会計ソフト導入のメリット
会計帳簿の入力や作成はエクセルでも可能なため、必要ないものとして未導入の企業も多いでしょう。しかし会計ソフトは、あらゆる種類の帳票入力を自動化し、業務効率化することはもちろん、ミスの回避や人件費削減などの効果があります。具体的に解説します。
業務の飛躍的な効率化
AIが文字を認識し自動で仕訳したあと、試算表から総勘定元帳、損益計算書、貸借対照表までさまざまな会計書類の作成が自動化されます。また会計ソフトによっては、銀行明細やクレジットカード、ICカードなどの取引データと連携可能なものもあり、入力作業の手間が削減されます。
会計ソフトを導入すれば、日次管理から月次管理、年次決算まで飛躍的に会計業務が効率化されるでしょう。また作業が自動化されることで、人件費削減にもつながります。
ミスの減少
「借方と貸方の金額が合わない」といった経理上の問題は、単純な帳簿の入力ミスが原因で引き起こされます。会計ソフトは、仕訳の数字が矛盾した際、メッセージが表示されデータ入力できません。そのため単純ミスを未然に防げます。
会計ソフトの導入により、月末や期末に経理の帳尻が合わない場合でも、原因特定作業の時間を削減できます。さらに決算書の正確性も向上するでしょう。
税制改正への対応
会計ソフトは、決算書のほか税務申告書も作成できますが、税制改正、申告書の様式変更などへの対応が必要です。会計ソフトの多くは保守契約により、税制改正にあわせ、システムのアップデートが可能です。税制改正について詳細に調べ、書式を用意するなどの業務が削減できるでしょう。
法改正に応じた最新の動向について、さらに知りたい方は以下のページをご覧ください。
電子帳簿保存法に対応
電子帳簿保存法における取引データの保存形式は、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つに分けられます。令和5年に法改正され、法人・個人事業主ともに、領収書や請求書など電子的に取引されたデータは保存することが義務化されます。(令和6年1月1日から施行)
会計ソフトは、スマートフォンやスキャナで読み込んだデータを取り込みタイムスタンプを刻印する機能を搭載しており、取引データの保存も可能です。さらに、記録事項の訂正・削除の履歴が残るシステムや、訂正・削除不可のシステム活用がスキャナの保存要件であり、電子帳簿保存法に対応の会計ソフトを利用することで、データの信頼性も向上します。
参考:
電子帳簿保存法関係|国税庁
電子帳簿保存法の内容が改正されました|国税庁
会計初心者でも操作可能
一般的には、会計業務を担当する場合、簿記3級以上が求められます。しかし会計ソフトには、スマートフォンやタブレットからレシートをスキャンすると勘定科目を推測し、帳簿付けをサポートする機能が搭載されています。
AIによる自動仕訳で、会計担当者が初心者でも操作しやすく、入力ミスやエラーも通知可能です。またサポートが充実しているソフトを選択すれば、導入時の設定から使用時のトラブルまで、電話やメール、チャットなどで相談できます。
自計化による経営改善
スタートアップ企業・中小企業の中には、税理士や記帳代行業者に、請求書や領収書などを1か月に1回送り、経理業務の代行を依頼しているケースもあります。しかし、取引が帳簿に反映されるまでの期間が長いため、タイムリーに経営状況を把握できません。
会計ソフトを導入した場合、経営情報をすばやく分析可能なデータとして把握し、重要な意思決定につなげられるでしょう。毎日の帳簿付けを自社内で行う「自計化」によって、適時に経営診断を行う体制が構築できます。
なお、業務効率化や電子帳簿保存法に対応した会計ソフトについてはこちらから資料請求も可能です。興味のある方はぜひお申し込みください。
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会計ソフト導入のデメリット
会計ソフトは、導入することで上述したようなメリットがありますが、会計情報の改ざんや消失の危険性なども否定できません。詳しく見ていきましょう。
データ改ざんの可能性
クラウド型の会計ソフトの場合、外部からの不正アクセスや内部関係者によるデータ改ざんの危険性もあります。システム管理者はパソコンにアカウント情報を記憶させない、随時パスワード変更を行うなどルール策定を促す必要があるでしょう。
データ漏えい・消失の可能性
会計ソフトには自動的にバックアップを取る機能が搭載されていますが、災害時や人為的ミスによってデータが消失する可能性もあります。重要な会計データは、BCP対策として災害に強い立地のデータセンターを利用するなどしてバックアップを取り、リスクを分散化するのもよいでしょう。
また、セキュリティが脆弱な会計ソフトは、ウイルス感染やハッキングなどによる情報漏えいを引き起こすケースがあります。会計ソフトを選定する際には、通信が暗号化されていたり、サーバにセキュリティ機能が搭載されていたりと、十分な安全対策が施されているかを確認してみましょう。
会計ソフトとは
会計ソフトとは、仕訳を入力して帳票や決算書の作成など企業の会計業務を行うソフトです。会計ソフトには、以下の3つの機能を装備しています。
財務会計
財務会計は、株主や取引先など社外向けに経営状況を明示するためのデータ作成業務を、サポートをします。日常的な仕訳入力から帳簿や決算書の自動作成、帳票の出力など、幅広くカバーするため、会計処理の業務効率化につながるでしょう。入力したデータをもとに、決算に必要な損益計算書や貸借対照表を作成できます。さらに、税務申告に必要な書類の作成も可能です。
管理会計
管理会計は部署やプロジェクトごとに、財務会計で作成されたデータをもとに分析します。予算管理やプロジェクト管理など、事業や部門にわけてデータを資料化できるため、企業幹部の意思決定に役立つでしょう。外部ツールや基幹ソフトと連携することで、さらに細かい経営分析が可能です。
債権・債務会計
買掛金や売掛金に関するデータを、一元管理した機能です。支払予定日や入金予定日、買掛金残高や売掛金残高を管理し、支払処理や入金処理を行います。企業のキャッシュフローを正確に把握するためには、欠かせない機能の一つでしょう。
会計ソフトの導入形態
会計ソフトの導入形態には、クラウド型会計ソフトとインストール型会計ソフトの2種類があります。自社の業務フローにあう形態を判断して、最適な会計ソフトを導入しましょう。
クラウド型会計ソフト
クラウド型会計ソフトは、インターネット回線を利用して提供されているサービスのため、パソコンやタブレットなど複数端末での利用が可能です。
- クラウド型会計ソフトのメリット
- ・導入費用が抑えられ、月額数千円から利用できる
- ・運用や保守、法改正への対応もベンダーが行う
- ・ネットバンキングやクレジットカードとの連携がしやすい
- ・アップデートも不要
- ・初心者にも扱いやすい
- クラウド型会計ソフトのデメリット
- ・セキュリティはベンダーに依存するため、情報漏えいのリスクはゼロではない
- ・月々のランニングコストがかかる
おすすめのクラウド型会計ソフトを知りたい方は、以下のページをご覧ください。
インストール型会計ソフト
店頭などでも販売されているパッケージ型の会計ソフトで、端末にインストールして使用します。専門知識をもつ会計担当者がいて、カスタマイズしたい場合におすすめです。
- インストール型会計ソフトのメリット
- ・買取型のため、ランニングコストがかからない
- ・自社に適した会計項目にカスタマイズしやすい
- ・インストール型のためシステム障害が起こりにくい
- インストール型会計ソフトのデメリット
- ・経理や会計の知識がある程度必要となる
- ・端末ごとのインストールと手動での更新を要する
- ・ハードディスク容量を消費する
インストール型会計ソフトについてさらに知りたい方は、以下のページをご覧ください。
会計ソフト導入のポイント
会計ソフトの導入においては、目的や提供形態、機能などに注目し、自社に適した製品選びが重要です。詳しく以下で解説します。
導入目的を明確にする
「取引データを自動で取り込みたい」「他の会計・経理システムと連携させたい」「スマホのアプリで隙間時間に仕訳したい」など、会計ソフト導入の目的を明確化することで、自社に適したソフトを選びやすくなります。また会計業務は、日次・月次・年次で異なり、給与や年末調整の仕訳入力、決算書作成、入出金管理など多岐にわたります。業務フローの中で効率化したいタスクをあらかじめ洗い出し、その分野に強みをもつ製品を選ぶとよいでしょう。
導入規模は適切か
会計ソフトは、個人事業主やフリーランス向けのソフトと、中規模以上の法人向けのソフトに分けられます。小規模向けの会計ソフトは、ネットバンキングやクレジットカードと連携し、確定申告や毎日の経理業務を効率化する機能が充実しています。
一方で、中規模以上向けの会計ソフトは、請求書発行などの経理関連の書類作成や法人決済の機能を搭載しており、法人向けの業務フローに導入しやすいでしょう。
また、機能が多くとも自社の規模に合わない場合は、使いこなせず現場で定着しないケースがあります。導入前に無料トライアルを利用し、操作性を確かめたうえで導入することをおすすめします。
自社に合った提供形態か
上述したように、クラウド会計ソフトは、初期費用を抑えたい企業や複数の端末で利用したい場合、経理担当者が初心者の場合に向いています。
一方で、インストール型は、月々のランニングコストを抑えたい企業や自社仕様にカスタマイズしたい企業、自社管理が必要な情報を扱う企業におすすめです。それぞれのメリット・デメリットを踏まえたしたうえで、自社に最適な提供形態を選びましょう。
拡張性や柔軟性はあるか
スモールスタートで効果を試してから、段階的に会計ソフトを導入したい場合や事業規模の拡大に備えて導入したい場合は、拡張性や柔軟性もチェックしておきたいポイントです。カスタマイズ性が高い製品であれば、業態や業種特有の業務フローにあわせた会計システムの構築も可能です。導入時にはカスタマイズする際のコストも、問いあわせてみましょう。
ITトレンドでは、最新の会計ソフトを多数取り扱っています。以下の記事では、製品を価格や特徴、導入規模などで比較し紹介しています。
メリット・デメリットを把握して会計ソフトを導入しよう
会計ソフトは、業務効率化や入力ミス回避などのメリットがあり、電子帳簿保存法にも対応可能です。セキュリティ強度の高い製品も多く、自社の会計データを安全に管理し保存できます。自社の目的や導入規模に適した会計ソフトを導入するために、さっそく資料を取り寄せ、比較検討してみてはいかがでしょうか。