倉庫のレイアウト設計はなぜ重要か
まずは、倉庫レイアウトの設計がなぜ重要なのか見ていきましょう。
コスト削減・業務効率化に有効であるため
倉庫内のレイアウトにより作業や保管の効率が大きく変わります。もし商品が整理整頓できておらず乱雑に保管されていれば、最短ルートで商品をピッキングできないので、必然的に作業時間が増え、人件費がかさんでしまうでしょう。
直線で進むルートを迂回するなどのピッキング導線の無駄が増えることで、ストレスを感じる従業員も多くいます。倉庫を借りている場合は、余計なスペースを借りることになるため、保管費が余分にかかってしまいます。
そこで無駄がない最適なレイアウトにすると、移動距離が短くなり作業効率が向上します。整理整頓をすることでスペースを削減し、倉庫を借りている場合は、利用費用を抑えられます。レイアウトを設計するときは、倉庫内のピッキングの動線や管理効率を意識しましょう。
頻繁な変更は難しいため
大型の倉庫を使っていれば、保管する商品の量も必然的に増え、保管している商品の場所を変えるとなると大変な作業となります。特に機械を使わないと移動できない大型の商品などを保管している場合は、気軽に保管場所を変えられません。
もし倉庫全体のレイアウトを一気に変更することになれば、それだけで1日の作業が潰れてしまう可能性もあります。倉庫内のレイアウトは頻繁に変えることができないため、最初にレイアウトを決めるときは効率を重視して慎重に決めてください。
しかし、倉庫内の保管量や商品の種類などの状況によって適したレイアウトは変わります。そのため、頻繁ではなくとも最適なレイアウトになるよう見直すようにしましょう。
基本の倉庫レイアウト設計方法
つづいて、どのようにして倉庫のレイアウトを設計するのか、基本となる方法を見ていきましょう。
1.倉庫全体のレイアウトを決める
倉庫のレイアウトを決めるときは、まず全体の配置を決めてから細かい在庫品の保管場所を決めます。この全体のレイアウトにより倉庫内の管理・作業効率は大きく変わるため注意してください。
まずは、倉庫全体のレイアウトを決める方法を紹介します。
入荷~出荷までの作業工程を確認する
レイアウトを決めるときに、まず行うべきことは現状の作業工程を整理することです。作業工程全体を確認することで、確保すべきスペースや共有すべきスペースなどを決められます。また、倉庫によって詳細は異なりますが、主な倉庫内の作業工程はある程度決まっています。
主な倉庫内作業の流れは以下のとおりです。
- 1.入荷
- 2.検品
- 3.入庫
- 4.保管
- 5.出庫
- 6.梱包
- 7.出荷
各工程から次の工程に進むとき、作業場所が遠いと移動する時間が無駄になります。作業をする場所も考慮しながら各工程を確認し、効率が良い最適なレイアウトを考えましょう。
作業動線が一筆書きできるレイアウトを目指す
作業する動線が一筆書きになるレイアウトなら無駄がありません。「I字型動線」「U字型動線」の2種類あります。
- I字型動線
- I字型動線とは、入荷から出荷までの各作業スペースをまっすぐ順番に並べることです。商品の量が多く作業スペースが狭い場合に有効で、入荷・出荷作業を同時にできることが大きなメリットです。
- そのため、建物の端と端に扉があり、入荷と出荷の場所を別々にできる倉庫に向いています。しかし、狭い作業スペース・通路で複数の作業員が同時に仕事をすると互いの作業の邪魔になるため注意が必要です。
- U字型動線
- U字型動線は入荷と出荷場所が同じであり、U字を描くようなレイアウトのことです。各作業を流れるように行うため、複数作業員が仕事をしても互いの邪魔にならず、倉庫や通路が狭い場合でも効率良く作業を行えます。
- しかし、保管スペースを確保した場合、各作業を行うスペースが狭くなるので注意してください。
2.在庫品の保管場所を決める
倉庫のレイアウトではどのように在庫品を保管するのかが大切です。つづいて、在庫品の保管場所を決める方法を見ていきましょう。
ABC分析を活用し出庫頻度で商品をグループ分けする
在庫を保管するときには、その商品の特性に合わせた場所に配置するようにしてください。倉庫に限らず日常生活でも、よく使うものは取り出しやすい位置に、使用頻度が低いものは奥に配置します。そのためにも、まずは商品を出荷頻度に合わせてグループ分けしてください。
このときに有効な手法が「ABC分析」です。ABC分析とは以下の商品特性に応じて商品を分類する方法です。
- Aグループ
- 流動性・出荷頻度が高い。頻繁に商品を取り出すため、作業効率を優先する。
- Bグループ
- 流動性・出荷頻度が平均的。作業効率と保管効率のバランスを考えて保管する。
- Cグループ
- 流動性・出荷頻度が低い。商品を取り出す回数が少ないため、状態が悪くならないように保管効率を優先する。
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出庫頻度に合わせた場所に商品を保管する
ABC分析により商品を分類したら、そのグループごとにまとめて保管します。各グループをまとめたら優先度の高いAグループの商品は、入口・出口に近い場所に保管すると効率的です。
U字型のレイアウトの場合、Aグループの奥にBグループの商品を、さらに奥にCグループの商品を保管すると良いでしょう。
このように作業を行う頻度が高いグループを出入口辺りに集中させることで、最短距離の動線を確保できます。Cグループは、優先度が低くピッキング作業をする回数が少ないので、より多くの商品を保管できるように保管スペースを確保しましょう。
I字型のレイアウトの場合、中央通路の両側に商品を保管し、もっとも通路に近い位置にAグループの商品を配置します。通路から遠くなるにつれて、Bグループ、Cグループと商品優先度をが低い商品を配置しましょう。
保管効率を計測する必要性
レイアウトを決めて商品を保管していても、運用を続けていけば状況は変わってくるでしょう。倉庫のレイアウトが最適かどうかは、保管効率を算出して判断します。保管効率は以下の公式で算出します。
保管効率=保管物の容積÷保管エリアの容積
この保管効率の値が高ければ、少ないスペースにより多くの商品を保管できていることになります。もし保管効率の値が小さくなってきていれば、改善するためレイアウトを見直しましょう。保管効率を高めるためには、倉庫を平面的ではなく立体的に活用することも必要です。
例えば、棚の上にスペースがある場合や、各棚の高さが異なる場合は上手にスペースを使えていないことになります。ほかにも、各棚の中に無駄なスペースが空いていることで保管効率は下がるため、注意してください。
倉庫レイアウトの設計方法を知って作業効率を上げましょう
倉庫の作業効率や保管効率を高めるためには、レイアウトを最適化する必要があります。
最適なレイアウトで商品を保管できればコスト削減にも繋がります。レイアウトは頻繁に変更することが難しいため、慎重に決めましょう。 倉庫のレイアウトを決めるときは、まず全体のレイアウトを決め、ABC分析を活用して在庫品の保管場所を決定してください。
保管効率を算出し定期的に倉庫レイアウトを見直しましょう。