企業で使える代表的なデータ分析の手法
代表的なデータ分析の手法を9つ紹介します。
1.アソシエーション・バスケット分析
アソシエーション・バスケット分析とは、商品やサービスの間にある相関関係を明らかにする分析手法です。
この分析手法において明らかになった事柄としては「紙おむつとビールがよく同時に購入される」ことが有名です。紙おむつとビールは一見何の関係性もないように見えますが、実際には「紙おむつの購入を頼まれた父がビールをついでに買う」という繋がりがあります。
このように商品同士の隠れた関係性を見出すのがアソシエーション・バスケット分析です。分析結果を活かすことで、効果的なプロモーション施策が実現します。
2.クロス集計・線形回帰分析
クロス集計とは、収集したデータを属性ごとに分類して集計する分析手法です。アンケート結果を回答者の年齢や性別、居住地などに基づいて集計するのに使われることが多く、各属性の習慣や好みを把握でき、プロモーション施策に役立てられます。
クロス集計の結果は、一般的に曲線で表現されます。たとえば、「1日のゲーム時間は何時間か」というアンケートをとって年代ごとに集計したときには、縦軸にゲーム時間、横軸に年代をとったグラフとなります。
これに対して、そのグラフに論理的に考えられる直線を引くのが線形回帰分析です。論理的に考えられるというのは、そのように見なすことができるということです。
たとえば、先ほどのゲーム時間の例で、年代が低いほうから高いほうに向けて緩やかに下降している曲線が見られたとしましょう。このとき、その曲線を直線と見なし、ゲーム時間と年代をY=AX+Bの関係として捉えるのが線形回帰分析です。
3.決定木分析
決定木分析とは、ある原因から「もしこうなったら」という予測を繰り返して、何とおりもの結末を予測する分析手法です。単に結末を予測するだけでなく、それが発生しうる確率も計算できます。そのため、決定木分析は主にマーケティングやリスクマネジメントの分野で用いられます。
決定木と呼ばれているのは、原因とそこから導きだされる結果を図示すると、枝分かれがたくさんある樹木のように見えるからです。回帰木や分類木、ディシジョンツリーとも呼ばれます。
4.クラスター分析
クラスター分析とは、ある集団の中から似た特徴を持つものを集め、グループを形成する手法です。簡単な例を挙げると、モモ・バナナ・ジャガイモを分析したとき「丸い:モモ・ジャガイモ」「甘い:モモ・バナナ」などとなります。
ビジネスにおいては、ECサイトのユーザーセグメンテーションなどに用いられます。安さを重視するグループや流行に敏感なグループに分ければ、前者にはセールス品、後者には最新商品を紹介するといった施策が実現するでしょう。
ちなみに、クラスター分析と主成分分析は混同されがちですが、両者は異なるものです。主成分分析は、似た変数(要因)を一つに集約することにより、データの変数を減らす手法です。集約されるのは変数であって、データそのものではない点でクラスター分析とは異なります。
5.ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析とは、ある問いに対する答えをYESかNOの二択で整理する手法です。たとえば、ある商品が売れたとき「購入者はどのような人か」ではなく「購入者は男性か否か」といった問いを立て、YES・NOで整理します。ターゲット層の商品購入率などを把握するのに使われます。
6.因子分析
因子分析とは、複数のデータの背後にある共通の因子を探し出す分析手法です。
たとえば、ある人が商品を購入するまでに「口コミを見る」「類似商品と比較する」といった行動をとったとしましょう。このとき、これらの行動の背後には、共通して「慎重な性格である」という因子が隠れています。これを明らかにするのが因子分析です。
目に見えない要因を探し出せることから、主に心理学の分野で使われてきました。そのため、ビジネスにおいても消費者心理を把握する際などに使われます。
7.ABC分析
ABC分析とは、顧客や商品を重要度別に3段階に分けることです。重点分析とも呼ばれ、主に在庫管理や販促の分野で使われます。たとえば、小売店で商品を分類するときには、売上高の大きい順に並べ累積売上高割合を見ます。
Aは売れ筋商品、Bはある程度売れている商品、Cは死に筋商品といえます。このように分けると、Cの在庫を減らしたり、Aを減らしたりといった施策を検討できるようになります。
8.グレイモデル
グレイモデルとは、明確なデータと不明なデータから、曖昧なデータを予測する分析手法です。明確なデータを白、不明なデータを黒、どちらにも属さない曖昧なデータを灰色で表すことからグレイモデルと呼ばれます。
リスクマネジメントなどのさまざまな分野で用いられます。ただし、グレイモデル単独で使われることは珍しく、ほかの分析手法と組み合わせて用いられることが多いです。
9.時系列分析
時系列分析とは、時間の経過に伴って変化するデータを分析する手法です。主な分析対象としては、株価や売上などがあります。それらのデータが時間経過と共にどのように変化しているのかを明らかにし、マーケティングにおける予測などに役立てます。
データ分析をする際のポイントと注意点
データ分析をする際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。
目的を明確にする
初めに、データ分析を行う目的を明らかにしましょう。同じ手法を使う場合でも、分析対象にすべきデータや分析結果の活用方法などは、企業が何を解決したいのかによって異なるからです。目的がないままでは分析方法が定まらず、結果を活かすこともできません。
結果をよく考える
予想どおりの分析結果が出たら、現状として特に変更すべき点はないことになります。一方、予想と異なる分析結果が出た際には冷静な対応が求められます。
分析によって現状を変えたほうが良いことは分かっても、どう変えるべきかは人間が考えなければなりません。また、そもそもデータの扱い方や分析方法が間違っているせいでそのような分析結果が出た可能性もあるでしょう。これらを踏まえて最適な判断を下す必要があります。
データ分析を効率よく行う方法
基本的なデータ分析はエクセルでも行えます。しかし、高度な知識や手間が求められることを考えると、エクセルによる分析は効率的ではありません。
そこでおすすめなのがBIツールです。BIツールとはビジネスインテリジェンスツールのことで、データ分析の支援をしてくれます。データの入力や分析方法の選択といった簡単な操作だけで分析を実行したり、それを分かりやすく表示したりできます。
分析に要する時間が減る分、迅速な意思決定が実現するでしょう。
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企業で使える代表的なデータ分析の手法は以下のとおりです。
- ■アソシエーション・バスケット分析
- ■クロス集計・線形回帰分析
- ■決定木分析
- ■クラスター分析
- ■ロジスティック回帰分析
- ■因子分析
- ■ABC分析
- ■グレイモデル
- ■時系列分析
これらを効率的に行うにはBIツールの活用が有効です。以上を参考にして、業務の改善を目指しましょう。