不良在庫とは
不良在庫とは、売れる見込みがなく経済的損失になり得る在庫のことです。過剰生産・仕入れが原因で売れ残った商品・製品、流行遅れや型落ち、賞味期限切れのものが該当します。他には不良品や欠陥品なども含まれます。
不良在庫の種類によっては、そのままにしておくと他の在庫の価値も引き下げる恐れがあります。在庫の中に腐敗・色落ちした不良在庫が混じっていると、隣に置いていた在庫にまで腐敗が広がったり色移りしたり、悪影響を及ぼします。
また、不良在庫を抱えると保管スペースが必要となり、それを管理する人件費や光熱費などが発生します。不良在庫は資金繰りを悪くさせ、経営に悪影響を与える要因の1つだといえるでしょう。

不良在庫を減らす方法
不良在庫削減はキャッシュフロー改善につながりますが、どのようにすれば不良在庫は減るのでしょうか。3つの方法を紹介します。

1.適正在庫をキープする
不良在庫を減らすため自社の適正在庫を把握し、そのキープに努めましょう。
適正在庫とは欠品しない程度の最小限の在庫数のことです。この状態を維持できれば適正な発注が可能となり、過剰や欠品といった発注ミスの削減につながります。
適正在庫のキープの仕方については、以下の記事を参考にしてください。
2.在庫を極力減らすようにする
在庫を減らす方法も有効です。売上アップや販売機会を逃さないようにするため、在庫を多く持つケースがあります。しかし在庫過多になると管理費用は増大し、不良在庫につながりかねません。
販売による売上アップも大切ですが、売上から費用を差し引いた利益確保を目指すほうが安定した経営には効果的です。
3.在庫の回転率を高める
在庫回転率を高めることで長期保管による商品・製品の品質劣化を防げます。在庫回転率とは一定期間内に在庫が販売される回数(平均値)を指します。計算式は以下のとおりです。
(一定期間の売上原価)÷(一定期間の平均在庫金額)=在庫回転率
回転率が高ければ仕入れた在庫がすぐに売れている、低ければ仕入れた在庫がずっと残っている、ということです。ただし、回転率が高ければ良いというものではありません。適宜、在庫を補充しないと品切れを起こします。
さらに、回転率は平均値であり、すべての商品・製品に当てはまるとは言い切れないのです。特に季節商材には注意してください。過去の在庫回転率や同業他社の在庫回転率と比較し、適正なのか判断しましょう。
在庫の回転率の求め方は、以下の記事をご覧ください。
不良在庫を処分する方法とは
不良在庫の処分法は、「値引き販売」と「廃棄」の2つですが、まず現状の在庫管理法を見直してください。不良在庫が発生する原因を探し、改善策を検討しましょう。
次に、不良在庫の品質が劣化する前に、店頭やWebサイトで「売り切りセール」を実施します。頻繁な売り切りセールは、企業のイメージダウンにつながるため注意が必要です。それでも売れなかった場合は不良在庫を廃棄してください。その際、専門業者から「廃棄証明書」を取得し、記録として残しておきましょう。
なお、廃棄が難しい場合は「評価損」を計上します。評価損とは商品・製品の時価が取得時の簿価より下がり、発生した差額のことです。不良在庫の評価損の計上をしないでいると、帳簿上で不正に利益操作をしたと捉えられる可能性があります。
不良在庫を処分するメリット
不良在庫を処分することで企業にはどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのメリットを見ていきます。
1.管理コストの削減に繋がる
不良在庫を抱えていると、保管に必要な倉庫代や管理する人件費、光熱費代などが発生します。売れる見込みのない商品・製品にコストをかけていては資金の流れが悪くなり、経営に影響を及ぼします。
不良在庫を処分することで管理コストの削減が可能です。経営上のムダがなくなり、キャッシュフローの改善につながるでしょう。
2.金融機関から融資を受けやすくなる
金融機関の融資審査では「在庫回転率」を判断のポイントにすることがあります。在庫回転率が低いと不良在庫を抱えているリスクが高く、金融機関から問題視されてしまうのです。不良在庫を処分すると在庫回転率が上がり、融資審査に通りやすくなるでしょう。
3.節税の効果がある
在庫は棚卸資産として計上され、不良在庫のままでは税金が発生してしまいます。そこで「決算セール」として不良在庫を値引き販売することで棚卸資産を減少させ、節税につなげることが可能です。
また、廃棄する場合も「廃棄損」として損金で計上できます。廃棄損計上では棚卸資産が減少して売上原価が増加するため、利益の減少につながり節税が可能です。
不良在庫を減らし、適正在庫をキープしよう!
不良在庫とは売れる見込みがなくキャッシュフローに悪影響を及ぼす在庫のことです。この在庫を減らす方法は以下のとおりです。
- ■適正在庫をキープ
- ■在庫を減らす
- ■在庫回転数をアップ
不良在庫処分には、「値引き販売」と「廃棄」の方法があり、これにより管理コストを削減できます。さらに金融機関から融資を受けやすくなり、節税につながります。
不良在庫をもつリスクを認識して在庫管理方法を見直し、適正在庫をキープしましょう。
