近年の小売業界の動向
小売業は流通の最も川下に位置し、仕入れた商品をお客様に販売する事業者です。DIY、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、家電量販店、各種の小売店などがその例です。業界規模が大きく、日本の中核産業の1つとなっています
小売店は国内景気の影響を受けやすく、政府の金融政策による円高、株価の上昇など、一時的な改善傾向は見られたものの、消費者の将来に対する不安は拭えず、個人消費は伸び悩んでいます。
時代の変遷とともに販売の形態にも変化が現れています。その代表的なものが、インターネットを利用したネットショッピングです。スマートフォンが身近になったこともネットショッピングの拡大につながっています。大手スーパーもECサイトを立ち上げるようになり、複数の接点でお客様に販売するオムニチャネル化が潮流となりつつあります。
小売業における在庫管理とは
オムニチャネル化や競争の激化により、従来の人の手による在庫管理が難しくなっており、コンピュータによるシステム化が進んでいます。管理の対象商品が膨大な数になる、あるいは限られた人数で在庫管理をしなくてはならないようなケースでは、システム化をすることが効率化につながる場合もあります。
特に小売業の場合はPOSシステムで蓄積した購買データを元に需給予測を立て、商品ごとに適した発注方式で発注し、在庫管理システムで在庫を管理する、という流れが定着しつつあるようです。
小売業の発注は定量発注方式で行うことが一般的ですが、他にもさまざまな発注方式があります。定量発注方式の方法やその他の発注方式に関しては以下の記事を参考にしてください。
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小売業において在庫管理システムが実現できること
小売業において導入が当たり前になりつつある在庫管理システムは、在庫の入出庫の状況や在庫の過不足がリアルタイムで把握することができます。在庫管理システムを利用することでどのような課題を解決することができるのでしょうか。
適正在庫をキープできる
一般に小売店は利益率が低く、ギリギリの在庫による販売が求められることが多いです。しかし、品切れが発生すると販売チャンスを失ってしまうため、適正な在庫を持たなければいけません。一方、品揃えの充実を強調するために、あえて過剰在庫で棚を演出することもあります。
このことも含め、必要とする在庫を計画的かつ柔軟に仕入れる仕組み作りが必要となります。在庫管理システムではこの仕入れを自動化することができます。
適正在庫について、詳しくはこちらの記事を参照ください。
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在庫を見える化できる
適正在庫を明確にしたら、在庫の見える化を実施します。在庫の見える化には既存のPOSシステムとの連動やハンディターミナルの活用が求められます。見える化することで、在庫の過不足や回転率の悪い在庫が判明します。扱う製品分野によっては売れ筋・死筋の分析や、ABC分析などが可能な場合もあります。
在庫回転率やABC分析について知りたい方はこちらの記事を参照ください。
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実在庫と理論在庫の差異を最小限に抑えられる
在庫を見える化したつもりでも、実在庫と論理在庫が一致していなければ意味がありません。実在庫と理論在庫の不一致は、個人個人の作業手順の微妙な違いに起因することもあります。
試供品や返品の扱いを手順に取り込み、ルール化することが必要です。在庫管理システムでは返品時の対応が最初から機能として搭載されているものがほとんどのため、これらを実現しやすいでしょう。
棚卸し業務を効率化できる
在庫管理システムの中には棚卸し機能が搭載されている製品が多くあります。ハンディターミナルを利用することで棚卸し作業を効率化することができます。ハンディターミナルにより正確な入出庫業務も可能となります。
棚卸については以下の記事をチェックしてみてください。
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在庫ロスを削減できる
食品分野では賞味期限があるために、販売できないまま廃棄処分となることがあります。在庫ロスをなくすには、賞味期限管理、過剰在庫管理などの機能が必要になります。期限管理については、期限切れが近づくとシステムからアラートを出すこともできます。
カスタマイズで取引慣行への対応もできる
返品や売上時に商品の仕入れが発生する(消化仕入れ)などの慣行がある場合は、その制度に対応する機能が必要です。多くの在庫管理システムでは、自社の業務に合わせて機能を開発するなどのカスタマイズもできるため、より在庫管理の精度を高めることも可能です。
小売業の在庫管理システム導入例
ここでは多くの事例の中から小売業の代表的な成功パターンを想定し、モデルケースとして紹介します。
導入前:在庫管理と発注業務の負担が大きい
東北地方に集中して20店舗を展開しているDIYショップの導入例です。
ナショナルブランドの大型DIYが攻勢をかけてくるものの、同社では限られたエリアに地域密着型の店舗を出店することで大型店舗に対抗し、売上を落とすことなくビジネスを継続させています。各店舗の規模は小さいとはいえ、扱っている製品は10万点ほどになり、その在庫管理と発注が店舗スタッフの大きな負担となっていました。
導入後:正確性と効率性が向上しモチベーションも向上
そこで、導入したのが在庫管理システムです。ハンディターミナルを利用して入出庫や棚卸しができるため、正確性と効率性の確保に成功しました。また、本部一括管理ではなく店舗ごとに天候などの条件によって担当者の経験を活かした独自発注をさせることで、モチベーションを下げることなく、適正在庫と売上向上を実現しています。
在庫管理のシステム化で競合に差をつけよう
収益率を向上し、競争力を強化するには在庫管理システムが必須となります。在庫リスクは低減させるべきですが、売り切れによる機会損失も避けなければなりません。適正在庫を把握し、コントロールするためには、業界特性も考慮する必要があります。
在庫管理システムの製品比較を以下の記事で行っています。是非チェックしてみてください。
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