在庫管理におけるリードタイムとは?
リードタイム(Lead time)とは「所要時間」を意味する専門用語です。主に生産管理や医学の世界で使われています。
ここでは、在庫管理における「リードタイム」の意味を以下の3つに分けて解説します。
- ・発注リードタイム
- ・製造リードタイム
- ・納品リードタイム
発注リードタイム:発注から納品するまでの時間
1つ目の意味は、発注をかけてから納品が完了するまでの時間(日数)です。「発注リードタイム」や「購買リードタイム」、「調達リードタイム」と表記されているものもこれと同義です。
発注リードタイムが短ければ短いほど、早いスパンで商品の仕入れが可能ということを意味します。それにより市場の動きを見ながら仕入れができるので、余剰分の在庫の削減ができます。
製造リードタイム:商品の製造開始から完了までの時間
2つ目の意味は、商品の生産にとりかかってから商品が出来上がるまでの期間(日数)です。「製造リードタイム」や「生産リードタイム」とも呼ばれます。製造リードタイムは、「工程リードタイム」と「作業リードタイム」に細かく分類できます。
「工程リードタイム」は、製造過程の各工程の着手から完了までにかかる時間のことです。一方で「作業リードタイム」は、それぞれの工程の中にある各作業の着手から完了までにかかる時間を言います。
納品リードタイム:受注から納品するまでの時間
3つ目の意味は、商品を受注してから取引先に納品するまでの時間(日数)です。「納品リードタイム」とも呼ばれています。1つ目が製品の提供を受ける側の目線だったのに対して、こちらは製品を提供する側の目線です。
納品リードタイムの場合、生産方式によって細かな定義が異なる点に注意しましょう。たとえば「完全受注生産」であれば、部品の発注から納品完了までの時間がリードタイムです。一方で小売店などの「在庫販売」の場合は、在庫から商品を探し出して相手に渡すまでの時間を指しています。

リードタイムを改善するポイント
ここでは、自社のリードタイム短縮のためにできることを各リードタイムごとに説明します。生産・在庫管理業務の効率化あるいは顧客満足度の向上のために、改善箇所があれば速やかに見直しましょう。
発注リードタイム:サプライヤーの生産工程やスケジュールを把握する
発注リードタイム短縮の第一歩はサプライヤーの生産工程を把握することです。
発注リードタイムの短縮は自社努力だけで実現するのは難しく、サプライヤーとの協力が不可欠です。まずはサプライヤー側がどのような生産工程で作業しているのかを確認しましょう。基本的に、サプライヤー側は生産の品質を落とさず、かつ納期に遅れないようなベストな作業工程を目指しているはずです。
しかし場合によっては余裕のありすぎる作業工程を組んでいるサプライヤーもあります。作業工程を確認し、この部分を短縮できないか?など相談してみましょう。
また一方的に作業工程の短縮を要求するのではなく、自社の発注予定スケジュールを共有することでサプライヤー側もそれに合わせて改善をしやすくなるでしょう。リードタイム短縮のための交渉は、双方が歩み寄り利益を得ることができる形に持っていくことで成功しやすくなります。
製造リードタイム:無駄を減らし徹底的に効率化する
製造リードタイムを短縮するには、小さな無駄をコツコツ減らし続けることです。
商品を生産するまでにかかる工程の中には無駄がたくさん潜んでいます。例えば、前工程と後工程の連携が上手く行かずに手持ち無沙汰になってしまう、次工程に必要な部品の保管場所が遠く運搬に時間がかかる、不良品や手戻り・手直しが多く歩溜まり率が低下しているなどの無駄が考えられます。
一度決まった製造手順を変更するのは大変ですが、作業手順のちょっとした変更から、作業場のレイアウト変更といった入念な準備が必要なものまで大小さまざまな改善ができるはずです。製造工程の見直しは発注リードタイムとは異なり、基本的に自社のみで改善ができます。定期的に見直しを行い改善を継続しましょう。
納品リードタイム:受注業務・倉庫管理業務を最適化する
納品リードタイム短縮を目指すには、受注~倉庫への出荷指示と倉庫内での出荷作業に着目することが重要です。
まずは、受注してから倉庫への出荷指示を出すまでにどのくらいの時間がかかっているかを把握しましょう。受注の方法は電話やFAX、専用サイトなど企業によってさまざまですが、処理方法によっては時間がかかったりミスが発生することもあります。日々の注文を適切に処理できているかをまず確認しましょう。
次に、出荷指示を受けた後の倉庫内業務に注目します。素早く正確な出荷を行うためには、適切な在庫管理が必要です。
商品の保管場所や数量をリスト化しておくことで、注文があった商品をすぐに見つけられるようになります。場合によっては入口と出口を変更するなどして、動線の簡略化を目指すのもおすすめです。
また委託している配送業者や商品の配送ルート、配送にかかる日数なども把握しておきましょう。これらの情報は配送方法の見直しに必要になるだけでなく、顧客に納期を提示する際にも欠かせません。
さまざまな視点で納品リードタイム短縮を図りましょう。
リードタイムを短縮して在庫管理を効率化しよう
この記事では在庫管理における「リードタイム」に焦点を当て、種類別の意味や短縮のための改善方法をまとめました。
リードタイムは短ければ短いほど顧客満足度を向上させられるだけでなく、効率的な生産や在庫管理が実現可能です。自社製品の製造から顧客への納品までのすべての過程を一度見直し、できるだけ無駄のない在庫管理を目指しましょう。
