倉庫業務を自動化する方法
まずは、倉庫業務を自動化する方法を見ていきましょう。
自動倉庫システム
自動倉庫システムとは、入荷から出荷までの一連の流れを自動化するシステムです。倉庫内の荷物は、スタッカーラックと呼ばれる倉庫内を移動する荷棚に収納し、コンピュータで制御されています。
このコンピュータは「オートメーションシステム」と呼ばれ、入荷・出荷情報を一元管理します。
一般的に、自動倉庫システムを導入するには、スタッカーラック、スタッカークレーン、制御装置、在庫管理装置などを完備しなければなりません。導入コストがかかるため慎重に検討しましょう。
自動倉庫システムには以下の4種類があります。
パレット型
パレット型の自動倉庫は、パレット単位で製品をラックに保管するシステムです。高層のラックにパレットを保管することで、倉庫の高さを有効活用できます。
バケット型
バケット型の自動倉庫は、製品をバケットに入れラックに保管するシステムです。不定型の製品や部品などを収納するのに適しています。定型のバケットで保管するため、すっきりした見た目です。
フリーサイズ型
フリーサイズ型の自動倉庫は、さまざまなサイズの製品を収納してラックに保管するシステムです。大きさや種類の異なる製品を一緒に保管できます。
移動棚型
移動棚型の自動倉庫は、電動式の移動棚を使い製品を保管するシステムです。棚自体を移動できるため、通常の棚よりも通路を確保しやすく密集保管を実現します。
自動搬送ロボット
近年、倉庫では自動搬送ロボットとAIの活用が増えています。自動搬送ロボットにはさまざまな種類があり、ラックの下に小型ロボットが潜り込んで持ち上げ運ぶタイプなどがあります。
自動搬送ロボットを使うことで、従業員が倉庫内を歩き回る必要がなくなり、作業ステーションでピッキングできます。
ピッキングシステム
ピッキングシステムとは、ピッキングを効率化するシステム全般を指し、ハンディターミナルを用いてバーコードを読み取るものが一般的です。バーコードをスキャンして在庫数をカウントし、自動で集計します。製品の保管場所はリアルタイムで把握可能です。
ほかにも音声でピッキング指示を行うシステムもあります。ヘッドセットを装着すると、リストを持たずにピッキングが可能です。また、商品を保管している棚にデジタルの表示板を設置し、数量を表示してピッキングを指示するシステムもあります。
倉庫管理システム(WMS)
倉庫管理システムとは、倉庫内の在庫数や入荷・出荷、検品、ピッキングなどの業務を効率化するシステムです。倉庫管理業務を総合的に効率化する機能が備わっています。
たとえば、入出荷作業の進捗状況を管理したり、納品書を発行したりします。在庫管理システムと連携すれば、複数の拠点がある場合でも在庫総数を把握でき、ロケーション別の在庫管理が可能です。
販売管理システムなどとも連携でき、自社の業態に合った倉庫管理が実現するでしょう。
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自動化するメリット・デメリット
つづいて、倉庫業務を自動化する際のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット:生産性が上がる
入出庫やピッキングなど、今まで人が行っていた倉庫業務を自動化することで、従業員の負担が減り、重要業務に時間を割けられます。危険物を保管する倉庫を自動化すれば、従業員の安全確保にもつながるでしょう。
また、冷蔵倉庫の場合、従業員は長時間作業ができず交代制で対応しなければなりませんが、ロボットの導入によって24時間稼働できます。
さらに、倉庫の自動化に踏み出すことは、自社の事業を改善するチャンスともいえます。なぜなら、導入にあたって現場の課題を把握し、これまでの業務を見直す必要があるからです。
導入を機に、従業員が一丸となって課題解決に向けて行動すると、連帯感が生まれて生産性が向上するでしょう。
メリット:品質が安定する
100%の精度を要求されると、従業員のストレスや負担は大きくなり、かえってミスが発生しやすくなります。倉庫業務の自動化によってミスは減り、業務品質は向上するでしょう。従業員のスキルに関係なく業務を進められるため、研修や教育にかかるコストも削減できます。
倉庫業務の自動化は、業務品質だけでなく製品品質も安定させます。たとえば冷蔵倉庫での業務を自動化すると、人の出入りが減り、一定の温度を保てるうえ、外部から雑菌が侵入しにくくなり衛生的な環境になります。
デメリット:導入コストがかかる
倉庫業務の自動化における最大のハードルかつデメリットは、導入コストがかかることです。
倉庫業務を自動化するには、さまざまな設備やシステムの導入が不可欠です。さらに、製品によっては季節の影響を受け在庫数が大きく変動するものもあります。そのような製品を保管するのであれば、柔軟性が高いシステムが必要です。
ただし、そういったシステムは導入コストがさらにかかってしまいます。
初期投資額は大きいですが、さまざまなコスト削減につながるメリットもあります。導入コストを回収できるまでどれくらいの期間が必要なのか試算し、検討すると良いでしょう。
デメリット:トラブル時に業務停止のおそれがある
自動化された倉庫はシステム制御で成り立っているため、不具合が発生すると業務が止まる可能性があります。もし1日でも業務がストップすれば、損害は大きくなるでしょう。
導入する際は、バックアップの仕組みも同時に構築し、トラブルが発生した際の対応をマニュアル化してください。
倉庫業務を自動化した企業の事例
倉庫業務の自動化によって、大きな効果を得た事例があります。
A農協の玉ねぎ倉庫では、生産量の増加にともない、保管場所を確保しなければなりませんでした。さらに、保管前に玉ねぎを乾燥させる工程を踏み、入出荷に時間がかかっていました。
そこで、作業と保管の効率を上げるために、急速乾燥・予冷設備を備えた自動倉庫を構築しました。乾燥から出荷までの作業を自動化し、玉ねぎの品質を保ちつつ乾燥から出荷までの作業がスピーディになります。
また、立体的に保管できる自動倉庫にしたことで、平置きしていたときよりも保管スペースが大幅に縮小できました。
の自動化にかかるコストを抑える方法
倉庫業務を自動化するには、多額の投資が必要です。資金力がある大企業だと導入しやすいですが、資金力が乏しい中小企業では困難でしょう。
そこで、他社の自動倉庫を利用するのが有効です。倉庫業務をアウトソーシングすれば、設備を構築する必要はなく、初期費用を大幅に削減できます。人手不足の問題も解決できるでしょう。
倉庫業務を自動化し、業務効率を向上させよう
倉庫業務の自動化は以下の方法で実現できます。
- ■自動倉庫システム
- ■自動搬送ロボット
- ■ピッキングシステム
- ■倉庫管理システム
倉庫業務を自動化すれば、生産性が上がり物流品質を向上できます。しかし、導入にコストがかかり、トラブル時は業務停止のおそれがあるため注意してください。
コストを抑えて倉庫業務を自動化するには、業務委託が有効です。自社に合った方法で倉庫業務を自動化し、業務効率を向上させましょう。