BIツールの市場規模
まずはBIツール市場が成長した背景を解説し、それを踏まえて2028年までの市場規模を紹介します。
BIツール市場が成長した背景
BIツールは、1990年頃に米国で提唱され、DWH(データウェアハウス)で大量のデータが保存できるようになったことで、一気にその市場を拡大させてきました。日本では2000年代から、企業内で統合されたデータベースから情報を抽出し、迅速な経営判断を行うために、大企業を中心に利用する企業が増えました。
特に近年、成長を後押ししているのがビッグデータ活用のニーズの高まりです。市場の競争激化やマーケティング活動の複雑化などの課題を解決するために、企業内のデータ資産に注目が集まるようになりました。データドリブン経営といった、データ分析の結果をもとにした経営手法は、外資系やIT企業でよく取り入れられているでしょう。
ビッグデータの取り扱いには、それまでは情報システム部の担当者や分析の専門家の知識が必要でしたが、セルフサービスBIツールの登場によって誰でも簡単な操作でデータの加工や分析ができるようになったのです。
2023年の市場規模は268億1,000万米ドル
株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポートによると、2023年のBIツール市場規模は268億1,000万米ドルに達しました。
この数字は企業が迅速かつ効果的な意思決定を行う必要性の高まりと、ビッグデータの増加によるものが大きいでしょう。また、クラウド技術の進化により、BIツールを利用するハードルが下がり、中小企業でも導入が進んでいます。データドリブンな経営を目指す企業の増加も、市場拡大の大きな要因の一つとなっています。
参照:ビジネスインテリジェンス(BI)市場規模・シェア分析- 成長動向と予測(2023年~2028年) | NEWSCAST
以下の記事では、中小企業も導入しやすいクラウド型BIツールを比較しているので、興味のある方はご覧ください。
2028年までに市場は424億9,000万米ドルへと成長
同じく株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポートでは、BIツール市場は2028年までに424億9,000万米ドルへと拡大すると予測されています。この成長は、データの価値が高まり続けるなか、各企業が更なる競争力を確保するためにBIツールへの投資を増やすことが予想されるためです。
また、AIや機械学習の技術が組み込まれたBIツールの開発が進むことで、より高度な分析が可能になり、BIツールの需要も高まると考えられます。さらに、セルフサービスBIツールの普及により、従業員が自らデータを分析し、業務改善につなげる文化が根付くことも、市場成長を支える要因となりそうです。
BIツールのシェアは?人気製品ランキングを紹介
このように、BIツール市場は今後も成長し続けると予測されており、多くのベンダーからさまざまな製品が販売されています。TableauやOracle BIは、シェア率の高い製品として有名でしょう。ITトレンドでは、BIツールの人気製品ランキングを毎週更新して紹介しています。興味のある方は以下からご覧ください。
【ITトレンド独自調査】BIツールのニーズがある企業の分類
ITトレンドの2023年ー年間におけるBIツールの年間資料請求ユーザー傾向を調査しました。
従業員規模別に見ると、最も資料請求が多かったのは1,000名以上5,000名未満の企業で、全体の23.6%を占めています。これに続くのは100名以上250名未満の企業で、18.3%です。
一方、小規模企業では10名未満が12.7%、10名以上50名未満が11.8%となっており、規模にかかわらずBIツールへの関心が広がっていることが伺えます。
新規導入と入れ替えを検討している企業の傾向
BIツールの導入を検討している企業のなかで、新規導入を検討している割合は83.8%にのぼります。残りの16.2%は既存のツールとの入れ替えを検討しています。
このデータから、多くの企業がビジネスの意思決定をサポートするために新たなツールを導入しようとしていることがわかるでしょう。また、一部の企業では既存のツールが要求を満たしていないか、より効率的なツールへの更新を求めていることが示唆されています。
従業員規模別ニーズの傾向
調査の結果、従業員規模が大きい企業ほどBIツールに対する需要が高いという傾向が明らかになりました。これは大規模な企業が抱える複雑なデータとプロセスを効率的に管理するために、高度なBIツールを求めていることを意味するでしょう。
しかし、10名未満のような小規模企業でもニーズは存在し、これらの企業がビジネスの成長と発展のためにBIツールを活用しようとしていることが伺えます。
BIツール導入前に押さえるべきポイント
BIツールは今後も導入企業が増えていくことが想定されます。しかし、導入状況の調査の回答にもあったように、自社内でうまく活用できず失敗してしまうケースも多いので導入前に確認しておくべきポイントを2つ紹介します。
- ●導入の目的と使用ユーザーの想定
- ●操作性と必要な分析のレベルの確認
BIツールは、経営層から現場まで幅広い部署で利用できます。そこでまず大切なのは、「どの部署で誰がどのように」活用するのかを明確に決めておくことです。さらに、毎日確認するのか、週次か会議で発表するのかなど活用のシーンもイメージしておくと運用がスムーズです。
また、BIツール活用で成果を上げるためには、データの取り扱いやすさや、アウトプットの形式が重要です。デモやお試し版で、実際に使用予定のユーザーに操作してもらい確認しましょう。
ツールによって、レポーティングが得意なツールや、データマイニングが得意なツールなど特徴が分かれます。自社の導入目的にあわせて、必要な機能があるかどうか、満足いく分析が可能かどうかを比較しましょう。
以下の記事ではおすすめのBIツールを特徴別に分類し、より詳しい選び方のポイントも紹介しています。導入を検討中の方はぜひご覧ください。
自社にあった製品を導入しよう
BIツールの市場規模は拡大し、導入企業は今後も増え続けると予想されます。しかし、導入後にユーザーから不満の声が上がることも多く、製品比較はしっかり行う必要があるといえます。自社の選定基準を整理したうえで、自社にあったBIツールを導入しましょう。