循環棚卸とは?
循環棚卸とは、すべての在庫を一度に調べる方法ではなく、在庫の種類や場所、作業する日を分けて棚卸する方法です。
この方法では、作業をしている棚のみ入出庫を止めて棚卸を実施します。このとき、管理しているデータと照らし合わせて差異が確定するまで在庫数が変わらないようにしてください。完了したら次の棚に移り、同様に作業をしていきます。
コンビニなどの小売店では、入出庫のたびにカウントするため循環棚卸といえるでしょう。
近年では商品をスキャンする方法が主流となっており、全体の個数の変動もデータで一元管理しています。つまり、循環棚卸は高度にシステム化した企業が行う棚卸方法となっています。

循環棚卸のメリット・デメリットは?
つづいて、循環棚卸のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット:業務がストップしない
循環棚卸は業務をストップせず並行してカウント作業を行えます。もし棚卸のために営業をストップさせると1日分の売上がマイナスになりますが、循環棚卸であれば影響を受けません。
さらに、一度に大量の在庫数をカウントする必要がないため、少人数で対応できることもメリットの1つです。従業員が少ない企業でも、循環棚卸を活用すれば正確な在庫数のカウントが行えます。そうでない企業でも、棚卸作業をする人員が減ることで人件費の削減に繋がります。
デメリット:手作業だと精度が低くなりがち
循環棚卸に対応するためには、正確なカウントが行えるようデータ管理のシステムを導入する必要があります。
もちろん、手作業でカウントをすることもできます。しかし、棚卸中に営業を止めないため、最初に確認した棚と最後に確認した棚との間に期間が空き、ズレが生じやすいです。
また、普段から手作業で在庫管理を行っている場合も精度が低くなるため注意してください。棚卸を実施する期間が長いため、その期間は作業できる人員を確保しなければなりません。人員が減った場合は対応が大変になる点も大きなデメリットといえるでしょう。
一斉棚卸とは?
循環棚卸に対して一斉棚卸とは、名前のとおり一斉に棚卸をする方法です。棚卸中に入出荷があると数に差異が発生するため、業務を完全にストップさせて作業します。一斉棚卸は今まで行われてきた一般的な方法です。
営業をストップさせる必要があるため、年間に1回、半期に1回、四半期に1回というサイクルで行います。実際に、商品数や種類が多い場合は、在庫のカウントに膨大な時間を必要とします。
一斉棚卸のメリット・デメリットは?
つづいて、一斉棚卸のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット:正確な在庫確認を行いやすい
一斉棚卸は循環棚卸と違い、作業中に入出庫が発生することがなく、1度に棚卸をするため精度が高いのが特徴です。棚卸に必要な人員の計算を行いやすく、計画的に実施することもできます。
棚卸の最中に在庫の差異が発生すれば、その場で対処しやすいのもメリットといえるでしょう。間違いをその場で追求し、解決できるため品質の高い在庫管理を実現します。
デメリット:一時的な激務を強いてしまう
一斉棚卸は完全に業務がストップし、短期間で作業を完了させなければなりません。商品数が多い大型の倉庫であれば業務量は膨大になるため、作業員の負担も大きくなります。
棚卸のときだけ短期契約の作業員を補充することが多いですが、人員を上手く確保できないことも多いです。そうなれば、短い期間に対して少人数で作業しなければならないため、激務になりミスが増えやすい鑑賞になってしまいます。
また、新しく人員を増やした場合でも、同じ商品を2回カウントするなどの人為的なミスが発生しやすいため注意しなければなりません。
循環棚卸は営業がストップしない代わり精度にやや難があり、一斉棚卸は高い正確性を誇りつつも作業負担が大きくなりやすい、という違いがあります。
実施棚卸業務を効率化するには?
最後に、棚卸業務を効率化する方法を見ていきましょう。
数え方や書式のルールを統一する
棚卸作業ではミスが発生すると効率が悪くなります。また、作業のスピードや効率は個人の経験やスキルによって大きく変わる傾向があるため、ルールを統一すると良いでしょう。特に新人作業員の場合は、在庫のカウントの方法や報告用紙の書式などが統一されていた方が、ミスを抑えられます。
報告用紙には、品目番号・数量・場所・実施者の項目を盛り込むと管理しやすくなります。ほかにも、手書きだと間違いやすい数字も存在するため、数字の書き方などにも細かいですがルールを設けるのがおすすめです。
在庫管理システムを活用する
棚卸作業において手作業があると、人為的なミスが発生しやすくなります。そこで、在庫管理システムを活用し現場の手作業を削減するのが良いでしょう。
在庫管理システムの中でも、ハンディターミナルを使ってカウントすれば人為的なミスを削減できます。数えるスピードが上がるうえ、データをシステムで一元管理できるため、循環棚卸にも対応可能です。
今までアナログな方法でカウントしていた企業であれば、作業の効率化を図れて人員不足などの改善にも繋がります。
循環棚卸と一斉棚卸の違いを知り、在庫を最適化しよう!
棚卸の方法には大きく分けて「循環棚卸」と「一斉棚卸」の2種類あります。
循環棚卸は業務を止めずに在庫のカウントができますが、手作業だと精度が低くなりやすいことがデメリットです。一斉棚卸は正確な在庫確認を行いやすい反面、一時的な作業負担が大きくなってしまいます。在庫管理システムを導入すれば正確性が増し循環棚卸にも対応しやすくなります。
棚卸方法の違いを知り、自社に合った方法で在庫管理を最適化しましょう。
