
在庫管理がうまくいかない理由
在庫管理は実際の在庫数が正しく把握できていないとうまくいかなくなります。では、どのような理由で在庫管理がうまくいかなくなるのか見ていきましょう。
欠品や不良品の発生
在庫の個数が合わなくなる最大の要因は、欠品と不良品が発生することです。この場合の欠品とは、納品個数が発注した個数よりも少ないことを意味します。
たとえば「1ケースに24個入っているはずの商品が1つ足りない」という事態は現場ではよく起こっています。ほかにも、顧客から商品が返品されたり、保管している間に劣化したりして不良品が発生することも多いです。
入庫と出庫でしか在庫数をカウントしていなければ、欠品や不良品によってデータの数と実数にズレが生じてしまうでしょう。このような場合でも、その場で数をカウントしデータに反映させることが大切です。
日常の管理業務が煩雑
在庫管理を適切に行うためには、出庫・入庫時以外にも個数を把握するのが好ましいです。前述のとおり、経年劣化によって出荷できない商品が発生する可能性があるからです。しかし、日常の業務が煩雑でカウントが追いついておらず、誤差が出る可能性があります。
在庫管理のルールが曖昧で、同じ商品を別の場所で管理してしまうことも珍しくありません。特に複数人の従業員がいる場合だと、在庫の置き方がバラバラになってしまいやすいです。
ほかにも日常業務に忙殺されていれば、個数のカウントなどでもミスが発生して個数のズレが生じてしまうことも少なくありません。
在庫管理を改善するための方法
では、どのようにすれば適切に在庫管理できるのか、改善方法を見ていきましょう。
1.在庫の現状を把握する
在庫の今の状態を把握し適切に管理することで、誤差が発生しにくくなりミスを防げます。そのためには、在庫の状態を把握できる環境を構築する必要があります。
たとえば、手作業で個数をカウントするのではなく、バーコード・QRコードをハンディターミナルで読み取れば大幅にミスを削減できるでしょう。ほかにも電子タグで管理する方法も有効です。電子タグを使えば1度に広範囲の商品の情報を読み取れるため、業務効率が高まります。
このような方法であれば在庫管理の負担が減り、正確さが増して在庫の現状を把握しやすくなります。
2.適正在庫を設定する
在庫の数が多ければカウントする対象が増えるため、業務負荷が大きくなります。しかし、在庫の数が少ないと顧客から大量の注文を受けたときに対応できません。業務が煩雑にならないようにするには、適切な量の在庫をキープする必要があります。
そのためにも、現状の在庫を把握するとともに適正在庫を設定してください。適正在庫を決めるときは、過去の実績の分析や需要予測を参考にしましょう。さらに、日次業務で在庫を確認するようにすれば、在庫数のズレに気づきやすいです。
ほかにも従業員が作業に慣れていないことでミスが発生するケースもあります。今一度在庫管理業務のマニュアルを見直し、作業員全員の認識を統一させましょう。このようにして日々の業務を行うことで、理想の在庫数と実数の差が生まれにくくなります。
3.在庫削減を行う
適正在庫を設定した後は、既存の在庫が少なくなるように在庫削減を実施する必要があります。あまりにも在庫の数が多い場合は、値下げしたり買取業者を使って処分しましょう。
基本的には生産計画を見直し、製造のリードタイムの短縮や需要予測の精度を高めて、徐々に適正在庫に合わせていきます。在庫を削減するためには、倉庫だけでなく生産から販売まで会社全体で取り組む必要があるのです。
在庫管理の改善に成功した事例
あるフィリピンの工場では、工場で生産する部品が欠品してしまい生産遅れが発生した事例があります。このような大幅な欠品が生じた原因は、在庫の状態を把握しておらず、あるべき在庫の量を満たしていなかったことです。
もし部品が工場に届かないトラブルが発生しても、倉庫内に十分な在庫があれば、ある程度の生産数はカバーできます。このフィリピンの工場では、在庫管理の基本を理解し直し、発注頻度や適正在庫数を見直すことで事態が速やかに収束しました。
このような改善活動は現状の手順を大きく変えてしまうため、現場では受け入れられないことが多いです。しかし、変化をためらっていれば非効率な在庫管理を脱せず、今回のようなトラブルが発生するリスクは消えません。倉庫の状況に合わせて定期的に在庫管理の方法を見直すことが大切です。
業務を効率化する「在庫管理システム」とは
在庫管理システムとは、倉庫内に保管している在庫の情報を一元管理するシステムのことです。
先述のバーコード・QRコードによる管理も在庫管理システムの機能の1つです。ほかのシステムと連携し、生産から販売までの情報を共有することで、企業全体の効率化も図れるでしょう。
在庫の状況を瞬時に把握できるだけでなく、過去の実績から精度が高い需要予測も行えます。現状の在庫実数を把握しやすく適正在庫を維持しやすくなるでしょう。倉庫内業務を標準化しやすいため、経験やスキルによる差をなくし、教育コスト削減や人材不足の解決方法としても注目されています。
在庫管理業務を改善し、生産性を向上させよう!
在庫の数が多いと経年劣化によって品質が下がるだけでなく、日常の管理業務が煩雑になりやすいです。結果としてデータの数と実際の数に差が生まれてしまいます。
在庫管理を改善するためには、現状を把握し適正在庫を決めましょう。生産から販売までの情報を共有して生産の無駄を減らし、徐々に在庫数を減らしてください。また、在庫状況を把握しやすい在庫管理システムを使い、業務を改善するのもおすすめです。
