
AI(人工知能)で注目されるディープラーニング
ビッグデータやIoTと並んで、現在注目されている最新技術にAIがあります。四輪車の自動運転や人型ロボットの登場により、にわかに話題となっていますが、実は歴史のある分野です。
AIの研究は1950年代から始まりました。言葉の文法などをルール化しソフトウェア化しましたが、期待ほどの効果が現れずしばらく低迷しました。再度注目されるようになったのが、1990年代にIBMのディープ・ブルーが人間のチェスのチャンピオンに打ち勝ってからです。
そして、今では「ディープラーニング」という「機械学習」の手法が大きなブームになっています。ディープラーニングとは、膨大な量のデータから法則性を見つけだし、高い精度で特徴を認識する学習法です。画像認識では人間以上の精度が得られており、音声認識と自然言語処理によって、ロボットも簡単な会話ができるレベルにまで達しています。
このディープラーニングを倉庫業務に活用できないかという挑戦が進められています。
ディープラーニングのWMS(倉庫管理システム)への活用例
AIによって倉庫管理業務のシステム化を行い、作業を効率化しようという試みが出てきました。
倉庫管理はベテランのノウハウに頼りがち
物流において倉庫は競争力を左右する重要な拠点です。しかし物流・倉庫分野は、班長や作業長などベテランに蓄積されているノウハウが生産性を左右し、人海戦術に頼っている部分が多く残っている業界です。常時100人が必要な規模の倉庫でも、その多くはパートやアルバイトで、数や品質の確保が極めて困難です。
新人のパートやアルバイトでも経験者同様に作業できるシステムが望まれ、過去のデータを学習するディープラーニングが応用できないかと研究されています。倉庫内のレイアウトや動線、出荷作業指示にAIを生かせる場面が多くあるはずです。
AI(人工知能)のピッキング指示への活用
最初に注目されたのはピッキングでした。お客様からオーダーを受け、商品を保管している場所まで行き、集品し、出荷指示するピッキングの時間短縮が多くの倉庫で求められています。ピッキングや配送をシステム化しようという試みは早くから行われてきました。
しかし複雑な業務ルールを明確にし、人がコンピュータに教え込むためには時間が非常にかかるため、成功していませんでした。ここにディープラーニングを生かすことができれば、人の手を介さずにコンピュータが勝手に学習を重ねていきます。
ディープラーニングによる成果
コンピュータに学習させる情報(データ)には、誰が、いつ、どこで、何の作業を、どのくらい行ったかなどが含まれます。これらの情報(データ)からコンピュータがピッキングのスピードアップの手段を自ら推測し、結果の比較を繰り返すことで、数ヵ月で効果が現れることが確認されました。
ベテランの班長や作業長と同じレベルの指示をAIが出すことができたのです。とりわけ、特定時間と特定場所における、作業者の混雑を解消することに成功しました。
WMS(倉庫管理システム)へのロボットの活用
AIに続き、WMS分野で取り組んでいるのがロボットの実用化です。広大な倉庫を人間の足で往復し、商品を探し出し、運搬するのは大変な労力です。人間では作業時間の限界もあります。これを解決する手段としてロボットが期待されているというわけです。
ロボットであれば、24時間365日働くことができます。パートやアルバイトの確保や作業品質の均一化に悩むこともありません。ベテランの作業指示をAIが代替し、パートやアルバイトの代替をロボットが行うという構成です。
AI(人工知能)が物流現場で活躍する未来は近い
今回ご紹介した物流ロボットは、人間の言葉を理解する人型ロボットではありません。ピッキングと運搬に徹した無機質な機械です。このロボットが品物を人間のいる場所まで配送し、人間が目視で確認し、出荷することになります。
今はまだ物流業界に人手は必須ではありますが、物流業務をAI、ロボット、人間が分担し、適材適所に作業を行う物流現場が増えてきています。
システム化が続く、倉庫管理業務。近い将来、倉庫業務や自動車運転も含め、物流の多くの工程がAI化されていくことでしょう。
