ROI・マーケティングROIとは
ROIはマーケティング施策の費用対効果を測るうえで欠かせない指標です。ここでは、ROIとマーケティングROIの意味や違いについて、基礎からわかりやすく解説します。
ROI：投資に対して得た利益率
ROIとは「Return on Investment」の略であり、どの程度の利益が得られるかを示す指標です。日本語では「投下資本利益率」や「投資利益率」「費用対効果」といった表現で使われることが多く、投資や経営の分野で頻繁に登場します。
ROIは、投資を実施する前にその有効性を見極めるための指標として活用されます。例えば、新たな設備導入やプロジェクトの立ち上げ時に、ほかの選択肢と比較する材料として用いられるケースが一般的です。また、施策の実施後に効果検証を行う際にも、ROIを算出して結果を評価します。
基本的にROIは「利益 ÷ 投資額」で算出されますが、ここでの利益は純粋な利益金額を使用することが重要なポイントです。
マーケティングROI：マーケティング投資額に対し得た利益率
マーケティングROIとは、マーケティングの投資額に対する利益率のことです。一般的に、ROIを計算するときの「投資額」にはさまざまな投資内容が含まれているでしょう。
なかでもマーケティングの投資額、つまりプロモーションの投資利益率を測定するのがマーケティングROIです。このROIを算出することで、新しい施策を打つ判断基準や、実施したプロモーションの分析に活用できます。
ROIの計算・分析方法
ここでは、ROIおよびマーケティングROIの基本的な計算式と、その考え方について解説します。
- ■ROI（一般的な投資対効果）
- （粗利 − 投資額）÷ 投資額 × 100 ＝ ROI（％）
※粗利＝売上 − 売上原価
※この式は「投資によって得られた利益の増加分」に着目した計算方法です。 - ■マーケティングROI
- （粗利 − 販管費 − マーケティング投資額）÷ マーケティング投資額 × 100 ＝ ROI（％）
※販管費（販売費・管理費）はマーケティング投資額に含めず、別途差し引いて計算します。
ROIの数値が高いほど、費用対効果の高い（効率的な）投資が行われたことを意味します。
マーケティング施策を実施する際は、ROIを算出し、どの施策が効果的だったかを評価することが重要です。ただし、算出して終わりではなく、数値をもとに改善策を検討する必要があります。
算出したROIをもとに、より高い成果を得るためには、以下のような改善アプローチが有効です。
- ●投資額の見直し（無駄な支出の削減）
- ●売上原価の削減による粗利の改善
- ●販管費の効率化（業務プロセスの見直しなど）
- ●高ROIの施策に予算を集中させる
ただし、原価の見直しはマーケティング部門の管轄外となることも多いため、通常は戦略やチャネル選定の見直しに注力するのが一般的です。
マーケティングオートメーションでROIを最適化できる理由
マーケティングオートメーション（MA）は、業務の効率化やリード獲得の強化によってROIの向上に貢献します。ここでは、MAがROI改善に役立つ具体的な理由を紹介します。
営業効率が向上する
MAを導入すると業務の自動化が進み、マーケティング部門や営業部門の作業効率が向上します。MAが担うのは、PDCAサイクルにおけるD（実行）の部分です。
繰り返し作業を自動化することで、人手が必要な業務に集中できるようになり、「どのようにすれば現状を改善できるか」を考える時間や余裕も生まれます。その結果、Web広告の最適化や、より効果的な施策の立案・実行が可能になります。
収益が見込める
MAツールは業務の自動化だけでなく、営業の結果を出しやすくする機能も搭載しています。人手だけではできなかった膨大な量のリードに対して短時間でアプローチが可能です。これによって質の高い商談を多く生むことにつながり、営業の売上も出やすくなるでしょう。
また、月に１人必要だった作業を自動化すれば、１人分の人件費を削除できます。つまり、MAを活用すれば粗利（売上増・人件費減）が増えるため、ROIも高くなります。
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自社でROIを高めるための３ステップ
MAツールを導入するだけではROIの向上は見込めません。ここでは、自社の課題に即してROIを高めるために実践すべき３つのステップを具体例とともに解説します。
ステップ１：現状のROIを正しく把握する
まずは現在のマーケティングROIを算出し、どの施策が利益を生み、どの部分で無駄が出ているのかを把握することが重要です。費用対効果が不明確なまま施策を進めると、改善の方向性が定まりません。MAツールの導入前後でROIを比較できるよう、あらかじめ指標を設定しておきましょう。
ステップ２：高ROIにつながる業務を可視化・自動化する
ROIの高い施策を継続し、成果が低い部分を改善するためには、MAを活用した業務の自動化が鍵です。例えば、メール配信やリードスコアリングの自動化によって、人的リソースを効果的に活用できるようになります。工数削減と収益向上の両面で効果が見込めるため、ROIの最適化が可能です。
ステップ３：施策ごとの成果を継続的に分析・改善する
ROIを高め続けるには、施策ごとに数値を検証し、PDCAを回すことが欠かせません。MAツールを活用すれば、キャンペーンごとの効果測定やコンバージョン率の把握がしやすくなります。データに基づいた改善を積み重ねることで、持続的なROI向上が実現します。
このように、ROIの可視化・自動化・継続的改善という３ステップを意識することで、MAの導入効果を最大限に引き出せるでしょう。
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マーケティングオートメーションの注意点
MAツールの導入はROI向上に効果的ですが、使い方を誤ると本来の効果が発揮されません。ここでは、MAを導入・運用する際に気をつけるべきポイントを解説します。
他の指標と混同せずに併用する
MAを活用するときは、マーケティングROIとほかの指標を混同せず、適切に併用することが重要です。マーケティング活動にはさまざまな方法があるため、利益を増やすためにはROI以外の指標も見なければなりません。
例えば、「投下広告費用回収率」を指すROASは、マーケティングで行う広告の効果を測定する指標です。同じマーケティング投資に含まれますが、MAの活用に広告は含まれません。そのため、単純にMAとROIだけ見ていると正確な分析ができないこともあるため注意が必要です。
あくまでも指標として使う
マーケティングROIは、あくまでも１つの指標にすぎません。数値だけに依存してしまうと、施策の真の効果を正しく測れないことがあります。
まずは、MAによって効率化できる業務や分野を明確にしたうえで、正確なROIを算出することが重要です。ただし、MAがすべてのマーケティング活動に関与しているわけではないため、マーケティングROIもあくまで参考値として位置づけるべきでしょう。
MAツールの機能や活用シーンなどは以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてください。
マーケティングオートメーションでROIを最適化しよう
マーケティングオートメーション（MA）を活用すれば、業務の効率化や収益の最大化を通じてマーケティングROIを高められます。ROIは、「利益÷投資額」で算出される指標であり、マーケティング施策の費用対効果を判断するうえで欠かせません。
MAツールを導入することで、リード獲得から商談化までのプロセスが自動化されます。人手による作業負荷を軽減しつつ、売上アップにつながるアクションを強化できるでしょう。その結果、ROIの向上が見込めます。
ただし、ROIはあくまでも指標の１つです。MAの効果を正しく評価するには、ほかの指標と併用しつつ施策全体を継続的に見直すことも重要です。
ROIを改善したい方は、まずは自社にあったMAツールを選定することからはじめましょう。以下からは、主要MAツールを比較できる資料を取り寄せられます。ツールの特徴や価格、対応機能などを一覧で確認しながら、導入を検討してみてください。
