給料計算(給与計算)ソフトとは?基本機能を確認
給料計算(給与計算)ソフトは、従業員の給与処理に関わる仕事をサポートするためのシステムです。具体的には、従業員の給与計算や明細作成・発行、社会保険料や税金の計算といった業務を自動化できます。社員情報や勤怠管理情報を事前に登録しておけばよいので、毎月生じる面倒な業務の効率化が図れるでしょう。
給料計算ソフトによって得られるメリットは、以下のとおりです。
- ■従業員の負担軽減
- ■ヒューマンエラーの回避
- ■人件費の削減
人の手で計算作業を行うと、気をつけていてもヒューマンエラーは避けられないものです。専用ソフトで自動化すればミスを避けられるほか、作業の属人化を予防できるというメリットもあります。また、給与管理業務の負担が軽減されれば、限られた人材をそのほかの業務に回せるでしょう。
給料計算ソフトには、「計算特化型」や「人事関連業務サポート型」などさまざまな種類があります。ソフトのタイプや基本の選び方については以下の記事も参考にしてみてください。
「無料版」と「有料版」の違い
給料計算ソフトには、有料版だけではなく無料版も存在しています。はじめてソフトを導入する際に、コストを不安視する方は多いため、無料版であれば気軽に使いはじめられるでしょう。一方で、失敗を防ぐためには、両者の違いをあらかじめ認識しておくことが大切です。
無料版と有料版では、対応する作業の範囲が異なります。無料版でも利用できる主な機能は、以下のとおりです。
- ■給与自動計算機能
- ■給与一括振込機能
- ■社会保険料控除機能
- ■給与明細の電子化や発行機能
- ■勤怠データ管理機能 など
一方で、多くの無料版では登録できる従業員のデータ数に上限が設定されています。また、データの暗号化やバックアップなど、便利な機能を利用できない可能性もあるでしょう。条件はソフトによって異なるため、事前の確認が必須です。
給与計算ソフトの中には、完全無料タイプもあれば期間や人数に応じて無料プランを用意している製品もあります。どこまでが無料でできるのか、しっかりと理解したうえで導入を決めましょう。
無料ソフトを選ぶメリット
無料の給与計算ソフトを選択するメリットは、以下の2点です。
コストがかからない
無料ソフト導入の最大のメリットは、コスト面です。給与計算は、会社を経営していくうえで欠かせない業務です。有料ソフトを導入した場合の金銭的な負担は、利用をやめない限り永続的に発生するでしょう。無料ソフトであれば、導入コストはもちろんランニングコストも節約できます。
コストがかからないからこそ、新規ソフトの導入ハードルも下げられるでしょう。「本当に給与明細の発行や計算業務を効率化できるのか」と不安を抱えている方でも、気軽に検討可能です。
機能がシンプルでわかりやすい
有料ソフトに比べて、利用できる機能が制限されがちな無料ソフト。デメリットとして認識されがちですが、「最低限でよい」という方にとってはメリットでもあります。
不要な機能が搭載されていない分、使用方法はきわめてシンプルです。面倒な導入や設定作業に悩まされる恐れはありません。直観的な操作で扱えるUIなら、大量のマニュアルを読み込む必要もないでしょう。
無料ソフトを選ぶデメリット
無料ソフトを導入する際には、デメリットも把握しておきましょう。ここでは、3つのポイントを解説します。
最低限の機能でできることが限られている
有料ソフトと比較して、機能面で制限を受けやすいのが無料ソフトの特徴です。使用できるのは、「給与計算に必要な最低限の機能のみ」の場合が多いでしょう。シンプルな計算であれば無料ソフトで自動対応できても、複雑なものは不可能です。
また計算に使われたデータの保存期間も、無料版では非常に短く設定されがちです。わずか数か月でデータが消去されてしまうケースもあります。この場合、「年初のデータが年末の会計処理時に使用できない」といったリスクも考えられるでしょう。別の手段でデータを保存しておく必要があり、その作業にも手間が生じてしまいます。
サポート体制が最小限
無料ソフトの場合、サポート体制は必要最低限です。特に電話やチャットを使った有人でのサポートは難しいでしょう。「ない」もしくは「一部のみに限られる」というケースがほとんどです。
ソフト利用時に何らかのトラブルが発生した場合、オンライン上のマニュアルを確認して自分自身で対処する必要があります。問題なく運用していくためには、最低限のITスキルや知識が求められます。
連携できるシステムやソフトが少ない
有料タイプの給料計算ソフトの中には、利便性に優れたものが多くあります。ほかのシステムやソフトとの連携によって、使い勝手が向上し、より業務効率改善効果が期待できます。
一方で無料ソフトの場合、連携機能は最低限です。給料計算ソフトは、労務管理ソフトや従業員管理ソフト、会計ソフトと相性がよいものですが、ソフト同士で機能を連携できなければそれぞれのソフトに似たような情報を登録しなければいけません。
ほかのシステムとの連携を考えている場合、実現可能かどうか、導入前にチェックしましょう。自社ですでに使っているソフトが連携可能か、具体的に何ができるのか、把握しておくと安心です。
無料ソフトのデメリットを把握する中で、「必要な機能要件を満たせない」といったケースもあるでしょう。このような場合、まずは有料ソフトの資料請求をしてみるのがおすすめです。無料ソフトでは対応していない範囲をどの程度カバーできるのか、正確な情報の把握に役立つでしょう。
無料の給料計算ソフトを選ぶときのポイント3つ
無料ソフトを選択する場合、事前にチェックしておきたいポイントは以下の3つです。ぜひ参考にしてください。
従業員の人数を確認する
無料の給与計算ソフトを利用する場合に、もっとも重要なのがシステムに登録する従業員の人数です。無料ソフトの多くは、登録できる人数に上限を設けています。5人以下、もしくは10人以下の小規模な会社であれば、無料でも利用しやすいでしょう。
従業員の人数が増えれば増えるほど、給与計算業務は複雑化するため、無料ソフトの限られた機能では対応できない可能性もあります。機能の多様性やそのほかシステムとの連携性からも、有料ソフトを選択した方がメリットは大きくなります。
無料で利用できる期間や機能を確認する
無料で利用できる給与計算ソフトの中には、有料ソフトへの移行を前提に提供されているものもあります。こうした無料版では、一部機能制限や利用期間制限がかかる可能性もあるでしょう。
期待した機能が使えなかったり、一定期間後に別ソフトへ乗り換えたりする場合、業務に影響する可能性も出てきます。本当に無料ソフトで問題がないかどうか、確認してから利用をスタートしてください。
有料製品についても検討してみる
無料製品を前提に導入を検討している場合でも、最初から有料製品を対象外にする必要はありません。「従業員数が増える予定がある」「複雑な計算に対応したい」という場合、有料製品を選んだ方がよいケースもあります。最初から可能性を排除せず、まずは資料請求してみましょう。
無料の給料計算ソフトの特徴を知り最適な選択をしよう
無料の給料計算ソフトには、「コストがかからない」というメリットがある一方で、デメリットもあります。特に機能面での制限やサポート力については、業務に影響を与えやすいポイントといえるでしょう。状況によっては、有料版を導入した方がよいケースも少なくありません。
まずは無料・有料を含めて情報収集し、自社に合ったシステムを検討することが大切です。資料請求し、必要な情報を集めてみてください。