
在庫が「悪」といわれる理由
商品や製品を適切なタイミングで提供するために、在庫を持つことは大切です。では、なぜ在庫は「悪」といわれるのでしょうか。その理由を見ていきましょう。
使える資金が減る
商品や原材料を仕入れることで在庫は増加しますが、資金は減少します。製造業の場合は加工費も加わるため一層の資金減をもたらします。商品や製品の販売によって資金を回収し、利益を得られますが、在庫である間は資金は減少したままなのです。
また、多くの在庫を抱えると保管場所の確保やそれを管理する人件費、品質低下を防ぐ空調設備など、いろいろなコストがかかり、資金減につながります。
在庫は付加価値を生まず、在庫分に使った資金は他に利用できません。過剰在庫は企業のキャッシュフローを悪化させ、倒産につながる可能性もあるのです。
利子がかかっている
多くの企業では事業資金を金融機関から借入れ、それを仕入れに充てています。借入金には利子が含まれ、売上につながらない在庫にまで利子を払っているのです。利子まで払って調達した資金はもっと儲かるところに使われるべきでしょう。
物理的な損失の可能性がある
過剰在庫を抱えると品質や商品価値低下のリスクが高まります。
長期に渡り在庫を保管することで商品が劣化したり、賞味期限切れを起こしたりして商品価値はなくなります。服飾や雑貨などに関してはトレンドがあります。これらの商品は売る時機を逃してしまうと商品価値が下がり、陳腐化します。
店舗に陳列できないため保管スペースを圧迫し、最終的にはお金を使い処分することになります。在庫は利益を生み出さず、保管期間が長引くほど物理的損失のリスクが高くなるのです。
過剰在庫を防ぐ方法
企業にさまざまなデメリットをもたらす過剰在庫ですが、どうすれば防げるのでしょうか。ここでは、過剰在庫を防ぐ2つの方法を紹介します。
正確に在庫数を把握し、適正数を維持する
過剰在庫の原因には、在庫が把握できていないことが挙げられます。倉庫の整理整頓ができていない状態では目的の商品を見つけられず、二重発注が起こりやすいです。
また、納品にかかる日数を把握していないと、欠品を防ごうと余計な発注をしてしまい、過剰在庫につながります。
そこで、現状の在庫数や売上数、出荷数、発注~納品までの日数を正確に把握して、適正在庫を維持するようにしましょう。適正在庫を維持する方法は、以下の記事をご覧ください。
需要の予測をする
需要予測も過剰在庫を防ぐ方法として有効です。商品や製品の売れ筋・見せ筋・死に筋を把握し、それぞれに応じた発注をしましょう。
たとえば、ハロウィンやクリスマスなどの季節商品の発注は、過去の資料を参考にして需要を予測します。勘を頼りにした発注は過剰在庫につながる恐れがあるため避けましょう。
また、サイズ展開の豊富な商品は、極端なサイズほど在庫につながりやすいです。全サイズ同じ発注量にするのではなく、需要に応じて調整し、適正在庫の維持に努めましょう。
需要予測の方法については以下の記事を参考にしてください。
在庫が「悪」である理由を知り、適正化しよう!
在庫が「悪」といわれる理由は以下のとおりです。
- ■キャッシュフローの悪化
- ■在庫金利の発生
- ■物理的損失のリスク
過剰在庫を防ぐには、在庫数を正確に把握して適正な発注を心がけましょう。需要を予測して発注すると無駄な在庫を抱えません。在庫が「悪」といわれる理由を理解し、発注の最適化に努めましょう。
