メール配信の基本!「到達率」とは?
メールの到達率とは、配信したメールが相手の受信ボックスに届いた割合を示す指標です。一斉配信や大量配信した場合、何らかの理由で相手のメールボックスに届かないことがあります。こうなると、到達率は下がってしまいます。
配信したメールが相手に届かない事態は、企業にとって損失となり、必要な案内が届かなければ顧客からの信用を失ってしまうおそれもあります。メールマーケティングを行う企業では、メールの到達率を意識し、適宜改善しなければなりません。
なお、メール配信システムによって到達率を測定できます。開封率やクリック率も合わせて確認すると良いでしょう。
なぜメールの到達率は下がる?
到達率がなかなか上がらない、という方はその原因を探ってみましょう。
ISPが到達率のカギを握っている
メールの到達率には、ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)が深く関係しています。ISPとは、インターネットの接続サービスを提供する事業者のことです。
ISPは安全なサービスを提供するため、IPレピュテーションという送信元のIPアドレスを評価する仕組みで、迷惑メールやスパムを制御しています。評価が下がり、ブラックリストに載ると、ISPはそのIPアドレスからの受信を制限します。その結果、メール配信してもブロックされてしまい、到達率が下がるのです。
IPレピュテーションの基準はある程度決まっている
IPレピュテーションの基準は公開されていませんが、憶測では以下の基準で迷惑メールやスパムを判定しているといわれています。
- ■送信ドメイン認証をしていない
- 送信ドメイン認証とは、送信元が信頼できるかを確認するものです。認証を行っていなければ、なりすましメールとしてブロックします。
- ■メールコンテンツが適正でない
- 不自然な文字列や言葉などが、メール本文・件名に載っている場合は、ブロックの対象となりやすいです。
- ■単一IPアドレスから大量配信している
- これは迷惑メールの送信者によくある特徴で、評価が下がる要因です。
- ■配信リストの中にエラーメールアドレスがある
- エラーが多発するメールサーバは迷惑メールの送信者と判定される傾向にあります。エラーメールアドレスを放置して、そのまま配信を続けていると危険です。
- ■過去に迷惑メールを送った履歴がある
- クラウド型メール配信システムの中には、共有サーバを用いている場合があり、自身は迷惑メールを送っていなくても、同じサーバを利用するほかのユーザーが迷惑メールを送っていれば、評価が下がります。
そのほか、相手の端末の受信設定によって到達率が上がることがあります。
必見!メールの到達率を改善する方法
メールの到達率が下がる原因を踏まえて、何をすべきかご紹介します。
送信ドメイン認証をする
送信ドメイン認証は「SPF(Sender Policy Framework)」や「DKIM(DomainKeys Identified Mail)」といった仕組みで行われます。SPFは、送信メールサーバのIPアドレスをDNSサーバに問い合わせて、信頼できる相手なのか確認します。対してDKIMは、送信メールに添付された電子署名をもとに、信頼できる相手なのか確認します。
メール配信において、送信ドメイン認証は基本中の基本ですので必ず行いましょう。
相手に適した内容のメールを配信する
メルマガ配信をしている場合、読者がどんな人なのか把握できているはずなので、相手が読みたくなるコンテンツ・文章でメールを構成しましょう。そうすれば、ISPから迷惑メールと判定されにくくなるうえ、相手が端末上で受信拒否することもないはずです。
また、最近は迷惑メールに対する規制が厳しく、「特定電子メール法」では同意のない相手へのメール配信を禁止し、相手から配信停止の申出があれば配信できません。これに伴い、メール本文中に配信停止ボタン・リンクを設置し、読者が必要に応じてオプトアウトしやすいようにしましょう。
複数IPアドレスで分散配信する
大量配信したい場合には、単一IPアドレスではなく複数のIPアドレスを使います。ただ、送信メールサーバを複数用意しなければならず、負担になってしまうことでしょう。
そこで複数のIPアドレスを取得しているメール配信システムを利用すると良いでしょう。そのほか、単一IPアドレスでも配信数を調整して大量配信を可能にしているシステムもあります。
配信リストをクリーニングする
配信リストに残っているエラーメールアドレスを除外しましょう。エラーメールの要因はさまざまですが、「メールアドレスが存在していない」「相手のサーバへの接続失敗」などの永続的エラーの場合は、クリーニングしたほうが良いです。
なお、メール配信システムの中には、エラーや配信停止になったメールアドレスを自動的に配信リストから除外する機能があります。
信頼性の高いメール配信システムを使う
メールサーバ1つ1つにIPアドレスが割り振られており、クラウド型メール配信システムを使っている場合は、ベンダー所有のメールサーバのIPアドレスを利用します。
ここで注意したいのが、ベンダー所有のメールサーバが共有サーバなのか、独占サーバなのか、という点です。独占サーバであればIPアドレスも独占できますが、共有サーバだとIPアドレスもほかのユーザーを共有することになります。
共有サーバのメール配信システムを選ぶ際は、ベンダー側で、「ユーザーの事前審査を行っているか」「迷惑メールを送らないよう契約で定めているか」に注目しましょう。法人のみが利用できると安心です。
メール配信システム選びの落とし穴!高い到達率は嘘?
高い到達率をウリにしているメール配信システムを導入したにも関わらず、メールが相手に届かなかったという事例があります。これは、到達率と配信成功率が混同してしまっていることが原因かもしれません。
厳密にいうと、配信成功率はどのくらい受信サーバに届いたか、到達率はどのくらい受信ボックスに届いたのかを示します。配信されたメールは、相手先の受信サーバ・スパムフィルタを経て、受信ボックスに届きます。つまり、受信サーバに届いた割合を到達率と捉えているシステムでは、メールが受信ボックスまで届いているとは限りません。
高い到達率だけでメール配信システムを選ぶのは避けたほうが良いです。「IPアドレスを複数取得しているか」「エラーメールアドレスを自動的に処理できるか」「悪質な業者が利用していないか」なども考慮すると良いでしょう。
適したメール配信システムを選んで到達率を改善しよう!
メールの到達率を改善するには、ISPからの評価を高めることが鉄則です。以下の点がポイントです。
- ■送信ドメイン認証をする
- ■相手に適した内容のメールを配信する
- ■複数IPアドレスで分散配信する
- ■配信リストをクリーニングする
- ■信頼性の高いメール配信システムを使う
ISPから信頼されているメール配信システムを使うと、到達率は安定するでしょう。慎重に選定し、効果的なメール配信を行ってください。