企業で使える代表的なデータ分析の手法
ここでは、企業のデータ活用に適した代表的な手法を紹介します。以下9種類です。
- 1.アソシエーション・バスケット分析
- 2.クロス集計・線形回帰分析
- 3.決定木分析
- 4.クラスター分析
- 5.ロジスティック回帰分析
- 6.因子分析
- 7.ABC分析
- 8.グレイモデル
- 9.時系列分析
1.アソシエーション・バスケット分析
商品やサービスの間にある相関関係を明らかにする分析手法です。
アソシエーション・バスケット分析が明らかにした有名な事柄に、「紙おむつとビールがよく同時に購入される」が挙げられます。紙おむつとビールは一見何の関係性もないように見えますが、実際には「紙おむつの購入を頼まれた父がビールをついでに買う」というつながりがあります。
商品同士の隠れた関係性を見出すのがアソシエーション・バスケット分析です。分析結果を活かすことで、効果的なプロモーション施策が実現します。
2.クロス集計・線形回帰分析
収集したデータを属性ごとに分類して集計する分析手法です。アンケート結果を回答者の年齢・性別・居住地などにもとづいて集計するのに使われます。クロス集計は、各属性の習慣や好みを把握できるため、プロモーション施策に役立てられるでしょう。
クロス集計の結果は、一般的に曲線グラフで表現されます。「1日のゲーム時間は何時間か」というアンケートをとって年代ごとに集計したときには、縦軸にゲーム時間、横軸に年代をとります。
一方、前述のグラフに論理的に考えられる直線を引くのが線形回帰分析です。さきほどのゲーム時間の例で、年代が低いほうから高いほうに向けて緩やかに下降している曲線が見られたとしましょう。このとき、曲線を直線と見なし、ゲーム時間と年代をY=AX+Bの関係として捉えるのが線形回帰分析です。
3.決定木分析
ある原因から「もしこうなったら」という予測を繰り返して、何パターンもの結末を予測する分析手法が決定木分析です。単に結末を予測するだけでなく、発生しうる確率も算出可能です。そのため、決定木分析は主にマーケティングやリスクマネジメントの分野で用いられます。
原因とそこから導きだされる結果を図示すると、枝分かれがたくさんある樹木のように見えるため、決定木と呼ばれます。回帰木や分類木、ディシジョンツリーと呼ばれることもあるでしょう。
4.クラスター分析
ある集団の中から似た特徴のものを集め、グループを形成する手法です。例えば、モモ・バナナ・ジャガイモを分析し「丸い:モモ・ジャガイモ」「甘い:モモ・バナナ」に分類されるといったことが挙げられます。
クラスター分析は、ECサイトのユーザーセグメンテーションなどに用いられます。安さを重視するグループに分ける場合はセールス品、流行に敏感なグループに分ける場合は最新商品を紹介するなどの施策が実現するでしょう。
なお、クラスター分析と混同されやすいのが主成分分析です。主成分分析は、似た変数(要因)を一つに集約することにより、データの変数を減らす手法です。集約されるのは変数であって、データそのものではない点でクラスター分析とは異なります。
5.ロジスティック回帰分析
ある問いに対する答えをYESかNOの二択で整理する手法が、ロジスティック回帰分析です。例えば、ある商品が売れたとき「購入者はどのような人か」ではなく「購入者は男性か否か」と問い、YES・NOで整理します。ターゲット層の商品購入率などを把握するのに活用できます。
6.因子分析
複数のデータの背後にある共通因子を探し出す分析手法が因子分析です。
例えば、ある人が商品を購入するまでに「口コミを見る」「類似商品と比較する」などの行動をとったとしましょう。このとき、「慎重な性格である」という共通因子が背後にあります。
目に見えない要因を探し出せることから、主に心理学の分野で用いられてきました。ビジネスにおいても消費者心理を把握する際に使われます。
7.ABC分析
顧客や商品を重要度別に、A・B・Cの3段階に分ける分析手法です。重点分析とも呼ばれ、主に在庫管理や販促の分野で利用されます。例えば、小売店で商品を分類するときには、売上高の大きい順に並べ累積売上高割合を見ます。
Aは売れ筋商品、Bはある程度売れている商品、Cは死に筋商品といえるでしょう。重要度や優先度を決めることで、より効果的な施策を検討できます。
8.グレイモデル
明確なデータと不明なデータから、曖昧なデータを予測する分析手法です。明確なデータを白、不明なデータを黒、どちらにも属さない曖昧なデータを灰色で表すことからグレイモデルと呼ばれます。
グレイモデルは、リスクマネジメントなどのさまざまな分野で用いられます。ただし、単独で用いられることは珍しく、ほかの分析手法と組みあわせての利用が大半です。
9.時系列分析
時間の経過に伴って変化するデータを分析する手法です。時系列分析は、株価や売上が主な分析対象です。時間経過とともにどのようにデータが変化するのかを明らかにし、マーケティングにおける予測に役立てます。
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データ分析のポイントと注意点
データを分析するにあたり、おさえておきたいポイントを紹介します。
目的の明確化
はじめに、データ分析の目的を明らかにしましょう。企業が解決したい課題によって、手法や分析対象とするデータ、分析結果の活用方法は異なります。目的が不明確なままでは分析方法が定まらず、結果も活かせません。
運用体制の整備
データ分析は、主観や偏りを生じさせないためにも、複数人のチームで行いましょう。BIツールの使用やデータ解析の専門家に協力を依頼するのもひとつの手段です。また、分析は一度で終わるのではなく、複数回行うことも検討してください。特徴や傾向がより掴みやすくなるでしょう。
データ分析を効率よく行う方法
基本的なデータ分析はエクセルでも可能です。しかし、高度な知識や手間が求められることを考えると、エクセルによる分析は効率的といえないかもしれません。
そこでおすすめなのが、データ分析を支援するBI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。専門的な知識がなくても簡単な操作だけでデータの分析・可視化が可能です。
分析時間の短縮・迅速な意思決定が実現するでしょう。
データ分析の手法を知り、業務改善に役立てよう
データ分析により解決したい課題または達成したい目標を明確化し、適切な手法・対象となるデータを選択しましょう。
データの収集・分析の効率化には、BIツールの活用が有効です。興味のある方は、以下の記事も参考にしてください。