小口現金とは
小口現金とはどのようなものかを詳しく解説します。
小口現金と現金の違い
小口現金は、会社の各部署が保管している、その名前のとおり千円札・500円・100円・10円などのお金です。お茶やお菓子の購入・交通費の清算などに使用されることが多く、毎日必要となるため、使いやすい場所に保管しています。
現金は、ある程度まとまった金額で金庫に保管したり銀行に預けたりしている、主に札束を意味しています。社内に保管する場合は、小口現金とは別に社内の金庫などに厳重に保管されることが一般的です。
小口現金は「すぐに使うために必要なお金」、現金は「すぐには使わないまとまったお金」と考えると理解しやすくなります。キャッシュレス決済が普及しても現金取引はなくならないため、今しばらくは手元の小口現金をゼロにすることはできません。
勘定科目の具体例
小口現金の仕訳で使用する勘定科目は以下のとおりです。
- ・旅費交通費:電車・バス・タクシーなど
- ・消耗品費:文房具・コピー用紙・封筒など
- ・水道光熱費:電気・水道・ガスなど
- ・通信費:電話・携帯・インターネット・TVなど
- ・修繕費:備品の修繕など
- ・雑費:お茶・お菓子・新聞など
小口現金の勘定科目は、貸借対照表の資産にあたります。そのため、小口現金が増加したときは借方に、減少したときは貸方に仕訳します。
小口現金の管理方法
小口現金の管理方法として、補給する制度と出納帳について詳しく解説します。
小口現金を補給する2つの制度
小口現金の管理は、経理担当者から受け取った小口現金担当者が行います。小口現金担当者は、各部署・支社・工場などそれぞれに配置されています。経理担当者から小口現金担当者へ小口現金を補給する方法は、定額資金前渡制度と随時補給制度の2つです。
定額資金前渡制度は、一定の期間に使用した小口現金を補給する制度で、補給された後の残高は一定金額になります。随時補給制度は、必要に応じて随時小口現金を補給する制度です。小切手で補給して、小口現金担当者が換金する方法が多く用いられています。
管理のしやすさから、定額資金前渡制度が一般的です。
小口現金出納帳と現金出納帳の違い
小口現金出納帳と現金出納帳は、記入担当者と内容などが異なります。小口現金出納帳は、部署ごとの細かな支出管理を行うことが目的です。小口現金担当者は、経理から補給されたり、支払ったり、お金の出入りごとに記入します。
現金出納帳は、企業全体の現金の入出金管理を行うことが目的です。複数の小口現金を管理する部署がある場合、各部署へ小口現金を補給したタイミングで経理担当者が記入します。
小口現金を管理するのが1部署の場合、小口現金出納帳と現金出納帳は同じ内容になるため、現金出納帳のみを作成することも可能です。自社の状況にあわせて、運用しやすい方法を選択してください。
正しく管理するときのポイント
管理するために最も大事なことは、毎日の現金残高と小口現金出納帳の残高があっているかを確認することです。万が一残高があっていない場合は、原因を追求しなければなりません。
毎日の記帳内容と残高があっているかを確認し、ミスがあれば修正します。どうしても原因が分からない場合は、雑損失あるいは雑収入として処理します。
小口現金管理については、帳簿を付けるフォーマットに決まりはありません。ノートに手書き・パソコン・会計ソフトなど、正しく管理できれば、どのような方法でも構いません。
小口現金を簡単に管理するコツ
小口現金管理の難しさと、管理を簡単にする方法を詳しく解説します。
小口現金管理の難しさ
小口現金管理はとても煩雑で、以下のような業務が小口現金担当者の大きな負担になります。
- ・入出金を行ったら、小口現金出納帳へ都度記帳を行う
- ・毎日、業務終了後に現金を数える
- ・毎日、現金残高と小口現金出納帳を確認し、あわない場合は見直しを行う
- ・月末には、改めて現金残高と小口現金出納帳残高を確認する
会社によっては、上記以外に毎日の現金残高確認のために、500円・100円・50円・10円・5円・1円などの金種表を作成する場合もあります。小口現金出納帳は、非常に手間のかかる業務です。
簡単に管理する4つの方法
小口現金を管理する方法を詳しく解説します。
エクセルで管理する
エクセルで管理するのが最も易しい方法で、多くの会社が採用しています。エクセルのメリットは、パソコンとエクセルがあればコストがかからないこと、自分で使いやすいように作れることです。エクセルの知識があれば簡単に作成できますが、ネット上にテンプレートがたくさん出回っているので、ダウンロードして活用することもできます。
管理ソフトを導入する
管理ソフトを導入すれば、大幅に業務を軽減できます。サービス内容により多少の違いはありますが、交通費・出張費・交際費などすべての経費の申請・承認・精算から取引先への支払いまで、管理ソフトで行うことが可能です。小口現金を扱う機会は大幅に減少します。
クレジットカードを使用する
法人カードと呼ばれるクレジットカードを利用することで、小口現金の利用は大幅に減少します。法人カードで、交通費・出張費・交際費の支払いを行えば、精算件数を大きく減らす効果があります。法人カードを社員に持たせる場合、どの範囲に使用してよいかのルールの徹底が必要です。
小口現金を廃止する
小口現金を廃止できれば、管理の必要がなく最も効果的な方法です。前述の管理ソフトの導入や、従業員の受け取り口座の登録などの事前準備が必要ですが、各部署の小口現金管理および経理の現金管理の大幅な業務効率アップにつながります。
小口現金の仕組みを理解し、正しく管理しよう!
小口現金は、現金取引のために各部署が保管しているお金で、現金は金庫や銀行に預けている札束です。管理するために、2つの補給制度と出納帳があります。正しく管理するポイントは残高をあわせることです。
簡単に管理するコツは、煩雑な業務を簡素化するために以下のような方法があります。
- ・エクセルで管理
- ・管理ソフトを導入
- ・クレジットカードを使用
- ・小口現金を廃止
小口現金と仕組みを正しく管理するために、まずは資料請求をして製品の比較をしてみましょう。