ペーパーレス化とタブレット活用の経緯
ペーパーレス化にタブレットが活用されるようになるまでには、法律の施行やITの普及などさまざまな出来事がありました。まずはこれまでの経緯を振り返ってみましょう。
法律の施行とITの普及
業務のシステム化は紙伝票でなどの手作業を電子化する取り組みであり、ペーパーレス化の効果も期待されました。しかし、電子データを印刷する人が多く、オフィスは紙書類があふれるようになってしまいました。
1998年7月には電子帳簿保存法が施行され、それまで紙での保存が義務づけられていた財務帳票の電子保存が可能となりました。巨大な倉庫と占拠していた紙帳簿がなくなり、オフィスは本格的にペーパーレス化が進むと思われましたが、それ以外の紙書類は依然としてオフィスに残りました。
2000年代になってインターネットのブロードバンド化と相まって、Web会議システムが多くの企業に導入されるようになりました。その際、会議には紙資料ではなく、PDFなどの電子データを利用するペーパーレス会議の仕組みが導入されます。
しかし当時は現在よりも構築コストが高く、中小企業が導入に踏み切ることはまれでした。
タブレット端末の企業への普及
2010年代には、企業がタブレット端末を業務に広く活用するようになります。これによって、ペーパーレス化がようやく現実的なものとなりました。タブレット端末は営業など外回りの担当者だけでなく、役員にも持たせ、情報共有に活用している企業も多くあります。これにより、経営判断のボトルネックをなくし、機動力のある会社にすることができるようになったのです。
ペーパーレス化促進にタブレットが適している理由
ペーパーレス化には資料の電子データ化が必要です。データ化された資料はタブレットではなく、PCやスマートフォンからも閲覧することができます。では何故PCやスマートフォンと比べて、タブレットはペーパーレス化と相性が良いのでしょうか。その理由は、紙の資料のように軽々と持ち運ぶことができ、どのようなシーンでもすぐに取り出し起動できるという特徴にあると考えられます。
PCの場合、資料を見る度に「開く」という動作が発生し、立ったままの操作が難しいと考えられます。スマートフォンは画面が小さく、商談などのビジネスシーンでの使用が適切でない場合もあるでしょう。タブレットはPCとスマートフォンの資料閲覧に不向きな点をカバーしているのです。
このような点からペーパーレス化促進にはタブレットの活用がおすすめであると言えるでしょう。
ペーパーレス化にタブレットを活用する5つのメリット
ペーパーレス化においてタブレット端末を導入・利用することは、ペーパーレス化を加速させるとともに利便性に富んでいます。ここからはタブレット端末を導入するメリットをご紹介していきます。
1.時間や場所に依存せず資料の閲覧・修正ができる
タブレット端末なら社外にいても資料を閲覧することが可能です。これまで、営業先に訪問する際には資料をたくさん持ち運んでいた方も多いのではないでしょうか。持ち運びしやすいタブレットを活用すれば、専用のアプリケーションやブラウザから時間や場所を問わず資料を閲覧したり、修正することができます。
2.印刷・廃棄にかかっていたコストの削減ができる
これまでにかかっていた紙への印刷代や不要になった資料の廃棄にかかる時間や費用など、無駄なコストをなくすことができます。省力化や紙を保管するスペースも不要となります。またトータルの印刷枚数や廃棄枚数が減るため、複合機(コピー機)やシュレッダーを長く使用でき、頻繁な買い替えを防ぐこともできます。
3.情報漏えいの防止などセキュリティの強化ができる
紙で文書を保管すると紛失や盗難といったセキュリティ面に不安が残ります。ドキュメントサーバに資料を保存する方法であれば、紙のように簡単に紛失することもありません。またアクセス制限を行い、特定のタブレット端末からしかアクセスできないよいにすれば更に情報の機密性を向上させることができます。
4.膨大な資料の中から必要な情報を検索できる
紙の資料の場合、100枚の資料の中から自分が必要とする資料を見つけるためには1枚ずつ確認していくしかないため、非常に時間がかかります。しかし電子化された資料をタブレットから検索すれば、数万枚の資料の中から必要な情報を検索するのも一瞬です。タッチパネルからキーワードを検索する簡単な動作で済むのです。
5.電子資料は破損せず複製も簡単にできる
紙の資料はファイルなどに保管していても時間が経てば気温や湿度などで劣化したり、誤って破ってしまうこともあり得ます。しかし電子資料の場合はデータ化されているため劣化せず、保護の設定をしておくことで削除してしまう恐れもありません。
また、紙の資料を複製する場合は複合機で複製したい数の分だけコピーが必要ですが、電子資料であれば複数人が同時に同じ資料を見ることも簡単で、複製の必要もありません。
ペーパーレス会議実施のメリット・デメリットについて更に知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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ペーパーレス化にタブレットを活用するデメリット
ペーパーレス化とタブレット活用は非常に相性が良いと言えますが、一部デメリットや注意点もあります。
紙資料のように同時に複数を広げて閲覧できない
紙の資料であれば、複数の資料を机に並べて閲覧することができますが、タブレットで閲覧する場合は難しいでしょう。また図やグラフが多い資料は、場合によってタブレットでは見づらいこともあるでしょう。
このようなデメリットを軽減するためには、なるべく画面サイズの大きいタブレットを導入することが必要です。ただし、画面が大きいものほど重くなる傾向にあるため持ち運びに不便を感じない程度の大きさのものがおすすめです。
紙のメモ帳と比較してメモがしづらい
多くのタブレットでタッチパネルを利用した書き込みメモ機能があります。しかし、紙のメモ帳に慣れている人にとってはタブレットのメモ機能は使いづらく感じることがあるでしょう。
タブレットの機種によって、タッチパネルを使ったメモがしやすいものとしづらいものがあるため、導入前に使用感を確かめることが必要です。しかし継続して使用することでタブレットでのメモに徐々に慣れ、気にならなくなる人も多いようです。
タブレットの具体的な活用例
タブレットの持ち運びのしやすさとシーンを問わず使いやすいという点を最大限生かした活用例として、営業先での使用が考えられるでしょう。
営業先ではお客様からどのような質問が来るか分かりません。かといってすぐに質問に答えられるようにあらゆる資料を紙で持ち運んでいたのでは、移動がしづらく必要な資料をカバンから見つけ出すのも一苦労です。
事前に必要になる資料を電子データ化しておけば、必要な場面でタブレットから簡単に検索してお客様に見せることもできます。また役職が上の人間が出席する商談でスマートフォンから資料を探していると、場合によっては心証が悪いこともありますが、タブレットであれば商談内容に関する調べ物をしているとわかるため、商談の妨げにもなりません。
以下の記事では、タブレットを活用したペーパーレス化の事例を紹介しています。
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タブレットに対応した「ペーパーレス会議システム」とは
会議のペーパーレス化を目指して、専用の「ペーパーレス会議システム」を導入する企業が増えています。ペーパーレス会議システムとは、ペーパーレスな会議をスムーズに実施するために必要な機能が搭載されたシステムのことです。PCやタブレットなどからの利用が可能で、単に電子化された資料が閲覧できるだけでなく、以下のような機能が搭載されています。
- ワンクリック資料共有機能
- 会議参加者リストへ、資料ファイルをワンクリックで共有できます。
- ペアリング機能
- タブレットに表示される資料のページめくりやスライド切り替えを同期させます。
- 書き込みメモ機能
- 手書き感覚で書き込みます。
- 遠隔会議機能
- 会議室に集まったメンバーだけでなく、遠隔地とテレビ電話などを接続し、資料を共有できます。
ペーパーレス会議システム製品について詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
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タブレットを活用してペーパーレス化を成功させよう
ペーパーレス化とタブレット活用は非常に相性が良いと言えます。営業や会議など、従来大量の紙資料を使用していた場面においては、タブレットを活用することでペーパーレス化とともに業務効率の改善なども見込めるでしょう。