交通費精算とは
「交通費精算」とは、従業員の出張や外出の際に立て替えた交通費を精算する業務のことです。精算業務は毎月行われ、経理担当者が申請内容を確認・精算します。一連の業務は、「経費精算業務」の一つとして行われます。
それぞれの経費との違い
同じ「交通費」でも、交通費なのか旅費・交通費なのか、勘定科目での計上方法はさまざまです。
以下の3つの違いについて確認しましょう。
- ■旅費・交通費との違い
- ■通勤手当との違い
- ■出張費との違い
それぞれの確認事項について詳しく解説します。
旅費・交通費との違い
「旅費・交通費」との違いは、それぞれの企業の規定によって異なります。フェリーや飛行機を含む公共交通機関を使用した場合の交通費が「旅費・交通費」となるため、費用が高額になることが多いでしょう。「出張費」となる場合が多いですが、詳しい勘定科目は企業によります。
出張費との違い
「出張費」は旅費・交通費だけでなく、出張にかかる費用の総額のことを指します。出張費に含まれるのは、主に以下の項目です。
旅費・交通費と似ているため、どちらの勘定科目を使用するかはそれぞれの企業の規定によって異なります。
通勤手当との違い
通勤手当は交通費とは違い、非課税の「給与」として支給されます。そのため、経費として精算すべき交通費とは、明確に分けなければなりません。
通勤手当や通勤定期券は、一定の限度額までは非課税となります。なお、公共交通機関だけを利用している従業員と、自家用車や自転車なども併用して通勤している従業員とでは、非課税限度額は異なります。
その他の経費との違い
ほかにも、交通費としてではなく違う勘定科目として計上すべき場合があります。以下の2つの例を挙げます。
- ■取引先の方の交通費を負担する場合
- 接待や打ち合わせなどで取引先の方に移動費用を渡す場合や、タクシーで送迎をした場合は、「交際費」として仕訳をします。
- ■就活生や求職者の交通費を負担する場合
- 企業の規定によって異なりますが、一般的には「採用教育費」として仕訳します。交通費として仕訳をしても税務上問題はありませんが、領収書の提出を求めたり求職者に受領証を書いてもらったりするなどの対応が必要です。
交通費の精算方法
交通費の精算方法は、以下の3つの順番があります。
- ■従業員が申請する
- ■上長承認・経理部門が確認
- ■経理部門が処理する
それぞれについて詳しく解説します。
従業員に申請する
従業員に「経費申請書」を作成してもらい、以下の項目を明確にします。
記入してもらった経費申請書をもとに、経費精算書と領収書を上長承認者に提出します。
上長承認・経理部門が確認
上長承認者は内容を確認し、押印後経理部門へ書類を送ります。記載内容に間違いがないかを、経理部門で再確認します。
経理部門が処理する
確認が終わったあと、経理担当者が会計ソフトや帳簿に仕訳を記録します。翌月の給与と交通費をあわせた金額を登録後、支払いをして完了となります。
交通費精算の注意点
交通費精算をスムーズに行うためには、以下の5つの注意点があります。
- ■行き先・目的などの記録を残しているか
- ■最安ルートで申請しているか
- ■通勤・定期区間は除いて申請しているか
- ■消費税の計算が合っているか
- ■勘定科目は不正ではないか
それぞれ解説します。
行き先・目的などの記録を残しているか
行き先や目的などの記録を残すことは、従業員の不正防止だけでなく税務調査の対策になります。税務調査官は、企業が節税目的で不正をしていないか、厳しくチェックします。公共交通機関をICカードで利用すると領収書なしの場合が多いため、できるだけ領収書を提出させましょう。
最安ルートで申請しているか
多くの企業では、交通費は最安ルートで申請するようにと規定で定められています。常識から逸脱したおかしなルートでの申請がないか、確認しましょう。
しかし、トラブルや到着時間が早くなるなどで、従業員が最安ルート以外を利用する場合があるでしょう。申請の際にトラブルにならないためにも、事前に従業員への周知を徹底することが重要です。
通勤・定期区間は除いて申請しているか
通勤手当や定期券代はすでに給与として支給されているため、交通費には含まれません。交通費精算の際は、定期券の通勤区間を除いて申請するルールを徹底しましょう。
消費税の計算が合っているか
公共交通機関の交通費は、すべて税込み価格です。交通費精算は税別として処理しなければならないため、あらかじめ消費税を分けて計算します。
交通費精算の書類への記載が税別で入れる書式になっている場合は、本体価格は交通費を1.1で割った金額を入力しましょう。
勘定科目は不正ではないか
交通費のなかには、交際費や旅費・交通費など、別の勘定科目として申請するものもあります。従業員が判断できない場合、あらかじめ経理部門へ相談していただくなどの対策をしましょう。
交通費精算における業務効率化する方法
交通費精算における業務効率化を進めるためには、以下の4つのポイントをおさえましょう。
- ■交通費精算のルールを就業規則に明記する
- ■ICカードのデータを活用する
- ■交通費精算の承認ルートを明確化する
- ■経費精算システムを導入する
それぞれ解説します。
交通費精算のルールを就業規則に明記する
交通費精算のルールを就業規則に明記しておけば、いつでも従業員が確認できます。また、新しく入社した従業員へも就業規則を使用して丁寧に周知できるでしょう。
社内ネットワーク上での公開や、一人1冊ずつ常備してもらうなどして、いつでも閲覧・確認が可能な状態にしておきましょう。
ICカードのデータを活用する
SuicaやPASMOなどのICカードは、通勤手当や定期代とは別に計算できるため、業務利用として作ってもらうことがおすすめです。自己申告でなく、実際に交通費として使用した金額をデータで把握しているため、不正を防止できる点がメリットです。
なお、以下の記事でICカードでの交通費精算効率化について詳しく解説しているためぜひご覧ください。
交通費精算の承認ルートを明確化する
従業員から交通費精算の申請があった場合、どのような承認ルートを通るかを明確化させましょう。一般的に交通費精算を行う場合は、上長の確認のうえ経理担当者がチェックするという流れを採用している会社が多いでしょう。上長承認者や経理部門とのダブルチェックにより、不明瞭な交通費や金額の間違いを防止できます。
経費精算システムを導入する
経費精算システムとは、手間がかかりやすい経費生産業務を効率化するシステムです。ヒューマンエラーでおこってしまうミスも、経費精算システムを導入すれば改善できます。システム上でルールを設定することにより、ミスだけでなく不正も防ぎやすいでしょう。
またiPhoneなどのスマートフォンや、アプリと連携可能な製品もあります。外出先でも確認や申請ができるため、さらに効率化がはかれるでしょう。
なお、以下の記事で経費精算システムの選び方について詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
従業員の交通費精算対応は経費精算システムを導入・検討しよう
交通費精算業務を効率化させるためには、経費精算システムの導入がおすすめです。
記事で紹介した交通費精算の基礎知識や注意点など参考にしたうえで、自社にとって最適な製品を選びましょう。
以下のボタンより経費精算システムの一括資料請求が可能なため、製品の導入を検討したい方はぜひご利用ください。