
過剰在庫によるデメリット
売上アップや販売機会の損失を防ぐには在庫が必要です。しかし、過剰在庫は企業に悪影響を及ぼします。過剰在庫による3つのデメリットを見ていきましょう。
1.キャッシュフローが悪化する
企業は資金を使って商品・製品を仕入れ、それを販売することで利益を得ています。商品・製品が在庫として残っていると資金が減ったままです。
在庫を販売し、資金回収するまでにはタイムラグがあり、支払いから入金までの期間が長引くとキャッシュフローの悪化につながります。日々の企業活動に資金は欠かせず、過剰在庫が企業に与える影響は深刻なものだといえます。極端な場合、黒字倒産に至るかもしれません。
2.管理コストが増加する
在庫を管理するためには保管場所の費用や在庫を管理する人件費、品質劣化を防ぐ空調費などが発生します。
過剰在庫になると保管場所の拡張を余儀なくされ、それに伴い、保管費・空調費が増大もするでしょう。また、棚卸の際にも余計な人員と時間が必要となり、人件費の増加も否めません。管理コストの増加はキャッシュフローの悪化にさらなる拍車をかけるでしょう。
3.商品の品質が低下する
商品・製品を長期保管すると、品質低下のおそれがあります。長期保管は経年劣化や流行遅れを招きやすく、商品・製品の価値が下がります。
販売機会を逃した商品・製品は廃棄を避けるべく、廉価で販売せざるを得ません。最悪の場合、販売できずに廃棄することもあるでしょう。商品・製品の品質が低下すると売れないばかりでなく、廃棄コストまでかかります。これは企業にとって大きな負担だといえるでしょう。
在庫を削減する方法
企業に悪影響を及ぼす過剰在庫ですが、どうすれば削減できるのでしょうか。ここでは4つの施策を紹介します。
保管スペースを最適化する
まずは在庫を種類別や目的別などに分け、保管スペースの整理整頓を行いましょう。作業工程ごとに在庫を分別する方法もおすすめです。
在庫の定位置が決まっていれば見落としによる二重発注を防ぎ、在庫の削減につながります。また、保管スペースの最適化によって、リードタイム短縮や業務効率化も期待できるでしょう。
在庫の位置・状態を把握できるようにする
在庫の位置や在庫数の見える化は過剰在庫の抑制につながります。正確な発注を行うには在庫数を把握し、商品・製品の売れ行きやリードタイムに応じて行うことが大切です。
たとえば、在庫にバーコードを貼り、スキャナーで読み取ればリアルタイムで在庫数を知ることができます。在庫管理システムの分析機能を活用すれば、商品・製品ごとの在庫回転率の把握が可能です。
見落としによる二重発注の削減や在庫回転率に基づく適正な発注が行え、過剰在庫の防止につながるでしょう。
適正在庫量を把握する
商品・製品ごとに過去の出荷データや売上データを参照し、適正在庫量の把握に努めましょう。そして、適正在庫をキープできるよう、発注量の調整を行います。商品・製品ごとの納期管理も大切です。納期は商品・製品ごとに異なり、納期管理が不十分だと納品されていないのに発注してしまう可能性があります。
精度が高い需要予測を行う
季節変動のある商品・製品だと特定時期の需要は高まりますが、時期が終わると全く売れなくなります。こういった商品を過剰発注してしまうと不良在庫になりやすく、経営に深刻な影響を与えかねません。
逆に、発注数が少ないと販売機会を逃してしまいます。そこで、ニーズに合った精度の高い需要予測が求められます。
具体的には、トレンドを分析し、商品・製品の種類や特性に応じて需要予測を行います。的確な需要予測に基づいた発注により、季節商品の過剰在庫を抱えることはなくなるでしょう。
効率的に在庫管理を行う方法
過剰在庫の原因の多くは、過剰発注です。実在庫数を把握できていなかったり、正しく需要予測できなかったりすると過剰発注につながります。そこで在庫管理システムを活用すれば、在庫管理の最適化が実現します。
ハンディターミナルやバーコードにより在庫管理を自動化し、在庫データが即座にシステムへ反映されます。在庫の数え間違いやデータ入力のミスは軽減し、在庫の見える化が可能です。
また、従来の需要予測は経験や勘に頼ることが多く、精度の高い予測とはいえませんでした。
機械学習・AIを搭載した在庫管理システムでは、ライフサイクルや気候変動、過去の売上データなどを分析して規則性を見つけ、商品・製品別に需要予測を行います。これにより従来の需要予測より精度が高く、在庫の最適化が実現します。
的確な需要予測を実施して在庫削減に取り組もう!
過剰在庫は管理コストの増大やキャッシュフローの悪化、品質低下を招きます。過剰在庫の削減方法は以下のとおりです。
- ■保管スペースの最適化
- ■在庫の位置、状態の可視化
- ■適正在庫の把握
- ■精度の高い需要予測
そのほか、在庫状況を可視化できる「在庫管理システム」の活用がおすすめです。AIを搭載していれば、精度の高い需要予測が可能です。在庫管理システムを導入して、効率よく在庫削減に取り組みましょう。

企業にとって商品在庫は売上をあげる生命線です。しかし、気がつくと商品の売れ残りが生じ、在庫の山を前にして頭を抱えてしまう事態にもなりかねません。過剰在庫は企業の財務内容に悪影響を与えますので、機会をみて社内の在庫管理の仕組みを見直してみてはいかがでしょうか。
在庫削減の方法として、保管場所の整理整頓から精度の高い販売予測、商品・製品調達まで社内横断的な取り組みが必要です。近年では、在庫を見える化し、AIが需要予測もしてくれる使いやすい在庫管理システムが開発されています。数多くの企業がお悩みの在庫管理ですが、システムをうまく活用すれば生産性向上しつつ在庫削減を期待できます。