グループウェアとは
グループウェアとは、組織内の情報共有やコミュニケーション、業務管理を効率化するためのソフトウェアです。スケジュール管理、タスク共有、チャット機能などを備え、職員間の連携を強化します。特に病院では、診療の質を維持しつつ、限られた時間とリソースを最大限活用するために、グループウェアが重要な役割を果たします。
病院で役立つグループウェアの主な機能
病院特有の業務に適応し、患者ケアや業務効率の向上を支援するためには、グループウェアの以下の機能が役立ちます。
- ■スケジュール共有
- 医師や看護師のシフト管理、診療予約の調整などを効率化するための機能です。複数の診療科やスタッフ間で予定を共有することで、業務のスムーズな進行をサポートします。
- ■電子カルテや他システムとの連携
- 病院の基幹システムである電子カルテや、診療予約システム、検査データ管理システムと連携する機能です。データの一元管理により、情報の見落としや重複入力を防止し、業務効率を向上させます。
- ■セキュアな情報共有
- 病院では患者の個人情報を扱うため、高度なセキュリティ対策が必須です。一般的に、アクセス権限の設定、データ暗号化、多層認証などのセキュリティ対策が施されています。
- ■タスク管理機能
- 診療や検査、治療計画の進行状況を可視化し、担当者間でタスクをスムーズに引き継ぐ機能が必要です。これにより、業務の漏れや遅延を防ぎます。
- ■チャット・掲示板機能
- リアルタイムの情報共有や、スタッフ間の迅速な意思疎通を可能にするチャット機能は、緊急時の対応や、日常業務の効率化に役立ちます。掲示板機能では、病院全体の方針や連絡事項を共有できます。
- ■報告・承認ワークフロー
- 病院では日々多くの報告や承認が必要です。グループウェアのワークフロー機能を活用することで、書類の回覧を電子化し、意思決定のスピードを高められます。
グループウェアの概要や、業界問わずおすすめの製品を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
病院におけるグループウェア導入のメリット
ここからは、グループウェアを病院で導入することで得られるメリットについて紹介します。
業務効率化とコミュニケーションの強化
グループウェアは、スケジュール管理やタスク共有を通じて、業務効率を大幅に向上させます。さらに、チャット機能や掲示板機能を活用することで、スタッフ間の迅速な意思疎通が可能に。紙の書類や電話・メールでの連絡に依存する必要がなくなり、診療や運営の円滑化を実現します。
医療安全性の向上と法規制対応
患者情報を安全に管理するためのセキュリティ機能やアクセス権限の設定を備えており、情報漏えいリスクを軽減します。また、医療機関は、データ管理において法規制への準拠が求められます。HIPAA(米国医療保険の携行性と責任に関する法律)やGDPR(EU一般データ保護規則)など、国内外の規制に対応している製品も多いため、安心して運用できます。
コスト削減とトレーサビリティの確保
紙の書類や手作業の連絡に依存しないことで、印刷費や通信費を削減できます。また、タスクの進行状況や情報のやり取りを記録できるため、業務の透明性が向上します。業務の責任範囲が明確になり、問題が発生した際の迅速な原因特定と対応が可能です。
病院向けグループウェアを選ぶポイント
病院におけるグループウェアの選定は、医療現場特有のニーズや業務課題を解決するために重要です。以下に、選ぶ際に注目すべきポイントを挙げて解説します。
操作性と現場での使いやすさ
病院では、多くのスタッフが限られた時間で業務をこなしています。そのため、グループウェアの操作が複雑であれば、現場の負担が増えるだけでなく、導入効果が半減してしまうかもしれません。医療現場では、ITスキルが異なる職員全員が無理なく使える、直感的でわかりやすい操作性が求められます。
特に、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末から利用できるシステムは、現場での対応スピードを向上させるため重要です。また、導入時にはトレーニングコストを削減できるよう、わかりやすいマニュアルやサポートが用意されているかも確認しておきましょう。
セキュリティと法規制対応
病院では、患者情報や診療記録など機密性の高いデータを扱うため、セキュリティ対策が不十分なシステムは導入できません。グループウェアを選ぶ際は、アクセス権限の詳細な設定が可能で、権限外のスタッフが重要なデータにアクセスできない仕組みを持つ製品を優先すべきです。また、データの暗号化や多層認証、ログ管理機能なども欠かせないポイントです。
さらに、医療分野では個人情報保護法や医療法など、法規制を遵守する必要があります。これに対応したグループウェアは、規制に適合しているだけでなく、外部監査への対応や、法改正に伴う機能アップデートが提供されることも期待できます。長期的な視点でのセキュリティ確認が重要です。
他システムとの連携と機能の柔軟性
病院業務の中心となる電子カルテや診療予約システムとスムーズに連携できることは、グループウェア選定の大きなポイントです。これにより、データ入力の重複を防ぎ、情報共有がスムーズになります。また、検査結果の確認や患者情報の追跡など、他の医療システムとの統合が可能な製品を選べば、業務の効率化がさらに進みます。
また、病院の規模や診療科によって必要な機能は異なるため、柔軟なカスタマイズ性も重要です。例えば、タスク管理やワークフロー、チャット、スケジュール共有といった基本機能に加え、自院の特定の課題に対応する機能を追加できるかどうかを確認しましょう。柔軟性のある製品は、病院の成長や業務の変化にも対応しやすくなります。
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「desknet's NEO」は、株式会社ネオジャパンが提供するグループウェアです。スケジュール管理、ウェブメール、ワークフロー、設備予約、文書管理を搭載しています。また、ノーコードで自社専用の業務アプリを作成できる「AppSuite」を搭載しており、医療現場の多様なニーズに対応します。
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《Garoon》のPOINT
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- 管理者の負担を軽減できるシステム管理
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「Garoon(ガルーン)」は、サイボウズ株式会社が提供する中堅・大規模組織向けのグループウェアです。主な機能として、スケジュール管理、施設予約、掲示板、ファイル管理、ワークフローを備えます。多言語対応やモバイルアクセス機能も備えており、医療スタッフの多様な働き方をサポートします。
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- 仕事についてのコミュニケーションもLINE WORKSひとつで完結
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「LINE WORKS」は、株式会社サテライトオフィスが提供するコミュニケーションツールです。LINEの使いやすさを活かしつつ、セキュリティを強化し、安全な情報共有を実現します。トーク、掲示板、カレンダー、タスク管理、音声・ビデオ通話などを一つのアプリで利用でき、夜勤シフトの共有や緊急連絡、患者対応での連携に役立ちます。
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「J-MOTTOグループウェア」は、リスモン・ビジネス・ポータル株式会社が提供するグループウェアです。スケジュール管理、掲示板、ワークフロー機能などを備え、医療現場での情報共有やタスク管理が円滑に行えます。クラウド型とパッケージ型の両方に対応しており、院内ネットワークのセキュリティポリシーに合わせた柔軟な導入が可能です。
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CoMedix
「CoMedix」は、株式会社メディシステムソリューションが提供する病院向けグループウェアです。医療現場のニーズに応じて設計されており、設備予約、文書管理、お知らせ回覧、委員会・ワーキンググループなどの機能を備えています。また、インシデントレポートや研修受講管理、就業管理などのオプション機能を追加することで、医療業務支援ツールとしての活用範囲も広げられます。
参考価格:要問い合わせ
e3hospital
「e³hospital」は、株式会社システムリサーチが提供する医療機関向けのグループウェアです。院内ポータル、WEBデータベース、電子カルテシステムとのシングルサインオン機能を有しています。病床数ライセンスを採用しており、職員数や端末数の増加による追加費用は不要。オプションとして、アンケート機能、勤怠管理機能、ワークフロー機能なども追加できます。
参考価格:要問い合わせ
グループウェア導入の流れ
ここでは、病院でグループウェアを導入する場合の一連の流れを掴みやすいよう、大まかな導入の流れを紹介します。
1.要件定義と課題の整理
病院内で抱える情報共有や業務管理に関する問題を明確にし、それに対応するために必要な機能を洗い出します。例えば、スケジュール調整の煩雑さを解消したい場合は、スケジュール共有機能が重要になります。また、電子カルテや診療予約システムとの連携が必要な場合は、その要件を事前に整理しておくことが重要です。
2.製品選定と比較検討
製品選定の段階では、市場で提供されているグループウェアを比較検討します。製品資料を入手し、機能や導入事例を確認するとともに、デモ体験を通じて操作感や使いやすさをチェックします。また、導入費用やランニングコストを確認し、自院の予算に合うかどうかを見極めます。この段階で、複数のベンダーと直接話をして、製品の特長やサポート体制について具体的な情報を得るとよいでしょう。
3.導入計画の策定
製品が決まったら、導入計画を策定します。この計画では、導入スケジュールや初期設定の内容、職員向けのトレーニングプランを詳細に決めていきます。また、電子カルテなどの他システムとの連携設定や、必要な機能のカスタマイズについても、この段階でベンダーと協力して進めましょう。スムーズな導入を実現するために、ベンダーのサポートを積極的に活用することをおすすめします。
4.運用開始と改善
運用を開始した後は、実際の利用状況に応じてフィードバックを収集し、運用方法やシステム設定を必要に応じて調整します。運用開始時には、トライアルとして一部の部署で試験運用を行うと、問題点を早期に発見しやすくなります。また、ベンダーが提供するアフターサポートや定期的なアップデートを活用することで、長期的に安定した運用が可能です。
まとめ
病院でのグループウェア導入は、情報共有や業務効率化を向上させ、患者ケアの質を高めるための重要な手段です。グループウェアを活用することで、業務効率化やスタッフ間の連携強化が図れます。また、セキュリティ対策や法規制への対応が整った製品を選ぶと、安全な情報管理環境を構築できます。選定時には、自院の課題を整理し、資料請求やデモ体験を活用して、最適な製品を見つけましょう。