停電時にもPBXが使える!事前にやるべき対策
停電時にもPBXを使うための対策は回線によって異なります。それぞれ見ていきましょう。
メタル回線収容時:内蔵バッテリーの実装など
メタル回線(アナログ回線・INS64回線)を利用している場合、停電してもすぐに利用できなくなるわけではありません。なぜなら、内臓バッテリーと電話回線からの給電を受けられるからです。基本的に、PBXには10分程度利用を持続できるバッテリーが内蔵されているため、停電してから使えなくなるまでに多少の猶予があります。
しかし、10分ではごくわずかな余裕が生じるに過ぎません。この持続時間を長くするには、オプションの内蔵バッテリーの実装が有効です。これがあれば3時間程度持ちこたえられるようになります。
ただし、上記の対策ではFAXなど外部回線を利用する機器は使えません。こちらの対策としては、リチウムイオン蓄電池などの代替バッテリーが有効です。緊急時にFAXを始めとした外部機器に給電でき、普段と同じ状態でPBXを使えるようになります。
INS1500回線収容時:直流端子による給電
INS1500とは、光ファイバー網を用いたデジタル回線のことです。通信の速度や品質が優れているため、多くの企業で使われています。 INS1500を利用している場合、停電時にはDSUが停止します。DSUは外線の入口に位置する機器で、これが止まっていると通信内容を外線に送信できません。
したがって、INS1500を利用している場合の停電対策としてはDSUへの給電が肝となります。DSUは直流で稼働するため、PBXの直流端子からDSUに給電すれば解決します。ただし、その分バッテリーの電力消費は激しくなるため気をつけましょう。
ちなみに、DSUの停止によって使えなくなるのは外線のみです。内線はPBXが動いていれば使えます。
IP回線収容時:UPSによる電力供給など
ひかり電話を含むIP電話は、VoIPゲートウェイとONUを介して外線と内線を接続しています。そして、停電になるとこれら2つの機器が停止するため外線を利用できなくなります。
PBX自体は内臓バッテリーがあれば稼働可能です。しかし、前述のDSUと違い、VoIPゲートウェイとONUにはPBXから給電できません。
したがって、停電時に外線を利用するにはVoIPゲートウェイとONU用の電源を確保する必要があります。UPS(無停電電源装置)を利用し、停電時にもこれらに電力を供給できるようにしましょう。ただし、UPSはそれほど長く持ちこたえられません。あくまで一時しのぎであるため、その間に停電から復旧する必要があります。
クラウドPBX利用時:スマートフォンの内線化
クラウドPBXを利用しているのであれば、自社のオフィスが停電になっても関係ありません。クラウド環境上にあるPBXが正常稼働しているのであれば、そこにアクセスしさえすればPBXを利用できます。
特にスマートフォンを内線端末として利用しているのであれば、充電が残っている限り停電とは無関係に外線を利用できます。
しかし、通信事業者が管理するクラウド上のPBXが災害などによって停電の被害を受ければ話は別です。それが復旧されなければ、手元に電力がいくらあっても無意味です。ただし、それほどの被害が生じたとしたら、それは大災害が起きたときです。PBXの利用よりも、すぐに身を守ることを考えなければなりません。

復電後の操作方法と対応
復電後には、正しい手順で操作しなければ機器を傷める可能性があります。製品によって推奨されている手順に差はあるでしょうが、基本的には以下の順番に電源を入れていきます。
- 1.終端装置
- 2.ルータ
- 3.PBX
- 4.無線ルータ・PoEハブなどの機器
- 5.パソコン
ちなみに、復電後にはそれまでと違う動作が生じることがあります。たとえば、電話機に表示される日時が実際と異なったり、外線発信できなくなったりします。これらはメモリ上の局データが初期化されることで生じます。メモリバックアップ電池の交換と、局データの再設定で対応しましょう。
また、電話機に何も表示されないなど、PBXがまったく機能しないこともあります。PBXの電源を適切に確保していても動かないのであれば、電源盤の異常が原因である可能性が高いです。ベンダーに問い合わせ、修理を依頼しましょう。
停電時に備えてしっかりとPBXの対策を講じよう!
停電時にもPBXを使う方法は以下のとおりです。
- メタル回線収容時
- 長時間内臓バッテリーの実装
- INS1500回線収容時
- 直流端子による給電
- IP回線収容時
- UPSによる給電
- クラウドPBX利用時
- 内線化スマートフォンの利用
クラウドPBX以外は復電後の操作手順にも注意しましょう。何らかの不具合がある場合は、修理や電池交換などの対応も必要になります。以上を踏まえ、停電に備えましょう。
