ERPが人気を集めている背景
ERPへの関心が高まっている背景には、複数の業務システムを個別に運用することへの限界と、経営環境の変化への対応があります。ここでは需要拡大の主な要因を2つの観点から整理します。
業務データ一元化への需要拡大
会計や人事、生産、販売管理のデータが部門ごとに分散していると、経営状況の把握に時間がかかり、意思決定が遅れる場合があります。ERPは複数の業務データを一つの基盤に集約できる点が評価されています。
例えば月次の業績集計を複数システムから手作業で突き合わせている企業では、ERP導入によって集計の手間を減らせる可能性があります。部門をまたいだ数値の食い違いを確認する作業が減り、経営層への報告までの時間を短縮できる場合もあります。データの整合性を保ちやすくなる点も、需要拡大の一因といえます。
クラウド化による導入ハードルの低下
従来のERPは大規模なサーバー投資と専門の運用担当者が必要で、導入できる企業が限られる状況がありました。近年はクラウド型ERPが普及し、初期投資を抑えて導入できる選択肢が広がっています。
月額料金制のクラウドERPであれば、中小企業でも段階的に機能を拡張しながら運用しやすくなります。サーバーの保守やバージョンアップを提供事業者側で対応してもらえる仕組みも、運用負担を軽くする要因です。この結果、幅広い規模の企業がERPを検討対象に含めるようになっています。
人気のERPに共通する特徴
多くの企業から支持を集めているERP製品には、いくつかの共通する特徴があります。ここでは業務対応範囲や拡張性、操作性の観点から特徴を整理します。
複数業務領域への対応
人気のあるERPは、会計や人事、購買、在庫、生産管理といった複数の業務領域を一つの製品でカバーできる設計になっています。個別システムを都度連携させる手間を省ける点が評価されています。
業務領域が広いほど、部門間でのデータ受け渡しに伴う入力ミスや二重登録を防ぎやすくなります。在庫情報と会計情報が連動していれば、棚卸しの精度向上にもつながります。ただし対応範囲が広い分、導入時には自社に必要な機能を絞り込む工程が重要です。
柔軟な拡張性とカスタマイズ性
企業の成長や組織変更に合わせて、機能やユーザー数を柔軟に追加できる拡張性も、支持されるERPに共通する特徴です。標準機能だけで対応しきれない業務フローには、追加設定や連携機能で対応できる場合があります。
一方で過度なカスタマイズはシステムの複雑化や保守コストの増加につながる可能性があるため、拡張の範囲は必要最小限にとどめる検討が求められます。将来の事業拡大や拠点増加を見据えて、拡張しやすい構成になっているかを事前に確認しておくと安心です。
直感的に使える操作性
現場担当者が日常的に操作する画面であるため、直感的に使える操作性も選ばれる理由の一つです。専門的な研修を最小限に抑えられる設計は、定着のしやすさにつながります。
操作性を確認する際は、デモ環境やトライアルを利用して実際の入力画面や検索機能を試すことが有効です。画面構成が業務フローと合っているかどうかも確認したい観点です。スマートフォンやタブレットからの入力に対応しているかも、現場での使いやすさを左右する要素です。
ERPの人気が高い提供形態
ERPには複数の提供形態があり、それぞれ人気を集める理由が異なります。ここではクラウド型と業界特化型の特徴を紹介します。自社の運用体制や業種に合わせて、どの形態が適しているかを検討することが大切です。
クラウド型
クラウド型ERPは、インターネット経由でサービスを利用する提供形態です。自社でサーバーを保有する必要がなく、初期費用を抑えて短期間で利用を開始できる点が支持されています。
提供事業者側で機能のアップデートやセキュリティ対策が実施される仕組みも多く、情報システム部門の負担軽減につながる場合があります。一方で自社独自の業務フローに合わせた大幅な改修は制約を受けることもあります。
業界特化型
製造業や建設業、医療機関など、特定の業界に特化した機能をあらかじめ備えたERPも人気を集めています。業界固有の会計処理や帳票様式に対応しており、追加のカスタマイズを抑えやすい点が特徴です。
一方で業界特化型は対応範囲が絞られている分、業種を横断して事業を展開する企業では、複数拠点や事業部門をカバーしきれない場合もあります。自社の事業構成と照らし合わせた確認が求められます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でERPの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
人気ERPを選ぶ際に注目すべきポイント
ERPは長期間にわたって業務の基盤となるシステムです。人気があるという理由だけで選ぶのではなく、自社の状況に合っているかを複数の観点から確認することが重要です。
自社の業務範囲との適合性
ERPが対応する業務範囲が自社の業務フローと合っているかは、選定における基本的な確認事項です。製造業と小売業では必要な機能が異なるため、業種特化型の機能を備えた製品が向く場合もあります。
導入前には自社の業務フローを棚卸しし、ERPに求める機能の優先順位を整理しておくと、比較検討がしやすくなります。
サポート体制の充実度
導入後のサポート体制も、人気ERPを比較する際の重要な観点です。導入時の初期設定支援や、運用開始後の問い合わせ対応の窓口が整っているかを確認しておくと、トラブル発生時の対応がスムーズになります。
サポート窓口の対応時間や連絡手段が自社の運用体制と合っているかも、事前に確認しておきたい点です。担当者が自社の業種特有の業務に理解があるかどうかも、相談のしやすさに影響する場合があります。
費用対効果
導入費用や月額料金だけでなく、業務効率化によって得られる効果を含めた費用対効果で比較することが重要です。安価な製品でも必要な機能が不足していれば、追加費用が発生する場合があります。
見積もりを比較する際は、初期費用と月額費用に加えて、カスタマイズや保守にかかる費用も含めて確認すると、実質的なコストを把握しやすくなります。ユーザー数の増加に応じて料金が変わる製品もあるため、将来的な人員計画も踏まえて試算しておくと安心です。
ERP導入で陥りやすい注意点
人気の高いERPであっても、導入方法によっては期待した効果を得られない場合があります。ここでは導入時に注意したい2つのポイントを紹介します。
過剰な機能追加によるコスト増
導入時に将来必要になりそうな機能まで一度に追加すると、初期費用や運用コストが想定以上に膨らむ場合があります。必要な機能は段階的に拡張する方針が、コストを抑える上で有効です。
特に複数部門から要望が集まる場合は、優先度を整理した上で、本当に必要な機能から順に導入範囲を決める進め方が役立ちます。
現場定着に向けた運用設計
システムを導入しても、現場担当者が使いこなせなければ効果は限定的です。操作研修やマニュアル整備、問い合わせ窓口の設置といった定着支援の設計が重要になります。
運用開始後も定期的に利用状況を確認し、入力が滞っている業務があれば原因を確認して改善する運用体制を整えておくと、効果を実感しやすくなります。
幅広い業務領域に対応する主要ERP製品
ここでは、複数の業務領域をカバーする対応範囲の広さや、クラウド型を中心とした導入のしやすさを基準に、代表的なERP製品を紹介します。自社の業務範囲や運用体制と照らし合わせながら比較検討の参考にしてください。
OBIC7
- 会計軸のERPが、業務統合から経営意思決定支援までフルカバー
- 豊富なソリューションの全てを自社運営クラウドで提供
- 自社開発・直接販売・自社一貫体制で、将来の安心をお約束
株式会社オービックが提供する「OBIC7」は、会計・人事給与・販売管理・生産管理など幅広い業務領域をカバーする統合型ERPです。各業務データを一つの基盤で管理できるため、部門間でのデータ連携や経営状況の把握がしやすくなります。企業規模や業種に応じてモジュールを組み合わせて導入できる柔軟性を備えており、既存の業務フローに合わせた運用設計がしやすい点も特徴です。導入後のサポート体制も整えられています。
GRANDIT(グランディット)
- 中堅・大手企業の基幹刷新に特化した、純国産WEB-ERP
- 国内70社以上のSIerが共同で開発・保守。進化を続けるERP
- 日本の法改正に、迅速にアップデートで対応
インフォコム株式会社が提供する「GRANDIT(グランディット)」は、会計・人事・生産・販売管理などの業務モジュールを組み合わせて利用できる統合型ERPです。複数のパッケージベンダーが共同開発に参画しており、業種や事業規模に応じた柔軟なカスタマイズに対応しやすい構成になっています。クラウド型・オンプレミス型のいずれにも対応しており、企業の運用体制や既存システムとの兼ね合いに合わせた導入形態を選べる点が特徴です。
マネーフォワード クラウドERP
- バックオフィス全体をシームレスに連携!面倒な手作業を自動化
- 事業フェーズに合わせて、機能を組み合わせることが可能
- 様々なサービスと連携!利用中のサービスと柔軟に連携可能
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウドERP」は、会計・請求書・経費精算・給与計算などのクラウドサービスを連携させて利用できるERPです。各サービス間でデータが自動的に連携する設計になっており、部門をまたいだ二重入力の手間を減らせます。クラウド型のため初期投資を抑えて短期間で導入を始めやすく、機能のアップデートも提供事業者側で継続的に行われる点が特徴です。
Oracle NetSuite
- 財務・販売・在庫・購買を一気通貫で管理可能なERP
- 脱Excelで業務標準化と可視化を同時に実現
- リアルタイムなデータ連携で経営判断を迅速化
日本オラクル株式会社が提供する「Oracle NetSuite」は、会計・在庫管理・受発注・生産管理など幅広い業務機能を単一のクラウド基盤で提供するERPです。世界各国での導入実績を背景に、複数拠点や多通貨・多言語での運用に対応しやすい設計となっています。標準機能に加えて業種別の拡張機能も用意されており、企業の成長や事業拡大に合わせて段階的に機能を追加していける点が特徴です。
e2-movE (三谷商事株式会社)
- 複数システムを統合し業務の一元管理を実現。
- 建材販売や工事原価管理に特化し、現場業務を効率化。
- 400社以上の実績をもとに低コスト・短納期で運用。
PROCES.S (株式会社内田洋行ITソリューションズ)
- 建設業経理士多数在籍、導入から保守までワンストップサポート
- JIIMA認証と電帳簿ソフト法的要件認証に対応
- 業務に合わせモジュールを段階的に導入可能
J+ComFITs (富士通株式会社)
- 建設業の成功事例を集約し機能の共通化・標準化を実現。
- 建設業固有の会計処理に対応した、一貫管理と原価・損益管理
- 多通貨・多言語対応、外部連携可でグローバル対応
ERPに関するFAQ
ERPの人気や選び方に関して、よく寄せられる質問をまとめました。
- Q1:ERPはどのような企業に向いていますか?
- 複数の業務システムを個別に運用しており、データの一元管理や業務効率化を図りたい企業に向いています。企業規模にかかわらず、業務範囲に合った製品を選ぶことが重要です。
- Q2:クラウド型とオンプレミス型はどちらが人気ですか?
- 近年は初期投資を抑えられるクラウド型への関心が高まっています。ただし自社独自の運用要件が多い場合は、オンプレミス型が適している場合もあり、状況によって異なります。両者を比較したうえで、自社の運用体制に合う形態を選ぶことが望まれます。
- Q3:ERP導入にはどの程度の期間がかかりますか?
- 導入範囲や既存システムとの連携の有無によって期間は異なります。標準機能を中心とした小規模な導入であれば、比較的短期間で運用を開始できる場合があります。連携するシステムが多い場合は、検証にかかる時間も見込んで計画を立てることが大切です。
まとめ
ERPの人気は、業務データの一元管理やクラウド化による導入ハードルの低下を背景に高まっています。人気製品を選ぶ際は、自社の業務範囲との適合性やサポート体制、費用対効果を確認し、段階的な導入と現場定着に向けた運用設計を心掛けることが重要です。

