優先事項(コスト・証拠力・多言語対応など)とレビューの内容が一致しているか
シェア上位の製品だからといって、必ずしも自社に最適とは限りません。レビューの“量”だけでなく“内容”にも目を通しながら、自社の契約フロー・取引先の状況・将来の展開を踏まえて比較することが、電子契約システム選定を成功させる鍵となります。
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