全社レベルで展開する「エンタープライズBI」
エンタープライズBIとは、従来のBIツールでは分かれていたOLAPツール、データマイニングツール、レポーティングツールなどの種類を1つに統合したものです。
エンタープライズBIの目的は経営戦略立案の支援にあります。エンタープライズBIを導入することで、国内拠点のみならず、海外支店のデータもリアルタイムに把握・分析でき、サプライチェーン上のグループ企業のデータも確認して分析できます。これにより間違いのない経営判断ができるようになります。
なぜエンタープライズBIが広まったのか
1990年ごろから日本国内でもBIツールが導入されるようになりましたが、利用できるシステムやデータは限られていました。業務システムが個々に構築されており、それら複数のシステムからデータを取り込むのが簡単ではなかったのです。
しかし、2000年代からERPが構築されるようになり、全社レベルでのデータベースの統一が見られるようになってきました。複数のシステムを有機的に統合しようとする動きが始まったのです。これらの統合に対応して、導入が本格化しているのが「エンタープライズBI」です。業務や組織を横断して会社全体の分析が可能となりました。

その他の2種類のBI
エンタープライズBIの他には、「モバイルBI」や「セルフサービスBI」があります。
モバイルBI
「モバイルBI」とは、スマートフォンやタブレットなどを用いて、企業の情報システムに蓄積されたデータを分析・可視化するBIツールのことです。普及の背景にはスマートデバイス利用の広がりがあります。クラウド活用はすでに一般化しており、スマートデバイスを大量導入する企業も増えてきました。
このスマートデバイスにBIレポートなどを表示し、場所を問わず、いつでも確認できるようにするのが「モバイルBI」です。専門ツールが多く発表されており、パソコン用の画面表示を容易にスマートデバイスに移植できるようになっています。
スマートデバイスでも活用できるBIツールについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
セルフサービスBI
「セルフサービスBI」とは、エンドユーザ自身がレポート作成やデータ分析を行うことのできるBIツールです。かつて、BIツールには2つの課題がありました。1つは情報システム部門が主導してシステム構築していたため、一般社員のニーズに応えるのに時間がかかっていた点です。もう1つの課題は操作の難しさです。従来のBIツールは専門家向けにつくられており、一般の現場担当者には簡単に使いこなすことができませんでした。
そこで、現場担当者が無理なく利用できるようにと「セルフサービスBI」が登場しました。たとえばセルフサービスBIでは専門知識がなくても管理職用のダッシュボードを容易に作成できます。エクセルで行っていた複雑な作業も、現場担当者がセルフサービスBIを活用し簡単にできるようになる便利さがあり、急速に普及しています。
用途に応じ、最適なBIツールを利用しよう
「エンタープライズBI」以外にも、BIツールの使い方は広がりを見せ、その種類を増やしつつあります。今回紹介した「エンタープライズ」「モバイル」「セルフサービス」という3つの利用方法から、自社によってより効果的なBIツールを検討しましょう。
以下の記事では、BIツール製品の比較を行っていますので、合わせて是非ご覧ください。
