ネット通販における在庫管理の課題
ネット通販の在庫管理には特有の課題があります。2つ見ていきましょう。
短納期ニーズへの対応
最近の消費者は、即日配送などの高度な配送サービスに慣れています。そのため、ほかのお店も同じように商品を短期間で届けてくれると思いがちです。高度な配送サービスを持たない事業者にとって、短納期ニーズへの対応は大きな負担となるでしょう。
逆に、商品を届けるまでのリードタイムを短縮することが、ネット通販やECサイトの商品力に直結しているともいえます。出荷が遅れると、顧客満足度の低下はもちろんのこと、違約金などのペナルティが発生する場合があります。
現在のネット通販やECサイトでは、短納期ニーズに対応することが最重要課題になっているのです。
取引量増加への対応
ネット通販やECサイトでは、取引量の増加への対応も懸念されます。基本的に小口出荷かつ出荷量が多いため、取引量が増えるほど出荷に負担がかかりがちで、在庫管理が煩雑になるからです。
だからといって膨大な取引に対応するため在庫を増やしすぎると、保管スペースがなくなり在庫管理がしにくくなります。その結果商品の保管場所がわからなくなり、業務効率が下がってしまいます。
出荷作業が遅延し、短納期に対応できなければ顧客満足度が低下するでしょう。このようなトラブルが繰り返し発生すると、既存顧客も離れてしまいます。さらに、ECサイトと実店舗を運営している場合も在庫管理が複雑化し、人の手で管理するのは困難でしょう。
ネット通販業で在庫管理を行うメリット
短納期や低コストを求める消費者ニーズを叶えるためにも、ネット通販において在庫管理は非常に重要です。ここからは、在庫管理を行うとどのような効果があるのかを詳しく紹介します。在庫管理を行うメリットは以下のとおりです。
- ■商品の在庫切れを予防する
- 売れ切れが頻発すると、顧客が離れていく原因にもなりかねません。機会損失を防ぐためにも、在庫切れはなるべく防ぎたいものです。
- ■顧客満足度を高める
- 今や欲しい商品がいつでも買えることを当然のように求める消費者も多いです。在庫切れがなくなれば、顧客満足度にもつながるでしょう。
- ■商品の在庫過多を防ぐ
- 在庫管理が適切に行われれば、倉庫スペースを無駄にとる必要はありません。使用期限のあるものであれば廃棄処分も防げます。
- ■売上予測が可能になる
- 在庫管理を長期的に行えば、シーズンごとの人気商品や流行によるニーズの把握が可能です。商品の売れる時期や量をある程度把握できればより適正な在庫管理が行えるでしょう。
ネット通販における在庫管理の基本
ネット通販における在庫管理は、どのように行えばよいのでしょうか。
在庫数の把握
ネット通販に限らず、在庫管理は在庫の数や状態を適正に保つことが目的です。余剰在庫は保管スペースを圧迫しますし、経年劣化によって品質は低下します。逆に在庫が少なければ販売機会を逃し、利益の減少につながります。
そこで在庫の数や状態を適正に保つには、まず現状の在庫数を把握するところからはじめなければなりません。仕入や販売による在庫数の変動は常に記録し、定期的な棚卸によって記録と実態を一致させます。
需要の予測
適正在庫を保つには、需要を事前に予測する必要があります。実際に注文されるタイミングになって対応をはじめていたのでは遅く、間に合わないからです。特に、季節性の商品には注意する必要があります。
例えば、クリスマスシーズンには子ども用の玩具やケーキが多く売れます。夏には冷たい飲料・食料品やレジャー用品が売れるでしょう。具体的にどのくらい売れるのかは、例年のデータを参照すればある程度わかります。このように季節性の商品は需要の変動が明確なため、事前に予測して対応することが大切です。
一方、季節やイベントとは無関係な商品は予測が困難です。そのような商品は例年の販売記録を参考にするほか、インターネットの検索ボリュームを基に世間のニーズを把握するのも有効でしょう。
在庫回転率の計算
在庫回転数とは、在庫が完全に入れ替わった回数のことです。商品の売れ行きを判断する指標として扱われます。
例えば、商品Aの在庫が常に50個程度保持されている場合、ある期間内に商品Aが150個売れたら、在庫回転数は3回となります。
上記の例では個数で考えましたが、価格にもとづく算出も可能です。常に商品Aの在庫を10万円分保持している場合、50万円分売れたらその期間における在庫回転数は5回となります。
基本的に在庫回転数が高いと商品がよく売れていることを示すため、在庫回転数が高い方が望ましいとされています。在庫回転数が低い場合はあまり売れていないため、取扱い数を減らした方がよいでしょう。一方在庫回転数が高すぎると、在庫数が需要に対して不足している可能性があるので、もう少し取扱い数を増やした方がよいこともあります。
このように売れ行きを踏まえて適切な取扱い数を考えるのも、在庫管理の重要な業務です。
ネット通販の在庫管理を最適化する方法
ネット通販における在庫管理はやることが多く、しばしば人手不足に見舞われることがあります。業務を効率化し、少ない労力でネット通販を運営するにはどうすればよいのでしょうか。
1.在庫管理システムを活用する
在庫管理システムとは、その名のとおり在庫管理を支援するITシステムです。代表的な機能をいくつか紹介します。
- 在庫変動の自動管理
- 仕入や販売によって在庫数が変動する際、それを自動記録します。人が手入力で登録する必要はなく、入力ミスも生じません。複数のECサイトでネット通販を展開している場合でも、それらを一括管理できます。
- 入出庫管理
- 入出庫によって実際に商品が出入りする際、その動きもシステム上で管理できます。ピッキングリストの発行や商品移動の指示出しなども可能です。
- 書類の出力
- 請求書や発注書などの出力機能を備えています。エクセルで作るよりも少ない手間で出力できます。
- データ分析
- 商品の売れ筋やその推移、季節との関係性などを分析できます。人の感覚に頼った需要予測よりも高い客観性を確保できるため、正確な予測をしやすくなります。
以下の記事では在庫管理システムの機能や特徴、価格を業種別に比較できます。ぜひ参考にしてください。
2.アウトソーシングを利用する
アウトソーシングする方が、コストを安く済ませられるケースもあります。1か月の出荷量が500件を超えた場合は、外部企業に委託するとよいかもしれません。
知識と経験が豊富な委託先が在庫管理を行うため、繁忙期でも正確に管理が可能です。アウトソーシングすると、物流業務から解放され、商品開発や宣伝活動といった重要業務に集中できます。在庫管理に手一杯で、他の業務に手が回らないという企業におすすめです。
ネット通販向け在庫管理システム一覧
ここからはネット通販向けとして知られる在庫管理システムを紹介します。
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ネット通販における在庫管理を最適化し、利益を増やそう
ネット通販における在庫管理では、規模が大きくなるほど自身での管理が難しくなります。しかし在庫管理は売上に関わってくる重要な要素のひとつでもあります。在庫管理システムを使って業務効率化を図るなどして適正在庫を保つよう心がけましょう。